2004年4月から川柳教室に通い始めました。
講師はNHKラジオ土曜ほっとタイム「ぼやき川柳」の選者・大西泰世先生です。
                              

2025年4月川柳教室
兼題「動く」 万博にやっと心が動き出し (互選2点)
 大阪関西万博の開催が決まったとき、自分の年齢を考えて生きているとは考えられず、また生きていたとしても行くだけの体力はないだろうと思って、関心はほとんどありませんでした。

 ところがいざ開催が近づき、テレビで情報が報道されるとだんだん心が動き、前売り入場家券発売終了二日前になって、スマホで登録し、最終的にコンビニで入場券を買いました。ただスマホでの登録は高齢者には大変な労力で、入場券が売れない原因がここにあると思いました。

 私が選んだ3句  一歩ずつ動けば何か変るかも
           ○どっこいしょ言えば動けるおまじない
             もう一歩動けば届く新世界


  先生が選ばれた3句   店の前早く入れと自動ドア
                  動かねば動けなくなるこの体
                ○咲いたよと人も獣も動き出す


兼題「口」 早口の説明いつも聞き返す
 レストランやコンビニなど、客慣れた店の人は普通に説明してくれるのですが,高齢の私にとっては早口でよく聞き取れず、いつも聞き返しています。店の人にとってはやっかいな客だと思います。申し訳なく思っています。

席題「磨く」 光らない心磨きもせずに居て
 私の日常生活で心を磨く努力はしていません。だから心を光ることはありません。

2025年3月川柳教室
兼題「祝う」 米寿だといっても祝うほどもなく
 私が結婚した1960年代、私の村では葬式のとき、白と黄色のまんじゅうを配っていましたが、80歳を超えると大往生として紅白のまんじゅうが配られていました。だから自治会は長寿を祝って今も喜寿に記念品を贈っています。しかし今では80歳代まで生きているのは当たり前になっています。私も来月には米寿を迎えますが、お祝いをするほどでもないと思っています。

兼題「椅子」 窓際の椅子に一年冬の虹 (互選5点)
 私は54歳の時、一年間県庁に出向?しました。座席はまさに窓際、自分で企画することもなく、ただ部下の文書に印鑑を押し、窓の外を眺める日々が続きました。現場での創造的な活動をしてきた身にはなんとも生きがいのない毎日でした。一年で現場に戻してもらいましたが、体重が増え、ズボンの胴回りが窮屈で仕方ありませんでした。その重苦しい気持ちを冬の空と読みました。

 ところが昨日何気なく神戸新聞の文芸欄を見ていて、冬の虹という表現を見つけました。虹ははかないけれども、重苦しい空にほんの少し色合い(希望)を表現しているようで、この冬の虹をもらいました。今日の川柳教室でこの「冬の虹」が素晴らしいと先生が褒めて下さいました。先生に◎をもらうのは初めてですが、なんだか申し訳ない感じです。

 私が選んだ3句 ○集まると決まった椅子へ祖母の家
             スクワット椅子をにぎって日に三度
             椅子取りのゲームを終えて春ららら


  先生が選ばれた3句 ○窓際の椅子に一年冬の虹
                 椅子取りのゲームを終えて春ららら
                 ゆったりとうたたねできる椅子が好き


席題「登る」 階段を試しに登り効果見る
 今月の初め、元バレーの選手で今バレーボール協会の会長をしておられる河合氏の講演を聴きました。その時膝や腰の筋肉を強化する身近な方法として、階段を登ることだと話されました。それ以降エスカレーターに乗らずに階段を登るようにしています。まだまだ効果が現われているところまではいきませんが、砂浜を歩くことと合わせて実践したいと思います。

2025年2月川柳教室
兼題「逃げる」 逃げ腰の総会みんな下を向く (互選9点)
 総会では役員選挙が行われます。うっかり司会者や現役員と目を会えば、指名される恐れがあるので、なりたくないと思っているひとは必ず下を向いて、やり過ごそうとしています。こんな逃げ腰の集まりでは、望ましい発展はないでしょう。そういう私は同じ思いですが、なぜかいろいろな団体で会長をやらされた経験があります。その頃は退職したばかりで、社会貢献をしなければという思いが強く、積極的にいろいろな団体で協力をしようとしていたからでしょう。だから下を向いていなかったと思います。その結果会計、副会長、会長と徐々に重い役をやらされました。

 私の選んだ3句  逃げ上手これも長所と言い聞かせ
           ○デジタルに乗れず昭和へ逃げている
             活断層やはり原発逃れたい


  先生が選ばれた3句  逃げ上手これも長所と言い聞かせ
               ○デジタルに乗れず昭和に逃げている
                 逃げ道を残して叱る寒桜


兼題「安心」 終活も生保たっぷり大丈夫
 退職したとき、退職金をどのようにするか迷ったあげく国債を買いました。しかしそのような運用では意味がないと考え、すすめられて貯蓄性のない払い込み生命保険に入りました。これだと毎月払い込む必要な面倒はなく、自分が死んだときにある程度のお金が遺族に入るので、そのお金で残したものを処分してくれるだろうと思います。だから終活は役所などへの届けや連絡先だけを残しておけば良いと考えています。

席題「折る」 新紙幣折りたたむのをちゅうしょする (先生が「躊躇をひらがなにしたのは難しい漢字だからですか?」と問われたので「当用漢字にないから」とこたえると「『ためらわれ』という風にしては」と指導して下さいました。)
 新紙幣の新札はなかなか手に入りません。だからおつりで新札も受け取ると、財布に折りたたんで入れるのは躊躇してしまいます。

2025年1月川柳教室
兼題「酒」 宴席の独りノンアル淋しくて (互選1点)
 コロナに感染した後、しばらくお酒を自粛していました。そのようなとき職場の同窓会がありました。みんなが盛り上がっている中、独りジンジャーエールを飲んでいました。だから気持ちが乗らず、いっそアルコール類を飲んでしまおうかとも思ったのですが、最後まで我慢を通しました。12月になってやっと踏ん切りが付き、宴席でビールや焼酎のお湯割りを飲みました。久しぶりで悪酔いしそうになりました。アルコールに弱くなったようで、ほどほどを保つことを心がけたいと思います。

 私が選んだ3句  祝い酒がんこな父の涙顔
             お供えの清酒我家は調味料
           ○遠い国だけど乾杯停戦に


  先生が選ばれた3句 ○酒旨し君に伝えることがある
                 遺影から声が聞こえる通夜の酒
                 遠い国だけど乾杯停戦に


兼題「寒い」 極寒も負けずジジババGゴルフ
 新年16日に今年最初のグラウンドゴルフがありました。とても寒い日だったけれど、73歳から92歳までのジジやババが集まり、8時30分からラジオ体操を、そしてグラウンドゴルフを楽しみました。

席題「私」 私にもボケという字が絡みつき
 ぼけた行動は日常茶飯事になりました。今日も明石に出たついでに、銀行で預金をしました。その時ATMで何度やり直しても定期預金の画面が出て入金できません。何度か試みた後預金通帳を確かめると、定期預金のページを開いていました。

 その後宝くじ売り場へ行き、年末に買ったくじを「3枚当っているということです」と窓口に差し出しました。すると「17枚すべて空くじですよ」と返されました。当たりくじは家において、空くじだけを持って行ったのでした。当たりくじは今から探さねばなりません。

2024年12月川柳教室
兼題「師走」 年賀状干支のデザインまた悩み
 毎年12月になると年賀状のデザインについて夫婦で悩みます。どうしても干支が頭にあり、あれこれ案が出ますが、これといったものが浮かびません。今年は特に蛇ということで余計に悩みました。最終的には巳年がデザインされたお菓子を使わせてもらいました。

兼題「流す」 聞き流すことがベストよ妻の愚痴 (互選8点)
 私は妻からよく注意を受けます。特に居間の机の上の整理ができないので目立つのです。その時は少し片付けるのですが直ぐに積んだか積んだかになります。家に居るときはほとんど居間に居るので、どうしても物や書類を机に置くのです。だから何度も注意されてもいたちごっこになってしまいます。

 私が選んだ3句  除夜の鐘聞き流しては仕事終え
             一日のあれこれ流す終い風呂
           ○世の流れ呑み込まれたなデジタルに


  先生が選ばれた3句  似たもの夫婦瀬戸の浅瀬に流れつく
                 聞き流す人の噂や陰口は
               ○一日の悩み汚れは洗濯機


席題「数」 ジャンボくじ当る予感し二十枚
 診療所で12月の診察後、住民検診の予約をしたところ、1月4日新年朝一番に検診を受けることが決まりました。妻にとってこの様なことはめずらしく、ジャンボくじを買えば当るかもしれないと言い出しました。妻が宝くじを買うなど今までになく、お金を捨てるだけだと言っていました。そこまで言うならと妻が10枚、私はミニを10枚買いました。

2024年11月川柳教室
兼題「深い」 娘(こ)が彼を連れてくる朝深呼吸
 実際には彼に出会うのは3回目でしたが、それでも正式に挨拶に来るという日は娘に恥をかかさないよう、父親としての振る舞いをどうしようかと思い悩みました。娘を嫁がせる父親はみんな何かしらの心境になるのではないでしょうか。

兼題「鏡」 内視鏡僕の命を預けます (互選7点)
 一度健康診断で、胃に精密検査が必要といわれました。それ以来、毎年胃カメラを飲むようになりました。そして10年ほど前に初期の胃がんが見つかり、内視鏡手術を受けました。その後も毎年胃カメラを飲んでいますが、異常は見つかっていません。父親が胃がんで吐血するまで胃がんに気付かず亡くなったことを思えば,内視鏡検査は命を長らえる頼りです。

 私が選んだ3句  ボクなのか鏡の中のおじいさん
             眉を描く鏡を見つつ見られつつ
           ○人生の残り時間を見る鏡


  先生が選ばれた3句 ○ボクなのか鏡の中のおじいさん
                 眉を描く鏡を見つつ見られつつ
                 人生の残り時間を見る鏡


席題「味」 手料理を味わい手間に思いはせ
 妻は料理に手を抜くことはあまりなく、いつも時間をかけて手料理を食卓に並べます。味も抜群で、感謝しています。彼女の口癖は「毎日3食自分が作っているので大変だ。たまにはあなたが作ってくれれば」。しかし彼女を満足させるような料理を作ることは不可能であり、しかも彼女のように手早く作ることはできません。彼女が入院中に自分で野菜スープなどを作った経験がありますが、キャベツやニンジンを刻んだり、ジャガイモの皮むきに時間がかかり悪戦苦闘したことを思えば、彼女の前で手料理などとんでもないことです。

2024年10月川柳教室
兼題「風」 台風がそれて秋なす売るほどに
 今年は台風の上陸が私たちの地域はありませんでした。しかもいつまでも残暑が厳しく、、なすびはたった一本なのに大きく育ち、いつまでも沢山の実をつけています。3日に一度収穫するのですが、多い日は12個ほど採れます。焼きなすにして冷凍したり、浅漬けの素でお茶漬けのときに食べたり、ふんだんに秋なすを楽しんでいます。スーパーでは結構高い値で売っています。

兼題「実る」 酷暑でも野菜はみんなよく実り (互選0点)
 今年の夏はこれまでで最も厳しい暑さに感じました。だから水道代を気にしながら、庭中ホースで水やりをしました。特に野菜は朝夕たっぷり水をやりました。したがって夏野菜はたっぷり収穫することができました。常にキュウリ、トマト、なすび、シシトウは冷蔵庫にたっぷり貯蔵できました。特になすびとシシトウは未だに収穫できます。

 私が選んだ3句  ダイエット秋の実りが邪魔をする
           ○地道でも努力が実り平和賞
            お隣もどうぞと柿の実のたわわ


  先生が選ばれた3句 ○赤い柿やっと届いた肩ぐるま
                 お隣もどうぞと柿の実のたわわ
                 地道でも努力が実り平和賞


席題「絵」 捨てられた油絵若き日の写生
 まだ20歳台の頃、同僚に油絵を描く先輩がおり、職場の同僚みんなで油絵の道具を買って写生旅行に出かけたりしました。その時の絵が何枚か押し入れにありましたが、たいした作品とも思えず妻が押し入れを整理するときにあっさり捨ててしまいました。その頃はすでに油絵の道具も処分されていました。

2024年9月川柳教室
兼題「とける」 角砂糖混ぜず格好つけて飲む
 初めて喫茶店を訪れたとき、先輩が砂糖を入れた後、カップをちょっと揺すっただけで飲んでいるのを見て格好いいなと思いました。それまでの私は砂糖が溶けるまでスプーンでしっかり混ぜていました。それからの私は真似をして混ぜずに飲んでいました。

兼題「砂」 砂浜に書いた告白波と消え (互選2点)
 この句はフィクションです。私はこの様なロマンチックな経験はありません。告白が打ち寄せた波と一緒に泡と消えてしまった様子を読んでみました。

 私が選んだ3句 ○汗をかき築く憂き世は砂の城
             負けたとて悔し涙の砂袋
             中秋に「月の沙漠」を口ずさみ


  先生が選ばれた3句 ○砂を噛む心を起こす深呼吸
                 砂嵐去って心も晴れてきた
                 砂浜の遠い記憶は肩車


席題「頼る」 頼りない自分は他人(ひと)の言いなりに
 自分の意見はあっても自信が無く、先ず他人の意見を聞くことになります。そしてそれらの中から自分の気持ちに近い意見に賛意を示します。また違っていても、賛同者が多ければその意見に従っています。リーダーの立場にあっても同じです。

2024年8月川柳教室
兼題「しぐさ」 お点前の所作が愛らし孫双子
 孫が男の双子。今は結婚して立派なお父さんになっていたり、駐在所のおまわりさんをしています。
彼らがまだ幼い頃、妻に薄いお茶を点ててもらって二人揃ってお点前の所作を一生懸命していました。幼い子どもがお点前の所作をしていても可愛いのですが、そっくりな男の子が二人揃ってしていると、その愛らしさはいっそうです。ちなみに双子は何でも同時にやらせることが大切です。

兼題「追う」 追伸が本題よりも意味深く 〈互選14点〉
 手紙文の本題は季節のあいさつやご機嫌伺いだあったりして、それほど内容が無い時に、追伸で「一度ゆっくりお会いしたいですね」などと書かれていると、心が揺れ動きます。

 私が選んだ3句  夢を追い覚悟の甘さ思い知る
           ○追ってくる見えるかたちで老齢が
             追い越した背丈で孫は物を言う


  先生が選ばれた3句  夢を追う覚悟の甘さ思い知る
               ○一点を追う子らの夏熱く燃え
                追い越した背丈で孫は物を言う


席題「分ける」 髪分けることのだんだん難しく
 若い頃から髪は七三に分けていましたが、頭髪がだんだん薄くなるにつれて分けることが難しくなりました。特に洗髪後など、髪が濡れていると、分ける位置がなかなか定まりません

2024年6月川柳教室
兼題「傘」  差しかけた傘の雫が肩ぬらす 〈互選7点〉
 結婚した60年あまり前は、まだ田舎そのもので、電車の駅からの帰路は両側が田んぼが主体でした。そして我が家も結婚2年前に田んぼを埋め立てて新築した村のかかりにあるの家でした。だから多くの人が我が家の前を通って帰っていました。

 同じ時刻に電車から降りてくる人は同じような顔ぶれで、帰る方向もだいたいわかっていました。急な雨で傘がない時はお互いに傘を持っている人が差しかけていました。たまたま私が傘を持っている時に若い女性でも声をかけて一緒に帰ることもありました。今では考えられないことです。傘を差しかけた時には相手が濡れないようにと気を遣うので、どうしても私の肩は傘の雫で濡れていました。

 私が選んだ3句  母と子の絆を紡ぐ蛇の目傘
             我が国はどの傘のもと安心か
           ○大きな影紳士涼しく夏日傘

  先生が選ばれた3句  迎え傘駅で待った日思い出す
                 降るかしら降らないでしょう傘を持つ
               ○差しかけた傘の雫が肩ぬらす

兼題「降る」  桜島灰の降る日に見たかった
 これまで火山で溶岩が流れていたり、煙が空高く立ち上っている噴火の現場を見たことがありません。一度そうした現場を見てみたいといつも思っています。日本ではその機会が一番多いのが桜島です。5月の連休明けに桜島で2泊しましたが、残念ながら煙がかすかに見える程度でした。

席題「悩む」  悩みなど無いと言いつつ暇な日々
 悩みがあるかと問われれば思い当たることはありません。ただグラウンドゴルフなど活動が決まっている日以外は,庭の手入れをしたり昼寝でのんびり過ごしています。近隣の人たちとの交流が無ければ、孤独の悩みを持つことになるかもしれません。有り難いことです。

2024年5月川柳教室
兼題「返事」 「へんじははい」難しいです家内には (互選3点〉
 妻からいろいろな用事を頼まれます。ほとんどのことには聞き入れていますが、都合の悪いことややりたくない時は聞こえないふりをしたり、一応返事をしても曖昧な返事をしてしまいます。

 私が選んだ3句 ○おはようの返事が跳ねる通学路
             絵手紙で届いた返事倍うれし
             生返事奥に隠れた不満顔


  先生が選ばれた3句  おはようの返事が跳ねる通学路
                 絵手紙で届いた返事倍うれし
               ○幸せかたずねられたらハイと言う


兼題「書く」 筆順の間違い孫に指摘され
 本当は孫ではなく子どもたちに指摘されたのです。子どもたちは学校で正しい筆順を習っていますが、人前で漢字を書くことがなかった私は,子どもたちに筆順の間違いを指摘され、恥ずかしい思いをした経験があります。以後、筆順辞典のような本を買って勉強しました。

席題「着る」 朝夕の着脱立ってできなくて
 衣服を着脱する時、片足でしっかり立つことができなくなりました。筋肉が衰えたからでしょう。特に靴下は腰をかけてするか、壁や柱にもたれて脱ぎ着しています。

2024年4月川柳教室
兼題「登る」 遍路終え傘寿記念の富士登山
 79歳の時、先達について四国歩き遍路の逆打ちをしていました。しかし、愛媛県まで行った時、妻が脊椎圧迫骨折をし、入院をしたため、病院へ洗濯物などを届けるなど、世話をするため断念しました。

 翌年、富士山ガイドの資格を持つ先達から富士登山のお誘いを受けました。そこで80歳の挑戦として参加を決めました。ただし頂上までは無理と考え、富士吉田浅間神社から六合目の山小屋を目指すコースを選択して参加しました。7年前になりますが、これが体力を使う挑戦の最後になり、コロナですっかりフレイルの生活になってしまいました。

兼題「花見」 返納後庭の花見でお茶濁す
 運転免許証は川柳教室の当日返納しましたが、車の運転は昨年7月に止めました。車が無くなると、足の弱い妻と花見に出かけるこtが出来なくなりました。

 幸い妻は花が好きで、いろいろな花々を咲かせています。桜の咲く頃、庭一面にスノーポールの白い花が咲きほこり、赤や黄色のチューリップ、むらさきナバナ、白や黄色の水仙など、きいろやむらさきの球根がアクセントとして花を咲かせています。きれいだねといいながらお茶を濁しています。

 私が選んだ3句  母ポツリこれが見納め花吹雪
             たわいない笑顔にみちた花吹雪
           ○ハイビジョン居ながらにして花見酒


  先生が選ばれた3句  出不精の花見は鉢の芝桜
                 返納後庭の花見でお茶濁す
               ○味巡り城めぐりして花見中


席題「音」 六十年本音語らず円満に
 妻はどちらかと言えば思ったことをポンポンと言ってきます。それに対して私はどちらかと言えば話を合わせたり、無視しています。それが日常になると、私は常に平常心でいることが出来ます。だから諍いが起きることはありません。

2024年3月川柳教室
兼題「中心」 裏金の審議中心もういいよ 〈互選0点」
 今国会の審議は野党の裏金問題追求にこだわって肝心の大切な議題の議論がされません。そして兵器輸出問題など重要なことが次々閣議決定されていきます。証人喚問など裏金問題は国会審議の最後にすることにして、もっと重要な議題の審議に時間を割いて欲しいと思います。

 私の選んだ3句 ○中心は妻へと移る第二章
             注目をされない席の心地よさ
             中心に咲いた花にも陰は有る


  先生の選ばれた3句  中心は妻へと移る第二章
               ○中心はちみもうりょうの寄るところ (魑魅魍魎)
                 注目をされない席の心地よさ


兼題「歩く」 健康と趣味で始めた遍路旅
 大西先生は26歳の時1人で四国88ヶ寺の歩き遍路をされたという話をされたことで、しばらくお遍路の話で盛り上がりました。私自身は誰かの供養という意識や自分を見つめる、自分探しをするというのでは無く、ただただ歩いてみたいという気持ちだけでした。

席題「欲」 独裁者法律変えて居続ける
 独裁者を志す人々はその地位を保つために法律を改悪しています。日本では安倍元総理にその傾向が見られました。自民党の総裁の任期が2期と決められていたにもかかわらず、その任期を取り払い、自分の後継者を育てようとしませんでした。

 そして中国の習近平、ロシアのプーチンも同じように任期の制限を撤廃し、しかも自分の方針に反対する勢力の活動を禁止する法律を定めています。さらに反対勢力をことごとく逮捕・処刑するなど政治的な活動の自由を奪い、長くその地位にすがりついているように見えます。


2024年2月川柳教室
兼題「筆」 亡き母の筆と硯で写経する 〈互選5点〉
 養母は隷書や仮名文字を先生について習っていて、師範の免許を所持し、子どもに書道を教えたり、あちこちの展覧会にも出品していました。そして、入選した作品が何点か家に飾られています。

 その養母が亡くなった後、歩き遍路をしたり、妻と車で四国八十八ヶ寺のお詣りをする時に、遺品の筆や硯、墨、美濃半紙を使って写経をして納めました。少しでも養母の供養になったらと思い、二人でたくさん写経をしました。

 私の選んだ3句 ○筆遣い優し亡母の遺句数多
             毛筆の賀状に友の息遣い
             悪筆が踊り元気のお裾分け


  先生が選ばれた3句 ○待望の一筆書きの春の旅
                 お見舞いは折おりの花絵手紙で
                 筆の先思い通りにあやつれる


兼題「溶ける」 初恋の面影溶けた酒を飲む
 一学年下に片思いの女性がいました。彼女は私に対して、彼女の親友にも声をかけてあげてと言いい、失恋したことを悟りました。美空ひばりの「悲しい酒」の心境でした。しかし、妻と見合いをした時以降すっかり想い出すことも無くなりました。

席題「逃げる」 役員選逃げの姿勢でやり過ごす
 長い人生の中でいろいろな役員選挙がありました。消極的な私はいつも下を向いて目立たないようにし、名前が挙がらないようにやり過ごしていました。それでも仕事人間だった私は退職後少しでも地域に恩返しをしなければと積極的にお手伝いをしたために目立ったのか、最終的には老人クラブの役員に選ばれ、会長まで務めました。

2024年1月川柳教室
兼題「初」 初春の便りで分かる友の無事 〈互選8点〉
 80歳の後半にもなると、賀状を卒業する友も何人かいます。そんな中、遠く離れて暮らす友の大半は今も賀状をくれます。ここ何十年も会うことが無く、これからも会うことが無いだろう友からの賀状は懐かしく、近況を確認することができます。

 久しぶりで先生に認めて頂きました。「初春の便り」という言葉が優しくて良いと褒めてもらいました。しかし私は、兼題が「初」だったので、賀状で済むところをわざわざ「初春」ということばを使ったまでで、深い意図はありませんでした。

 私が選んだ3句 ○御願いを止めて御礼の初詣
             初仕事いつものように洗濯を
             初春の皿にお節と夢を盛る


  先生が選ばれた3句  初春の便りで分かる友の無事
                 夢持てと背中押します初日出
               ○初春の皿にお節と夢を盛る


兼題「信じる」 裏金に清き一票裏切られ
 明石市は西村康稔経済産業大臣の地元です。いつも明石市では圧倒的な支持を受け、また、安倍元総理大臣に同行していることを誇りにしていました。しかし、今回の裏金事件の中心人物の一人として大臣を更迭されました。不起訴になるようですが、裏金問題に関わったことは間違いなさそうで、明石市民の信頼を裏切ったことになります。

席題「歌う」 紅白で歌える曲はごく僅か
 年末恒例の紅白歌合戦を毎年聞いていますが、昨年末は若い人たちが歌い、踊る曲が多く、ほとんど知らない歌ばかりでした。そんな中時々現われる演歌歌手だけが聞いたり歌ったりした曲です。しかしその演歌歌手も毎年同じ曲では物足りません。今の時代に合ったよい新曲もあるのですから、そのような歌を歌わせればよいのにといつも思います。

2023年12月川柳教室
兼題「歩く」 老い二人また腕組んでお出かけし 
 妻は庭で転んで大腿骨を骨折して以来、歩行が極端に遅くなり、また転んではいけないと自分でも不安を感じるようになりました。だからお出かけする時は慣れない場所や坂道では私の腕をつかみます。後ろから見ると仲良く腕を組んで歩いているように見えます。若かった頃のように。

兼題「酒」 酔うほどに政治と金をボヤき出し (互選2点)
 先日老人クラブで日帰り旅行がありました。酒が入ると話題は政治の話になりました。特に私たち明石の選出衆議院議員は安倍派の西村経済通産大臣なので、今話題のパーティー券のキックバックの張本人でもあるわけで、しかもそのパーティー券20000円を買った人が居たので、なおさら真実みがあって盛り上がりました。

 私が選んだ3句  沁みる夜は北の演歌と酒二合
             忘れてた今年はうまい「アレ」の美酒
           ○酒とろり今日の一日の愚を溶かす


  先生が選ばれた3句  沁みる夜は北の演歌と酒二合
               ○長年の思いを流す酒を飲む
                 飲みたかった越乃寒梅二人して


席題「気」 転んだら命とりだと送り出す
 妻は若い頃から骨粗鬆症と診断され、その治療を受けています。だからかかりつけの医師から「転んだら命とりだ」と注意されています。実際これまでに脊椎圧迫骨折、腰椎圧迫骨折、大腿骨骨折、恥骨骨折と転ぶたびに骨折して入院しています。大腿骨骨折で寝たきりになる人の話をよく聞きますが、幸い手術で歩くことが出来るようになり、日常生活に支障を来すことはありません。
 病院など妻が1人で出かける時は「転んだら命とりだよ」と気をつけるよう送り出しています。

2023年11月川柳教室
兼題「怒る」 二十年かかあ天下の日々に慣れ
 第二の職場を引退して20年が経ちます。現職時代家事にほとんど携わっていなかった私は
、突然食後の皿洗いや掃除、洗濯をすることになりました。要領の悪さと時間がかかりすぎることに妻のイライラは最高潮。初めはやり方を説明していましたが、何度も同じことを言わなければならず、怒ることが多くなりました。そのような日々が続くと、私もすっかりそのような日常が当たり前になり、今はすっかり慣れてしまい、怒られても何も思わなくなってしまいました。何しろ相手は60年あまりの専業主婦のキャリアがあるのですから。

兼題「平凡」 平凡な暮らし抜け出し遍路旅 (互選4点)
 退職した時1年間は家に居て、平々凡々の暮らしをしていました。しかし自己責任を伴う四国の歩き遍路を思い立ち、先達について1200qの歩き遍路に出かけました。山越え谷越えの実に変化に富んだ遍路旅はその度にいろいろな発見や、体力の限界などを感じました。その都度楽しい話をするものですから、続いて小豆島の歩き遍路に参加すると言った時、妻も行くと言って一緒に歩きました。このことは妻も平凡な生活から抜け出すきっかけになりました。そして、妻が大病するまで先達の提案する旅行にふたりで参加し、楽しむことが出来ました。

 私が選んだ3句  熱燗におでんがいいね平凡で
           ○病んで知る平凡な日に感謝する
             平凡な暮らし続いてなまけ癖

  先生が選ばれた3句  平凡な暮らしの中に青い鳥
                 平凡に丸く育っているキャベツ
               ○平凡な日々に身長また縮む


席題「試す」 新人に笑顔で近づき出方見る
 投句をしてから中八になっていることに気付きました。先生も中八のリズムの悪さを寸評の時に指摘され、別のことばに置き換えて下さいました。席題は20分ほどの間に考えたので、やはりじっくりと推敲するのは難しいと思いました。ちなみに、この句は全くのフィクションです。

2023年10月川柳教室
兼題【力」 フレイルが力こぶまで小さくし 〈互選0点〉
 新型コロナの外出自粛に加えて、今年の夏の猛暑で熱中症を避けるため出来るだけエアコンの効いた自宅に居るよう高齢者に求められました。結果すっかりフレイル状態になって、筋力がすっかり衰えました。力こぶもまたしかりです。

 私が選んだ3句  八十路坂鈍感力が物を言う
             鉢巻きを巻けばなんだか出る力
           ○二人居の力かげんはやじろべえ


  先生が選ばれた3句 ○不思議です君を動かすその力
                 鉢巻きを巻けばなんだか出る力
                 二人居の力かげんはやじろべえ


兼題「食べる」 食べ残ししない出来ない戦中派
 小学校2年生で終戦を迎えた戦中派である私は、物心ついてから育ち盛りの間、神戸の町中では食糧は配給でもらう物だけ、常にひもじい思いをしました。だから出されたものはすべて食べる習慣が身につき、食べ残すなどもってのほかと思っています。だからこのところの運動不足で、パンツのゴムがきつく感じるようになってしまいました。

席題「着る」 着古したよそ行きを着て野良仕事
 かつてよそ行きに着ていた服が勿体なくて捨てられず、菜園の世話をする時に着ています。

2023年9月川柳教室
兼題「背中」 広かった父の背中も今はもう
 小学校卒業式の直前、右足の骨を折り、しばらく学校を欠席せざるを得ませんでした。それでも卒業式に出席するため、、朝から友の肩を借りて学校へ行きました。

 卒業生入場となった時、父が現われ背中を向けておんぶしてやろうとしゃがみました。その時の父の背中が大きく見えました。父の背中でみんなと並んで無事入場できたのです。

 そのような父も晩年胃がんを患い、病院のベッドでやせ細った身体を横たえていた時の父の背中はすっかり小さくなってしまっていました。

兼題「曲がる」 角曲がるまで見送ってくれた母 〈互選7点〉
 母は私が高校を卒業すると同時に亡くなったので、この様な経験はありません。ただ、後日共通の教え子たちと元同僚の家を訪れた時、帰りに彼女は私たちが角を曲がるまでずっと見送ってくれたことがとても印象に残りました。

 以後、私も訪ねてくれた人を門前で見えなくなるまで見送るようにしています。なお、この句に対して先生が特選に選んでくださいました。この様なことは初めてのことで、うれしう思いました。

 私が選んだ3句 ○腰曲げて影といっしょに遍路行く
             ちょっとだけ話を曲げて世を渡る
             沸騰化もはや地球の曲がり角


  先生が選ばれた3句  曲がり角なぜか曲がってみたくなる
               ○角曲がるまで見送ってくれた母
                 やんわりとカーブを効かす夫の言


席題「波」 波の花試しに舐めて後悔し
 能登へ行った時、偶然海岸で波の花を見ることができました。先生もいわれたのですが、きっと塩辛いだろうと思い、試しに舐めた仲間がいました。ところが生臭さに閉口していました。

2023年8月川柳教室
 8月15日に予定されていましたが、台風7号が明石市に上陸するなどしたため急遽中止されました。次回は9月20日〈水〉です。

2023年7月川柳教室
兼題憎い」 憎いヤツそいつは俺が憎いヤツ 〈互選2点〉
 憎いというよりつきあいにくい人がいます。きっとその人も私をつきあいにくい人間だと思っているでしょう。

 私が選んだ3句  匂わすも気付かぬ素振り憎い人
           ○ぬか漬けで胃袋つかむ憎い祖母
             憎しみをおもての愛に変えて生き

  先生が選ばれた3句 ○憎しみを掻き消すような遠花火
                 励ましの憎まれ口が心地好く
                 一心に草引き憎さ忘れます


兼題「裏」 歯の浮いたことばの裏を見透かされ
 気に入ってもらおうとしたお世辞の本音をすっかり見透かされていました。

席題「サラダ」  豊作でポテトサラダが今朝もまた
 6畳ほどの菜園にジャガイモを植えたのですが、大豊作で、食べきれないほどでした。娘や従姉妹におよそ30qほど送りました。それでもまだ同じくらい残っています。くず芋からフライなどにして食べていましたが、夏になってポテトサラダが朝食のパンに毎食続きます。

2023年6月川柳教室
兼題「夏」  夏遍路梅干し口に峠越え
 6月から9月にかけての歩き遍路は暑さ、汗との戦いです。そんなとき、、先達から水分と塩分を欠かさぬように言われます。塩も持って行きますが、やはり梅干しにまさる物はありません。干し梅のおやつを持参し、13番札所焼山寺に向けて干し梅を口に含んでいくつもの峠越えをしました。

兼題「渋い」 渋皮も世間にもまれむけたよう (互選3点)
 大学を卒業し、資格を持って社会に出た時はまだ知識を身につけただけで、適切に応用できませんでした。まさに渋皮をかぶったままの状況でした。その後いろんな場面に出くわし、失敗を繰り返したり、時には誤解を受けたりしながら対応の仕方を学びました。最後まで完全に渋皮がむけたとは思いませんが、それでも定年まで勤め上げることが出来たのは、世間にもまれたお陰だと思います。

 私が選んだ3句 ○サンマ焼く遠き昭和の渋団扇
             スピード違反渋しぶ出した1万円
             埒もない会話渋茶でやり過ごす


  先生が選ばれた3句  生き返る熱い渋茶が染み渡り
                 ドクターが渋く血圧定まらず
               ○埒もない会話渋茶でやり過ごす


席題「骨」 骨密度何を食べても低いまま
 定年退職する直前に、2泊3日の検診がありました。その時に骨密度の値が低いと指摘されました。そういえば小学校5年と6年の時、腕と足の骨を相次いで骨折したことがあるので、生まれつき骨密度の値が低かったのかもしれません。
 以後住民検診のついでにいつも骨密度を測定してもらい、医師から牛乳やチーズ、ヨーグルトを食べるように言われます。その通りしても骨密度の値はいっこうに改善しません。この上は転んだりしないよう気をつけるしか有りません。

2023年5月川柳教室
兼題「浮く」 小遣いに値引きで浮いた分を足す (互選1点)
 年金生活の小遣いは現職時代に比べればごく僅かになります。だから買い物を頼まれた時に割引の物を買って、僅かでも小遣いを増やす必要に迫られています。

 私が選んだ3句 ○正直に言ったことばが宙に浮く
             AIの世界にも有る浮き沈み
             基地が増え島の人たち浮かぬ顔


  先生が選ばれた3句  正直に言ったことばが宙に浮く
                 つらい時友の浮き輪にしがみつく
               ○マスクとるなぜかふわふわ浮きそうだ


兼題「空」 空仰ぎ花と一緒に雨を乞う
 連休の前半、異常乾燥注意報が連日発令されていました。気温が高かったため、庭の花たちへの水やりが大変でした。

席題「溝」 誤解から生まれた溝に手を焼いて
 市の定めている規則の無知から行った行動に対して、とんでもない罰則を言い渡され、以後何かに付け私たちのグループは批判の対象にされてします。

2023年3月川柳教室
兼題「欲」 バイキング欲張った分だけ太り (互選0点)
 先日の富士旅行は朝夕すべてビュッフェ形式でした。だから好きなものを好きなだけ食べたのですが、あれも食べたい、これも食べたいとついつい皿に盛ってしまいます。その上に食後のスイーツもなどと欲張っていたら、家に帰って体重計に乗ってびっくり、、1s以上太っていました。

 この句について先生からリズムが悪いと指摘を受けました。私は初め「欲張った分だけ太るバイキング」と詠んでいたのですが、これではバイキングの説明文になってしまうので、自分の体験を詠もうとしたらリズムが悪くなってしまいました。もっと苦しまなければなりません。

 私が選んだ3句 ○ほどほどの欲があるから生きている
             生きがいは欲にまみれて生きること
             限定の言葉に弱く欲しくなる


  先生が選ばれた3句 ○欲の壺磨いて夕日目にしみる
                 生きがいは欲にまみれて生きること
                 煩悩があって元気に生きられる


兼題「鳴く(泣く)」 初鳴きに花粉対策せかされて
 先日の富士旅行で、田貫湖の周囲をウォークしました。その時今年初めてウグイスの鳴き声を聞きました。とたんにくしゃみの連発で、花粉対策が必要になったことを知らされた思いでした。

席題「花」 運転を止めて花見は近場だけ
       花笠を土産にもらい踊り乞う

 まだ運転は止めていませんが、遠出が出来なくなりました。だから今年は近場で花見をすることになるでしょう。
 花笠は娘が学生時代、山形から友達が遊びに来ました。その時のお土産が花笠だったので、長く家で飾っていました。それにヒントを得たフィクションです。


2023年2月川柳教室
兼題「鬼」 鬼役も歳の数だけ豆を食べ
 職場では毎年節分になると鬼の役をしていました。鬼は豆が怖くて苦手のはずです。そんな鬼も家に帰ると、豆まきの後自分の歳の数だけ豆を拾って食べていました。子どもたちが成長するにしたがって豆まきをすることはありません。その代り妻手作りの巻き寿司を毎年食べています。

兼題「流れる」 敵を撃つ流れを憂う戦中派 (互選2点)
 「日本がミサイルを撃ち込まれるようなことがあれば、相手国のミサイル基地を攻撃する兵器を備える。その予算を確保するために増税をする」というのが今の政府の考えであり、ほとんどの政党がいかなる方法で増税するか、予算を確保するかを前提に議論している。

 しかし、ウクライナの今の状況でも判るように、単に相手国を攻撃すれば国民の犠牲がさらに増えることを我々戦中派は経験してよく知っている。ましてその相手国が北朝鮮の挑発であれば、指導者は核兵器の使用も辞さないと考える。日本は広島以上の犠牲では済むまい。ましてや西日本の原発が攻撃されれば偏西風によって日本全土が汚染されると考えられる。だから抑止力云々を考えるより、如何に穏やかな・友好的な外交のあり方を議論することが大切か政治家も国民も考える必要があると思います。そのような気持ちからこの句が生まれました。

 私が選んだ3句  まあいいかヒョイと流れに乗ってみる
           ○倍速で時が流れている余生
             流れ星願いはひとつ痛みなし


  先生が選ばれた3句  結局は流されたまま生きてきた
               ○まあいいかヒョイと流れに乗ってみる
                 春も立ち流れる雲に布団干す


席題「省く」 物価高趣味や衣料費先ず省く
 元々映画などの趣味は長らくテレビ任せですが、久しく外食の楽しみも味わっていません。また衣料に対しては、下着は仕方ないとして衣服は夫婦とも昔着ていたものを改めて着ており、新調することはなくなりました。近々旅行に行きますが、二人とも新調する気持ちは全くありません。食料もコープこうべへ月曜日の午前中に行けば2〜5割引のシールを張った商品がたくさんあり、ずいぶん出費が少なくなります。このような対抗処置は免許返納まであとわずかです。以後はこうした物価高に対抗することも出来なくなります。

2023年1月川柳教室
兼題「筆」 遍路止め写経の筆も固まって (互選0点)
 遠距離のドライブから遠ざかり、四国の遍路参りも久しくしていません。したがって写経をすることもなくなりました。だから写経用の筆もすっかり固まってしまいました。今は神戸新聞の「正平調」をボールペンや鉛筆で書き写し、文字を書くという習慣を保つようにしています。

 私が選んだ3句 ○悪筆が伝える友の息遣い
             達筆は英語読むより難しい
             筆箱に不器用な子も肥後守


  先生が選ばれた3句 ○悪筆が伝える友の息遣い
                 筆箱に不器用な子も肥後守
                 習い事やはり良い筆欲しくなる


兼題「明るい」 底抜けの明るさはいつ戻るやら
 コロナが蔓延するまでは、みんなで集まって大笑いすることが良くありました。それが当たり前だと思っていましたが、コロナに加えて、ロシヤがウクライナに侵攻するに至って、日本も抑止力を高め、軍備増強、特に外国を攻撃できる兵器まで備えるという、戦争に結びつく構えに、当たり前だった明るさは戻らないように思ってしまいます。これまで私が楽天的過ぎたのでしょうか。

席題「なごむ」 なごやかに雑煮で祝ううさぎ年
 元旦に雑煮で新年を祝うのは、今年は息子と3人でした。娘は孫たちが社会人になりそれぞれ帰省してくるので、我が家には帰省してきません。娘が孫たちを連れて帰省していた頃は賑やかに祝ったものですが、今は静かな、しかしなごやかなお正月のお祝いです。

2022年12月川柳教室
兼題「伸びる」 伸び盛りお古は爺の普段着に (互選2点)
 伸び盛りでは、折角買っても直ぐに小さくなって着ることが出来なくなります。たとえばスタジアムジャンパーなど爺がもらっても、外出着にはなりません。丈夫に出来ているので家の中で着たり、庭仕事や野良着として着ています。

 私が選んだ3句 ○喜んで良いのか寿命また伸びる
             一寸だけ背伸びをします八十路でも
             伸びをしてさあどう過ごす今日一日(ひとひ)


  先生が選ばれた3句  暇な日は不思議と髭がよく伸びる
                 欠伸には欠伸で返す老い二人
               ○伸びをしてさあどう過ごす今日一日


兼題「塩」 塩揉みが私のレシピこれ一つ
 妻が入院している時、菜園で植えていた小カブが大きくなってきたので収穫し、漬け物店で買ったのをまねて塩揉みにしてみました。最初にした時は塩をたくさん入れすぎ、塩辛くて食べられませんでした。2回目に挑戦した時もまだ塩が多く、水にさらして塩抜きをして食べました。3回目作った時は少し塩が足らない感じでしたが、退院してきた妻が美味しいと言って食べました。
 私が出来るのは塩揉みだけでしたが、退院した妻は大きくなりすぎた小カブでカブ蒸しなどをつくって食べさせてくれました。その後、娘から教わった「かんたん酢」を使った漬け物も食べました。

席題「揃う」 出番なく虫の餌になる三つ揃い
 現役時代は、一寸気の張る場には三つ揃いを着用していました。しかし現役を引退し、そのような場がすっかりなくなり、三つ揃いはおろか、ネクタイに背広を着用する場がほとんどなくなりました。特に三つ揃いは全く出番がなく、洋服ダンスに樟脳などを入れていなければ虫の餌になるだけです。

2022年11月川柳教室
兼題「角」 角が取れ笑顔が増えてシワも増え
 頑固親父と言われていても、年を取り、角が取れると少しずつ笑顔が増えていきます。そして笑顔が増えると笑いじわが増えていきます。私もそのように笑い次話が増えるような人生を送りたいと思います。

兼題「叩く」 根性と我慢の上の叩き上げ (互選6点)
 叩き上げといわれる人はきっと最初はぼろくそに言われ、日々我慢の連続だったと思います。そこで音を上げるのではなく、根性でやり遂げることによってたたき上げといわれる自信がつくのだと思います。私にとっては一番遠い存在です。

 私が選んだ3句  後ろから背中叩いて人違い
           ○外で肩内では尻を叩かれて
            叩かれる前にゴキブリ様子見る


  先生が選ばれた3句  母さんの肩を叩いてワンコイン
                どの家も一つはあった蝿たたき
               ○何かしら叩きたくなる長い棒


席題「癖」 大慌て寝癖のままでゴミを出し
 今朝は妻の「もう8時よ!」と言う声に飛び起きました。9時には家を出なければならないからですが、今日はゴミ出しの日。妻は退院したばかりでゴミ出しが出来ません。とりあえず顔も洗わずにゴミ出しに行きました。きっと髪はぼさぼさだったと思います。幸い登校する小学生以外に出会うことはなく、近隣の人に哀れな姿をさらすことはありませんでした。

2022年10月川柳教室
兼題「青」 渡り切る自信がなくて次の青 (互選11点 天)
 横断歩道にさしかかっても、すでに向こう側の先頭の人が半分以上渡っているのが見えると、途中で横断歩道の信号が点滅を始めれば走らなければならなくなります。だからこの年になるとそのような時は次の青信号を待つことにしています。

 私が選んだ3句 ○コスモスの笑顔が揺れる青い空
             臆せずに挑戦できた青かった
              物価高青息吐息低所得


  先生が選ばれた3句  コスモスの笑顔が揺れる青い空
                 渡り切る自信がなくて次の青
               ○臆せずに挑戦できた青かった


兼題「咲く」 咲くもんかだだこねたよう金木犀
 新聞では9月下旬から10月上旬にかけて金木犀の開花の情報が見られました。しかし我が家の金木犀はさっぱり咲く気配がありませんでした。まるでだだこねているように思っていましたが、今朝門を出ようとすると金木犀が香り、見ると遅ればせながら花が咲いていました。

席題「節約」 割引のシールで決まる夕レシピ
 妻とスーパーへ買い物に行くと、食品ロス軽減に協力すると言って買い物篭に入れます。そして夕食のメニューは早く食べなければならない割引の食品を使った夕食がテーブルに載ります。これこそやりくり上手な妻の腕の見せ所です

2022年9月川柳教室
兼題「新米」 ITは新米たちに教え乞う
 私の職場にパソコンが導入されたのは昭和60年頃でした。それまでワープロソフトは使っていましたが、パソコンにインストールされているいろいろなソフトの機能は使うことが出来ませんでした。しかし、新しく卒業してくる若者はコンピューターの扱いに慣れているので、使い方を教わることが多く、お陰で彼らとコミュニケーションを深めることが出来ました。

兼題「構える」 今日もまた構えた位置に行かぬ球 (互選8点)
 これまでの人生で「してやったり」と思えるような判断や処理をしたことがありません。いつも結果的にピントが外れていたり、ごまかしで課題を収めてしまったりと、反省することばかりでした。一度でもドンピシャリと思えるような思いをしてみたいものです。

 私が選んだ3句  心構えをして姿見を見ています
             構えたら構えただけの苦労積む
           ○門構えぺんぺん草が格を下げ


  先生が選ばれた3句  心構えをして姿見を見ています
               ○今日もまた構えた位置に行かぬ球
                 前触れもなく姑が玄関に

 先生に私の句を○を付けて選んでいただいたのは初めてのことです。男性3人の内 二人はNHKラジオの最近のぼやき川柳で続けて大賞に選ばれたことを紹介されていたので、寂しい思いをさせないようにおまけで選んで下ったのでしょう。

席題「箱」 レジ袋買わずに箱に詰め帰る
 レジ袋は買ってもせいぜい5円ほどですが、買うとエコにならないし、損をしたように思うので、店で準備してくれている段ボールの空箱に買った品物を詰め込んで帰ります。しかし、来年車を手放すとこのようなことは出来ません。エコバッグかリュックを必ず持参することになるでしょう。

2022年8月川柳教室
兼題「客」 来客があるので部屋を掃除する
 台所、居間、寝室、風呂、トイレは日常的に掃除をしますが、座敷や玄関など、普段は人が立ち入ることがないのであまり掃除しません。だから、来客があると知ると、前日に急いできれいに掃除をします。特にコロナ禍になって来客が少なく、掃除の回数が減りました。
 先生いわく、部屋をきれいに保つには、常に来客があることだといわれました。

兼題「怠る」 コロナ禍と酷暑にかまけ怠け癖 (互選2点)
 一日のスケジュールは夏休みに入って、早朝の涼しい間の水やりやゴミ出し、野菜の収穫など屋外の仕事をします。そして三日に一度洗濯をします。朝食後は新聞を読んだりしながら屋内でエアコンのお世話になっています。
 昼食後は昼寝です。朝早く起きるのでぐっすり二時間ほど眠ってしまいます。目が覚めてもぼんやりしていて、何も手につきません。せいぜい夕刊を読んだり、テレビを見たりしています。朝水やりが出来なかった日は6時半頃から水やりをします。ホースの届かないところはバケツで水やりをしますが、後はホースで楽をします。この中の自粛生活で出かけることもなく、怠惰な生活に陥っています。

 私が選んだ3句  怠けても一丁前の汗の量
           ○四六時中すり寄ってくるなまけぐせ
             怠けてはいません回り早いだけ


  先生が選ばれた3句  気を抜いた時の仕事が褒められる
               ○なまけもの遂に米寿になりました。
                 怠けるとボーナス少し少な目に


席題「留守」 宅配が留守に限ってやって来る
 めったに留守にすることはありませんが、不思議とちょっと留守をしているときに限って宅配の留守中に来たという伝票が入っています。

2022年7月川柳教室
兼題「水」 女房の水着姿は見ずじまい (互選0点)
 妻の子どもの頃の話は、毎日が海での楽しかった話題。特に夏休みは朝から晩まで泳いでいたと言っています。そして独身時代も友達と泳ぎに行ったり、海辺でキャンプをしたり楽しんでいたそうです。

 しかし結婚後は海に行くことはなく、子どもが出来てからは、浜辺で私と子どもが泳いでいる姿を眺めるだけでした。どうも私に水着姿を見せるのがいやだったのかもしれません。

 私が選んだ3句  水を待つしなびた花のかすれ声
             誘い水すればポンプは生きかえり
           ○打ち水をくぐる夕日が虹となる


   先生が選ばれた3句 ○あの時に飲んだ泥水また疼く
                  打ち水をくぐる夕日が虹となる
                  水槽で石を蹴飛ばす金魚です


兼題「走る」 遺伝子が走り競争苦手にし
 私は運動会が苦手でした。特に徒競走ではいつも飛び抜けてのビリでした。妻も運動すべてが苦手で、今も家で退屈しているので、グラウンドゴルフに誘うのですが、運動は嫌だと受け付けません。そんな二人の間に生まれた子どもたちはやっぱり運動神経が発達しているとはとうてい思えませんでした。きっと走り競争は苦手だったと思います。

席題「曲げる」 へそを曲げ何でも彼でもイヤイヤし
 我が子や孫たちはそのようなことはありませんでしたが、このような様子の陽司を見かけることがあります。親はいろいろ宥めるのですがいっこうに聞く様子がありません。しまいにもう知らないと見捨てて行ってしまうと、心配のなって慌てて親の後を追いかけていくのです。しかし泣き止むことはないようです。

2022年6月川柳教室
兼題「声」 耳遠い妻との会話けんか腰
 妻は補聴器をつけずに質問をしてくることがよくあります。そんなとき少々大きな声で答えても聞こえないといいます。仕方なく耳元で怒鳴り声で返事をします。見ている人はきっと喧嘩をしているように思うことでしょう。

兼題「頼る」 三食を頼る妻には頭下げ (互選7点)
 コロナ禍以来、特に家で妻の手作りの食事を3食食べています。たまたま出かける時も妻の手作り弁当持参です。こんなことが2年以上続くので、妻は食事作りに飽きたとぼやいています。しかも毎食私が当たり前のように食卓に着くのでますます腹が立つのでしょう。一度私が作るといってテを出したことがあるのですが、段取りが悪い、やり方が間違っているとかえって腹を立てるので、以来手を出しません。食事に連れて行かないのも不満の種ですが、田舎にいると近くに妻を満足させられるようなレストランなどありません。毎食「ありがとう、いただきます」といって食べるしかありません。

 私が選んだ3句 ○頼らずに生きる気力と知恵をもつ
             頼られるつもりでいるが忘れられ
             頼られてまだ役立つと前を向く


  先生が選ばれた3句 ○頼らずに生きる気力と知恵をもつ
                 三食を頼る妻には頭下げ
                 頼られてまだ役立つと前を向


席題「積む」 ミサイルが積み上げた幸一瞬に
 ウクライナの街がロシア軍のミサイルで一瞬にして破壊されているニュースを見るたびに、戦争とは如何にむなしいことかという思いをしています。相手を殺し、破壊をしなければ自分が殺されるという戦場の兵士の心理を利用し、指導者は自分の欲望をむさぼっていて自分は決して戦場で戦うことはありません。ます。兵士にとって戦争ほど理性を失わせることはありません。

 しかし、日本の指導者も戦争に備えて軍備を増強しようとしています。戦争放棄という貴重な憲法を守ろうとしない日本政府の方針をなんとか変えたいものです。

2022年5月川柳教室
兼題{鈍い} 鈍感が失恋をした後悔に (互選0点) 先生に意味がわからないといわれました。
 その昔、独身時代にある女性に想いを寄せていました。しかし彼女は私のことを友達としては良いけれど、恋の対象ではないと言っていたと人伝に聞いていました。だから早々と諦めていました。ある月夜の日に、たまたまふたりで歩くことがありました。彼女は「今夜の月はとってもきれいね」と言いました。後で知ったのですが、女性が月が美しいというのは心を許す時に使う言葉だそうです。鈍感な私は本当にきれいだねと返事したきりでそのまま別れました。後に私が結婚することを知った時、廊下ですれ違った私の背中を思い切りぶってきました。なぜぶたれたのかは後々知ることになりました。

 私が選んだ3句  指先の鈍さがわかるスマホかな
             ツーカーのカーが近頃鈍くなる
           ○嫌なこと感度を下げる老いの知恵


  先生が選ばれた3句 ○反応は鈍いが鈍な人が好き
                 嫌なこと感度を下げる老いの知恵
                 鈍くても平和な暮らし出来てい


兼題「涙」 子役でも涙を流し演技する
 朝ドラの「心」を観ていた時、女子中学生の子役が悲しい時に涙を流して演技しているのを見て、ついついもらい泣きをしてしまいました。その後女の子ばかりでなく小さな男の子でも涙を流して演技するのをよく見かけ、すごいなと感心してみています。

席題「遊ぶ」 グラウンドゴルフの仲間自粛なし
 コロナが初めて蔓延し始めた頃、最初の自粛の通達で2ヶ月ほど休みましたが、その後は屋外でマスクをつけて競技をするので、休むことはありません。学校の長期休暇以外はずっと楽しんでいます。長期休暇中はグラウンドを子どもたちに譲っています。

2022年4月川柳教室
兼題「みどり」 春風に亡母の植えた樹芽吹きだし
 母は庭にたくさんの樹を植えています。それらが芽を吹き、庭は一面みどりがです。常緑樹も古い葉を落とし、すっかり若葉に衣替えしました。妻が植えていたチューリップなど花々が一応咲き終え、今は母の植えたさつきひらどのつぼみが咲き始めようとしています。庭木の剪定は大変ですが、この時期は本当に心癒やされます。

兼題「つまらない」 正答が五歳チコちゃんしらけさせ (互選3点)
 つまらないというお題をもらって考えていた時、たまたま「チコちゃんに叱られる」という番組を見ていて、チコちゃんが正答に「つまんねえやつだなあ」と言っている場面を見ました。その表情が印象に残り、ついこの句を詠んでしまいました。

 私が選んだ3句  つまらない日などなかった幼い日
             お茶をして話が果てぬ孫自慢
            ○感謝してつまらぬ事も喜びに


  先生が選ばれた3句  犬でさえつまらなそうに出る散歩
                 つまらない日などなかった幼い日
                ○つまらない日は思い切りワッハッハ


席題「育つ」 子育てを終えて一息孫が待つ
 上の娘と下の息子は六歳離れています。息子が大学に進学し、下宿するようになって二人きりになったと思っていたら、娘に双子が生まれ、世話が大変だと里帰りをしてきました。それからさらに下の子どもが生まれ、4年ほど孫育てをしました。実にかわいく楽しい時期でした。孫たちは大きくなっても未だに「ただいま」と言ってやっていきます。

2022年3月川柳教室
兼題「緩い」 ゆるゆると亡父母に会える日近づいて (互選5点)
 父は63歳、母は44歳で他界しました。長寿と思っていた姉も84歳で他界、兄は2歳年上で存命ですが、私自身姉の年齢を超え、身体にがたが来ています。75歳が私の生涯と考えていたので、もう10年もおまけの人生を感謝しながら過ごしています。なき両親に出会えるのも時間の問題です。

 私が選んだ3句 ○褌を緩く結んで好好爺
             ご近所はちょっと緩めのお付き合い
             ゆるい球投げれば夫もゆるい球


  先生が選ばれた3句  しっかりと閉めたつもりが緩い蓋
                 ご近所はちょっと緩めのお付き合い
               ○ゆるい球投げれば夫もゆるい球


兼題「机」 机上では黒字のはずの家計簿が
 妻はやりくり上手で、長年かかって貯金を蓄えていました。しかし、家内が病気で入院して以来、私がお金を扱うようになり、貯金がどんどん減っていく感じで、家計簿こそつけていませんが年金では追いつかない感じがします。どこかで無駄な出費をしているようです。

席題「足す」  まだ自粛物足りなさがつきまとい
 足すを足ると勘違いしてしまいましたが、先生は認めて下さいました。自粛生活では外食や映画鑑賞などすることがなくなり、近所の人たちとも自由に交流できず、夫婦ともにずっと物足りなさを感じています。おまけにこの二年の間に体力が落ちたのが現実で、コロナが収束しても、それまでの生活は望めそうにありません。

2022年2月川柳教室
兼題「辿る」 遍路道徒歩で辿れば感謝道 (互選1点)
 68歳から四年間四国88か寺霊場を、その直後一年間は小豆島の94霊場を、先達に案内されて歩き遍路をしました。その後、バスツアーで1回だけ四国巡礼、西国33か寺は公共交通機関を中心に、不便な所や遠距離は自家用車で回りました。そして妻が病気をしてからは自家用車で四国霊場をほぼ巡りました。

 しかし、遍路道はやっぱり歩き遍路でなくては本当の素晴らしさはわからないということを知りました。歩いていると、小学生は笑顔で挨拶をしてくれます。また女子高生がわざわざ自転車を降りて励ましてくれたりします。そしていろいろな人がわざわざ引き留めてお接待をしてくださいます。歩き遍路の道は感謝の道なのです。車やバスでは決して経験できません。

 私が選んだ3句 ○来た道を辿れば恥と悔い数多
             金婚に辿りついたよそこそこで
             朝からの行動辿り探す鍵


  先生が選ばれた3句 ○辿りつく頂点すでに人が立つ
                 金婚に辿りついたよそこそこで
                 来た道を辿ればきっと母の膝


兼題「春」 新春を言祝ぐ会話機会なく
 コロナ禍で元旦に息子と妻のメイトで新春を祝った以外、地域の新年会もなく、またこちらから出かけることもなく、「おめでとう」という言葉を使わないまま松の内が過ぎてしまいました。2年続けてのこのような新年は淋しい限りです。

席題「目」 鼻眼鏡上目でにらむ祖母怖く
 祖母が針仕事をしている時、鼻眼鏡で上目遣いにこちらを見ます。幼かった私はにらまれているように感じて祖母が怖いと思っていました。

2022年1月川柳教室
兼題「背中」 ああ痒い背中柱にこすりつけ (互選2点)
 へ伊勢元年、地域に下水道が完成し、トイレを水洗にするのに合わせて風呂タブも変えることにしました。プラスチックは使う内に黒ずむし、ホーローは堅いものを落とすと痛みます。その点丈夫で錆びないステンレスの風呂タブが良いと思いました。

 その頃から背中が痒いと思ったのですが、金属アレルギーがあるということを後に知りました。背中は手の届かない場所があります。考えてみるとその場所は風呂に入った時バスタブにもたれる場所です。痒いと感じた時、手っ取り早く掻くことが出来るのは柱の角です。それ以来長年柱のお世話になっています。

 私が選んだ3句 ○力走の背に浮いている孤独
             籐椅子に母の背中は上手く添い
             背の丸さ母に似てきた影法師


  先生が選ばれた3句  嘘つけば背中にちゃんと書いてある
               ○籐椅子に母の背中は上手く添い
                 背の丸さ母に似てきた影法師


兼題「いそいそ」 良い句でき心うきうき出かけます
 兼題を「いよいよ」と間違って作句して教室に出かけましたが、間違いに句付き慌ててその場で句を詠みました。苦し紛れの句で後から「良い句でき今日はいそいそ出かけたが」くらいにした方が良かったかなと思いました。

 好評の中で、自分で良い句ができたと思っても、みんなから受けないことが多く、最初に思いついた句は捨てて、改めて詠む方が良いことがあるなどと助言いただきました。

席題「元気」 賀状には夫婦元気と添え書きし
 コロナ禍でなかなか人に会うことがありません。賀状の印刷に加えて、「お陰様で二人とも元気に過ごさせてもらっております」などと添え書きしたりしています。

2021年12月川柳教室
兼題「袋」 ウソ重ね袋小路でギブアップ (互選1点)
 森友学園の問題では、国会の答弁などでずいぶんウソの弁解がありました。そして裁判で徐々に追い詰められていくと、ついに国が1億円の賠償を支払うことでギブアップしてしまいました。個人的には1億円は国の税金ではなく、安倍晋三氏と麻生太郎氏が支払うべきだと思ったりします。

 私が選んだ3句  3円を惜しみ持参のマイバッグ
           ○レジ袋カバンの中に居場所あり
             ダメなのねまた忘れたと買う袋


  先生が選ばれた3句  はやぐいの妻に胃袋四つある
               ○レジ袋カバンの中に居場所あり
                 袋持ち詰め放題の知恵しぼる


兼題「眩しい」 やましさを探る眼光眩しくて
 やましい気持ちで帰宅した時、妻の探るような目付きに見えて、別に疑われていなくても、なんとなく目を合わすことが出来なくなります。

席題「声」 カラオケも収束すれば大声で
 先日のグラウンドゴルフの親睦会で久しぶりでカラオケを歌いました。それまでの2年間はベートーベンの第九やカラオケを歌うこともなく、大声を出すことがありませんでした。再びオミクロンが蔓延し始めたようで、まだ当分は気持ちよく歌うことは出来そうにありません。

2021年11月川柳教室
兼題「箱」 父ちゃんの土産何かな玉手箱 (互選1点)
 私が明石駅近くで勤務していた時、電車待ちで同僚とパチンコを楽しんでいた時期がありました。月3000円の小遣いで、1日300円と決めていましたが、1年ほどで10000円負けたことできっぱりやめてしまいました。

 パチンコに勝った時は、チョコレートなどをお土産に持ち帰りました。子どもたちはたまに持ち帰る景品がポケットから出てくるのを喜んでいました。ポケットを玉手箱と詠みました。

 私が選んだ3句 ○出番なく箱に納まる夫(つま)の下駄
             トロ箱の外へ足出す明石蛸
             下駄箱の隅に履かないハイヒール

  先生が選ばれた3句 ○トロ箱の外へ足出す明石蛸
                 プレゼント箱の中でもはねている
                 父ちゃんの土産何かな玉手箱

兼題「豊か」 表情も豊に話す女性(ひと)見とれ
        発想が豊かな妻を当てにして
 電車の向かいに座る女性が表情豊かに喋っているのを見て、その明るさについつい見とれてしまうことがあります。私のまわりにはそのように表情豊かに話す人はいません。

 妻の発想豊かな才能には感心し、自分の発想に貧弱なことをつくづく思い知らされます。「何が食べたい?」とよく聞かれます。私は「焼きめし」などとありきたりな返答しか出来ません。しかし妻は、冷蔵庫の材料を思い描くのか、全く予想外の料理を作ってくれます。ドライブでもしかり、行き先を私に任されると、今まで行ったところに少しアレンジすることしか出来ません。しかし妻は先ず高速で少し遠いところまで行って、新しい場所や道を発見して楽しませてくれます。

席題「悩む」 悩みなどないと威張ってみたけれど
 おまえは悩みがあるか?と聞かれることがありますが、悩みなどなく、幸せな日々を過ごしていると思っています。しかし考えてみると、自分は鈍感で、周りが見えていなくて、自分中心に生きているのだろうと思います。

2021年10月川柳教室
兼題「虫」 虫下し黄色い視野を騒ぐ子ら (互選1点)
 句を詠んだときから、みんなには理解されないだろうと思っていましたが、案の定説明するまでは互選に取り上げられ、誰も真意は理解してもらえませんでした。

 終戦直後の小学校では子どもたちの衛生状態、栄養状態は最悪でした。女の子は頭にシラミをわかし、DDTを振りかけられていました。そして回虫をわかしている子も多く、全校一斉に虫下し「まくり」を飲まされました。飲んだ直後一時的に黄疸の症状が出て、目の前の景色が黄色く見えます。私は小学校3〜4年生の頃で、みんな騒ぐのが好きな年齢、「おまえの服はまっ黄っ黄!」 「おまえの顔もまっ黄っ黄!」などと大騒ぎしたものです。懐かしい想い出です。

 投句後、「虫下し黄色い視野に子ら騒ぎ」と詠んだ方が句の広がりがよかったのではないかと反省しました。

 私が選んだ3句  政治家は玉虫色が好きらしい
           ○丸まってただ時を待つ団子虫
             時として頭に背く腹の虫


  先生が選ばれた3句  にぎりしめママにお土産だんご虫
               ○鈴虫の鳴いてうつつの夢を見る
                 時として頭に背く腹の虫


兼題「配る」 配るのは行事中止の知らせだけ
 今年3月まで地域の老人クラブの会長をしていました。昨年花見がコロナで中止になって以降、会員への配布物は秋の親睦旅行、新年会などすべて中止のお知らせばかりでした。

席題「リズム」 何事もリズム音痴で壊す役
 なかなかまわりのリズムに合わせることが出来ません。思考が遅いのです。昔麻雀をしたことがありました。私以外はリズムよく牌を取っていらない牌を捨てます。しかし私の所でいつも止まってしまってリズムが続きません。まわりの3人はイライラしていました。そんなわけで、いつか私は麻雀に誘われることはなくなりました。そんな私が19年も第九合唱団で歌えたのは奇跡です。

2021年9月川柳教室
兼題「顔」 義母に似た妻の笑顔も先が見え
 妻に限らず、電車でも向かいの座席に座る親子の顔がそっくり。娘の方は若々しくすてきな笑顔をしていますが、母親はすでに還暦近く、肌つやも皺もすでに老境に近づいています。かわいい笑顔の娘もやがて母親のような顔になるのだろうと想像できます。

兼題「会う」 会えるかな今朝のウオークあの女性(ひと)に (互選3点)
 80歳の挑戦として富士山に登るためのトレーニングを、1日1万歩目指して宅近くの浜の散歩道でウオーキングを週に3日ほど半年続けました。そのとき、日傘を差して子犬の散歩をしている若い女性から「おはようございます」と笑顔で挨拶されることがありました。もちろん全く知らない人で、きっと出会う人みんなに挨拶していたのだろうと思います。それでも出会うとなんだかさわやかな気分になりました。

 私のウオークは目が覚めた時間に出かけるので時刻はまちまちだし、毎日ではなく、別の場所でのトレーニングもしていたので、めったに出会うことはありませんでした。それでも今朝は会えるかなの期待しながらウオークしたものです。

 私が選んだ3句  旅をする未知の私に出会うため
           ○言い過ぎて後で冷たい風に会う
             会いたいと思う心の人がある

  先生が選ばれた3句 ○一度だけ会ってみたらで半世紀
                 旅をする未知の私に出会うため
                 再会を信じて今日もストレッチ


席題「声」 通学路声をかけるのためらわせ
 小学生の登下校を見守るスクールガードというボランティアがあります。私は家の前の信号のある交差点で週3日下校の見守りをスクールガードの制帽をかぶってしています。と言ってもいろいろな活動と重なって、必ず出来るわけではありません。おまけに最近はマスクをしているのでお互いに顔を覚えることは困難です。

 朝、ゴミ出しをしているときに登校する子どもたちに出会うのですが、おはようと声をかけても怪訝な顔をされたり、無視されることがよくあります。今は知らない人に声をかけられても無視したり、不審者から逃げるように指導されているからです。だから最近はスクールガードの制帽をかぶっていないときには子どもたちに挨拶や声かけをしないようにしています。

2021年8月川柳教室
兼題「嘘」 顔色にすぐ出る僕は嘘苦手 〈互選2点〉
 嘘をついたときだけでなく、喜怒哀楽を抑えようとしてもすぐに顔色に出てしまいます。子どもの時から気が弱かったせいかもしれません。だから嘘をついてもすぐにばれてしまいます。したがって隠しごとは出来ません。

 私が選んだ3句  幼子は目の動きから嘘わかる
             うそつけばはっきり判る鼻の穴
           ○母さんは気付かぬ素振り僕の嘘


  先生が選ばれた3句  同じ嘘五回も聞けば本当かと
                 うそつけばはっきり判る鼻の穴
               ○嘘を生み嘘をふやして大家族


兼題「転ぶ」 手をつなぎ寝転んで見た青い空
        また転びついに大腿骨を折り

 妻は若い頃から骨粗鬆症で、かかりつけ医から転んだら命取りだと言われていました。にもかかわらず干していた布団を取り込もうとして仰向けに転び、脊椎を圧迫骨折しました。その後腰椎を骨折し、2年前庭で履き物が挟まり、転んで大腿骨を骨折しました。幸いすぐに手術を受け、リハビリに励んだお陰で歩けるようになりました。しかし、長く歩くと痛み出す事があり、すっかり行動が消極的になってしまいました。

席題「磨く」 何事も磨かないまま特技なし
 昔からすぐ諦めてしまうので、何事も達成感を得る事はありません。ギター、キーボード、マンドリン、エレクトーンなど、お金をかけましたが、根気よく練習する事もなく、どれも中途半端でやめてしまいました。写経も10数年続けていますが、全く上達しないし、川柳もまたしかりです。

2021年7月川柳教室
兼題「癖」 気がつけば親父の癖を引き継いで
 私の育った家は神戸の山手にあり、昭和7年の建築にしては珍しく水洗便所でした。しかも家に二つもトイレがあったので、親父はいつも新聞を持ち込み、長時間トイレにこもっていました。

 我が家は平成の初めに下水道が整備され、念願の洋式トイレになりました。2年前スマホを買って以来、スマホのニュースが気になってトイレの中で見てしまいます。少し時間が長くなるとドアの外からノックされてしまいます。

 私は洋式のトイレなので座っていても苦になりませんが、親父は和式でよく長時間しゃがんでいたなと感心してしまいます。

兼題「泣く」 泣き上戸今日も悲しいネタ探し〈互選0点〉
        涙目で見つめられれば闘志萎え 〈互選2点〉
 欠席が多かったので参加者は6人でした。したがって2句投句しました。
 私は女性の涙には弱いのです。だから腹が立っていても涙を見るともう攻める勢いはすっかり萎えてしまいます。もっとも、最近は女性の涙を見る事はありませんが‥

 私が選んだ3句  少子化で泣く子に会わぬ世が淋し
             泣く涙かれて夫の通夜となる
            ○児は母に一番近い所(とこ)で泣く


  先生が選ばれた3句  涙目で見つめられれば闘志萎え
               ○泣いたわけいっぱい聞いた母の膝
                 甲子園行進見ると泣けてくる


席題「帽子」 中折れ帽試着してみて笑われて
 若い頃、教授がベレー帽をかぶっているのがすてきに見えました。そしてあこがれの女性もベレー帽をかぶってとてもチャーミングに見えました。そこで私もグリーンのベレー帽を買いました。結婚後そのベレー帽をかぶっていると、妻に「似合わない」といわれ、帽子はもっぱら野球帽か登山帽しかかぶりませんでした。その後高齢になって中折れ帽を引き出物に貰いました。私は気に入ったのですが、私がかぶると妻が笑うので、大事に仕舞ってあります。いつか冬に盛装したときにかぶろうと思っています。

2021年6月川柳教室
兼題「緑」 旅先の緑茶香りも味も無く
 私が泊まる宿は、休暇村など決して高級なところではありません。したがって、宿について先ずくつろぎながら部屋に備え付けのお茶を入れます。ところがどの宿の緑茶も色は出ますが味も香りもありません。

 高級な宿で、部屋付の仲居さんが入れてくれるお茶はきっと良い香りで美味しいお茶だろうと思います。

兼題「戻る」 後戻りしないばかりにまた迷い 〈互選3点〉
 ドライブをしていて、間違って交差点を曲がってしまったり、曲がるところで直進したりしてしまいます。間違いに気づいたときにすぐに引き返せば良いのですが、適当に走っていたらその内に目的地へ行けるだろうとそのまま走り続けて、どこを走っているのか見当がつかなくなってしまいます。

 人生においても同じことで、なんとかなるだろうとそのまま続けている間に、とんでもない結果になり、人様に迷惑をかけたり、さも自分はその結果を目的にしていたかのごとくごまかしてしまうことがありました。自分の最大の弱点です。

 私が選んだ3句  悪びれた様子も見せず猫戻る
           ○寝過ごして戻った駅に星が降る
             元栓を閉めたかなーとまた戻る


  先生が選ばれた3句  戻りたい自由な時間を夢見た日
               ○寝過ごして戻った駅に星が降る
                 後戻りしないばかりにまた迷い

席題「詰める」 座席詰め隣の人ににらまれる
 山陽電車は横並びの座席が多く、比較的空いているので、コロナ禍では乗客は適当に間隔を開けて座っています。ところが途中の駅で高齢者が乗ってくると、ついつい座席を詰めてしまいます。するとソーシャルディスタンスが狭くなったと不快な表情をする女性の乗客がときどきいます。

2021年5月川柳教室
兼題「命」 命より大切なもの見当たらず
 世界では、宗教信仰のために命を捨てたり、香港やミャンマーのように民主社会を守るために命を賭けて戦っている人々がいます。私はと言えば、このような恵まれた日本社会の中で、感謝こそすれ、命をかけて戦う相手はありません。今は自分の命、まわりの人の命を大切にするだけです。

兼題「燃える」 この年でまだ燃えている馬鹿男 (互選2点)
 家でテレビを見ているとついつい居眠りをしてしまいます。老人がぼけていく過程だと自覚しています。しかしいったん外へ出ると、グラウンドゴルフをしていてもホールインワンを人より多く記録しようと燃えてしまいます。たかが遊びなのに馬鹿だなあと思ってしまいます。

 私の選んだ3句 ○この生命白紙委任の手術台
             遠くまで命つなぎに医者通い
             命ってすごい花瓶の水が減る


  先生が選ばれた3句  この命白紙委任の手術台
                 遠くまで命をつなぐ医者通い
               ○命ってすごい花瓶の水が減る


席題「貸す」 借りるより貸して心を安らげる
 何か借りると返さねばと落ち着かない暮らしになります。それよりも貸したときの方がその人の役に立ってるかなと思ったり、貸したことを忘れてしまったり、心穏やかな暮らしが出来ます。

2021年4月川柳教室
兼題「袋」 まだ使うこのレジ袋八回目
 レジ袋が有料になる前、地元の農家が生産する新鮮野菜を売る店で貰ったレジ袋は大きくて丈夫でした。だからきちんと畳んでとってあります。レジ袋が有料になってからそのレジ袋を重宝しています。1枚5円程ですが、やっぱり環境問題もあり、汚れたり破れたりしない限り、同じレジ袋を何回も使っています。

兼題「覗く」 餌の台覗けば二羽の雀きて (互選1点)
 先頃一時雀の姿をあまり見なくなりました。神戸新聞夕刊の「いい耳」欄に仏壇に供えた御飯を雀にやると喜んで食べに来ると投稿されていました。私は今まで捨てていたのですが、試しに決まった場所に載せてみました。すると人の姿があたりに見えないときに雀がやって来てつついています。窓からガラス越しに覗いていると、最近はたくさんやって来ます。近くの電柱の高いところに巣を作ったらしく、雀の声がよく聞こえてきます。冬の間はヒヨドリも来るので、どちらが食べているのかわかりませんが、一粒も残さずきれいになくなっています。

 私の選んだ3句 ○見ないでと言うから覗く鶴の部屋
             古書店を覗き昭和へ話しかけ
             怒ったの隣の顔を覗き見る


  先生が選ばれた3句 ○見ないでと言うから覗く鶴の部屋
                 明日を覗くように日めくりそっと剥ぐ
                 古書店を覗き昭和へ話しかけ


席題「楽」 楽隠居期待したほど楽でなく
 老人クラブの二つの責任ある役から解放され、ホッとするとともにマイペースの生活をしようと思っていたのですが、これまで家で片付けなどしていなかった為、書類の整理や破棄など結構せかされます。さらに私がぼんやりテレビを見たりしていると、3食の世話ばかりしているのに腹が立つと妻に言われ、のんびりしておれません。、

2021年3月川柳教室
兼題「ためらう」 ためらわず手術を受ける妻眩し
 妻は70歳を過ぎて4回も手術を受けています。はじめは頸椎狭さくの治療で、首を手術すると言われ、さすがに3ヶ月我慢しましたが、いよいよ左腕の痛みとしびれに耐えかねて手術を受けました。

 その後8時間以上かかると言われた手術、身体の一部を切り取る手術などは、医者の言う手術をあっさり受け入れました。そばで見ていてもよく決意し、挑んだと思います。最後の大腿骨の骨折は救急車で運ばれ、否応なしにプレートを埋め込む手術で、これは寝たきりにならないためにも仕方がないと思ったのでしょう。

 術後のリハビリも積極的で、医者からは優等生だと褒められる程でした。動作はゆっくりですが、一応家事がこなせる日日で、すごいなと感心しながら見守っています。

兼題「弁当」 高原の風もおかずに手弁当 (互選11点・天)
 コロナで自粛生活が続く中、気分転換のドライブはいつも手弁当持参で感染の心配が少ない高原へよく出かけました。さわやかな風を受けながら車中で弁当を食べていると、ストレスも吹き飛ぶ良い気分になりました。

 私が選んだ3句 ○子と母を弁当箱が繋ぎ止め
             早弁も今は想い出母の味
             ドカ弁が昼の飯場の火を囲む


   先生が選ばれた3句 ○高原の風もおかずに手弁当
                  中入りはお重弁当村芝居
                  あの頃の弁当いつも麦御飯


席題「数」 巣ごもりで不快指数上昇し
 ずっと家にいると、私よりも妻の方がストレスをためてしまいます。私は週2回グラウンドゴルフに出かけるのでそれほどでもないのですが、妻の方はだんだんイライラが募ってきます。それを見ているとこちらの不快指数も上昇し、二人で弁当を持参してドライブに出かけ、田舎の道の駅で買い物をすることで、しばらく二人のストレスは解消します。

2021年2月川柳教室
兼題「鬼」 妻の席私にとって鬼門です (互選0点)
 本当は「妻の口」と詠みたかったのですが、「鬼門」は方位を示す言葉なので、「妻の席」と詠みました。妻の口からは時所構わず、とんでもない要求や叱咤が飛んでくるのです。それというのも私が妻に対して気配りが出来ないからでしょう。

 私が選んだ3句  豆まいて我が胸に住む鬼を打つ
             胸の中鬼もいるが福もいる (中六の指摘あり)
           ○内のいる小鬼育っている気配


  先生が選ばれた3句  強くなりたくて小さな鬼を飼う
                 逃げるより追う方が好き鬼ごっこ
               ○内にいる小鬼育っている気配


兼題「咲く」 優しさに心のバラはピンク色
 以前「バラが咲いた」という歌がよく歌われました。「寂しかった僕の心が明るくなった」という歌詞がありました。心に咲く花はバラが素晴らしいと思いました。普段心のバラはは白ですが、寂しいときは青色系、侮辱されて悲しいときは色が消えて灰色に、加齢だと意識したときは茶色系、そして人から優しくされたときは淡いピンク色に。このようなことを想像しながら読みました。、

席題「積む」 巣ごもりで見積もり超える食料費
 先生から「食料費」という言葉より、「食費」という言葉の方がふさわしいので、「見積もり超えるのは食費」と詠むのが良いと指導いただきました。自粛生活が始まって、3食自宅で食事するようになって、5日に1度スーパーなどで買い物するときの食材の金額が今までと違うように思います。

2021年1月川柳教室
兼題「願う」 価値観のご破算願う新コロナ (互選2点)
 そろばんを始めるとき「ご破算で願いましては」と、それまでの玉をすっかりはじいてしまいます。今回の新型コロナウィルスの蔓延で、多くの方が早く元の生活に戻れるようにと願っています。しかし、この機会に元の生活が良いのか、価値観を見直して新しい社会を目指すのか、一度今までの価値観をご破算にして考え直してみる機会にしようではないかとコロナウィルスが提案していると見るのも面白いのではないかと思いました。

 私が選んだ3句  願わくば笑って食べて露天風呂
           ○土壇場になれば合わせる両手です
             お願いは神と仏にしておこう


  先生が選ばれた3句  願わくば笑って食べて露天風呂
                 願わくば卒婚という暮らし方
               ○神様を困らせる絵馬また一つ


兼題「口」 大口を開けて笑った日もあった
 これからもウィルスの感染が治まらず、マスクが常態になるとも限りません。そうなると寄席のように大勢の人が集まって大笑いをすることもなくなるでしょう。そうすれば大口を開けて大笑いした日日を懐かしく思う時代が来るかもしれません。

席題「配る」 気配りの出来ぬ私を妻ぼやく
 川柳教室の後、山陽電車で神戸の県民会館で開催された歴史講座に妻と出かけました。帰りの電車で、私が先導した座席が寒い風がよく通り、西日でまぶしい最悪の座席だとぼやきました。このように私の気配りのなさをしょっちゅう妻にぼやかれています。

2020年12月川柳教室
兼題「ゆるい」 こもる日日緩い坂でも息が切れ
 自粛生活が続き、4〜8月はほとんど運動らしいことはしていませんでした。8月末に少しは気温が下がってきたので、江井島海岸の浜の散歩道へウォークに出かけたのですが、全く足が前へ出ないのにびっくりしました。足の筋肉がすっかり衰えていたのです。5000歩程歩いたのですが、途中からはよろける感じでまともに歩けませんでした。その後2日に1回ぐらいのペースで歩いたのですが、ちょっとした坂道でも息切れがしました。未だに少し長距離を歩くと真っ直ぐ歩けない日日です。

兼題「針」 針山に錆びた1本亡母(はは)の影 (互選5点)
 昔のまち針は花型に切った2枚の紙を貼り合わせたものでした。亡母がなくなった後、そのようなまち針が針山に残っていたのを思い出しました。

 私が選んだ3句  針通す目もだんだんと細くなる
             我慢して見つめる針とナースの手
           ○針千本飲まされたって言えぬ事


  先生が選ばれた3句  針通す目もだんだんと細くなる
                 修羅終えて日向ぼこする針ねずみ
               ○針千本飲まされたって言えぬ事


席題「余る」 今日もまた自粛生活もてあます
        取り分けて余った一つ口に入れ


2020年11月川柳教室 (4月〜10月はコロナ禍で休止)
兼題「立つ」 コロナ禍が立ち居振る舞い静かにし (互選5点)
 コロナウィルスが蔓延するようになり、みんなマスクをしており、公の場で大声で喋っている姿が見られなくなりました。電車に乗っていても実に行儀良く間隔を開けて静かに座っています。

 私が選んだ3句」 ○子がくれるびっくり箱を受けて立つ
              腹の立つ日は賑やかに碗洗う
              泣きわめきたたない子にも訳がある


  先生が選ばれた3句  職を退き新たな自立迫られる
               ○子がくれるびっくり箱を受けて立つ
                 腹の立つ日は賑やかに碗洗う


兼題「ピアノ」 月光の調べ聴きつつ団子食う
 中秋の名月も引きこもり生活では外に出ることもなく、家でベートーヴェンの「月光」を聴きながら月見団子を味わっていました。

席題「聞く」 マスク越し愛のささやき聞き取れず
 小声でささやかれてもマスク越しではよく聞き取れません。だから愛をささやかれたのだと勝手に解釈して喜んでいます。

2020年3月川柳教室
兼題「光」 ピカピカのランドセル背に飛び跳ねて
 娘の嫁ぎ先は栃木県。だから双子の孫たちにはプレゼントの衣服をいろいろ贈ってやっていました。1年生に入学のときもランドセルを買ってやるようにお金を送ってやりました。喜びを素直に表す孫たちは、きっと新しいランドセルを背に二人で飛び跳ねていたことだろうと思いました。25年も以前のことなので想像だけですが‥

兼題「入る」 入る店財布とメニュー見比べて (互選0点)
 滅多に食堂へは入ることはありませんが、たまに入るときは自分の懐具合と、ウィンドーに飾られた見本の値段を自然に見比べています。妻が料理がうまく、つまらぬ料理にお金を支払う気にならないこともその原因です。

 私が選んだ3句 ○シャツの裾入れず粋がる今風と
             風入れてゆるく暮らせば春の色
             残り火に油注入春を待つ


  先生が選ばれた3句  五回抽きやっと大吉手に入れる
               ○風入れてゆるく暮らせば春の色
                コンパスの敵も味方も丸の中


席題「顔」 見守りの子どもたちには外の顔
 小学生の下校時刻に見守りのボランティアを時間があるときだけしています。そのときには出来るだけ笑顔で接するようにしています。

2020年2月句会「魚座」
 新型コロナウィルスの蔓延が心配される中、妻の体調と病院通いの影響を心配し、思い切って句会参加を断念しました。句会に参加することは問題はなかったのですが、公共交通機関に1時間近く乗車することが心配だったからです。句会のために詠んだ句は下記の通りです。
兼題「印」 消印を見て過去の旅思い出す
       印象がまあまあなので結婚し

 私は叔父夫婦の仲人で見合い結婚をしました。見合いの後叔父が「器量はまあまあだがまあまあだろう」と訳のわからない話をしてくれました。私は印象がまあまあだなと思い結婚に踏み切りました。仲人の叔父夫婦というのは私の母の兄と妻の父親の姉で、その夫婦げんかの仲裁を私の親父がしている中で持ち上がった縁談だったのです。私たちが結婚したことで、すべてが円満に解決し、顔を立てることが出来たということです。

兼題「貰う」 貰われていった子犬と夢の中
        新婚の幸せ少し貰い受け

 孫が結婚式に招待してくれました。その初々しい二人を見ていると、私たちも幸せになった気分でした。

兼題「砂」 浜ひるがお熱砂の浜で逞しく
       塩の代り砂撒く子らの浜相撲

 子どもの頃須磨海岸で友達と相撲を楽しみました。砂浜では怪我をすることがないのでいつも投げ飛ばされる私も心配なく相撲を楽しむことが出来ました。そのとき塩の代りに砂を撒いて気分を出していました。

2020年2月川柳教室
兼題「飾る」 首飾りレンゲ畑でプレゼント (互選1点)
 私の子どもの頃は神戸の街中だったので、レンゲ畑などなく、白爪草の花で首飾りなどを作っていました。結婚して明石に住み、勤務するようになってからは子どもたちとレンゲ畑で冠や腕輪、首飾りをよく作りました。プレゼントしたりされたり,楽しい想い出です。

 私が選んだ3句 ○終末を如何に飾るか思案する
             ありのまま生きて飾らぬ顔の皺
             飾りもの一つはずして箱の中


  先生が選ばれた3句 ○鬼も去り無口な部屋に雛飾る
                 春を待つ部屋に黄色のバラ飾る
                 鳥になる虚飾一枚ずつを脱ぎ


兼題「場所」 退職し居場所確保の皿洗い
 退職すれば給料を持ち帰ることもなく、三食世話になるだけでは自分の居場所がなくなってしまいます。そこで自分に出来ることで、妻が一番面倒なことといえば、食後の皿洗いだと考え、退職予定の少し前に宣言して皿洗いに取り組みました。退職してからは掃除機をかけたり洗濯をしたりと、家事を増やしていきました。これには「男子厨房に入らず」を押し通してきた現職時代のプライドを捨てる必要もありましたが、今では私の居場所として楽しんでやっています。

席題「抜く」 プレゼントする下心見抜かれて
 私は滅多に妻にプレゼントすることはありません。だから私だけが外出が多く妻に留守番ばかりさせていると,妻のご機嫌を取るために、ケーキなど買って帰ります。その心はいつも見抜かれています。

2020年1月川柳教室
兼題「ねずみ」 マイカーは汚れ目立たぬねずみ色
 これまでモスグリーン、黄色、白などの車に乗りましたが、銀ねず(一般にシルバーのメタリック塗装と呼ばれています)の車に乗り出してから汚れが最も目立たないことがわかりました。それ以来、車をほとんど洗うことがないサボりの私は、ずっと銀ねずの車に乗っています。

兼題「晒す」 ジーパンを洗い晒して値打ち出す (互選0点)
 街中では特に若い女性が破れて色あせたジーパンをはいているのをよく目にします。それが格好いいのだと思っているようですが、私には足の肌まで見えるようなぼろを身につけている気持ちが理解できません。不思議な流行ですね。

 私が選んだ3句  晒されて野仏の顔ただまるく
           ○恥さらし構えず生きて除夜の鐘
             胸の内晒す勇気があったなら


  先生が選ばれた3句 ○晒されて野仏の顔ただまるく
                 十枚のふきん晒して床につく
                 胸の内晒す勇気があったなら


席題「輪」 たばこ吸い輪に吐く父の得意技
 父のヘビースモーカーは尋常ではありませんでした。当時「光」という名のたばこは半分近くは紙の筒でしたが、それでも1日60本程吸っていました。そんな父が幼い私たちにたばこの煙を口から次々輪にして吐き出しているのが不思議で楽しく見ていました。

2019年12月22日「句会・魚座」
兼題「薄い」 影薄く明日も元気でいてくれと
        ご来光薄暗がりの道急ぐ (平抜き)

兼題「恋」  初恋が冷めた傘寿の同窓会
        今日もまた元気いっぱい恋に生き

兼題「過ぎる」 私にも過ぎた女房おりまして

兼題「指」 指切りをした日の夕日顔も染め
       じゃんけんぽんチョキ出す癖を見抜かれて (平抜き)

2019年12月川柳教室
兼題「絞る」 高音を声絞り出し九を歌う
         先生の指導 高音の第九声を絞り出し
 ベートーヴェンの第九を「九」と表現するのに無理があると思っていましたが、先生はあっさりと訂正してくださいました。まだまだ勉強が足りません。

兼題「舟」 船頭の声聞き惚れて川下り (互選4点)
 「船頭の声に聞き惚れ最上川」の方が良いかなと思いました。「船頭の声」だけで船下りとわかるのではないかと思ったからです。でも無難な方を投句しました。

 私が選んだ3句  こは母船下り独力で舟を漕ぐ
           ○生きてこそ引き揚げ船の子は傘寿
             笹舟になって流れに身を任す


  先生が選ばれた3句 ○生きてこそ引き揚げ船の子は傘寿
                 笹舟になって流れに身を任せ
                 竹と木をつないだ夫婦舟だけど


席題「声」  大声で会話している老い二人
 補聴器を必要とする妻との会話、大きな声で話しかけねば通じません。妻は私も自分と同じように大きな声で話さなければ通じないと思うのか、結構大きな声で話しかけてきます。

2019年11月川柳教室
兼題「ハンドル」 ハンドルはカーナビ様に服従し (互選2点)
 10年前に新車を買った時、ドライブで鷲羽山へ出かけました。往路は道路標識を見ながら迷うこと無く目的地に到着しました。夕日の美しさに見とれ、暗くなり始めた時に帰路につきました。

 ところがすっかり暗くなってしまい、方向感覚が失われ、標識も見えなくなってどこを走っているのかわからなくなりました。それでも姫路方面を示す標識が見え、なんとか国道2号線までたどり着き、ひたすら2号線を東進してなんとか帰り着くことが出来ました。

 この話をすると、息子がカーナビとETCを取り付けてくれました。以来どこへ出かける時もカーナビに目的地を入力し、家の近く以外や走り慣れた道以外は、カーナビが指示する通りにハンドルを回しています。

 私の選んだ3句 ○永田町握るハンドルどこ向かう
             ハンドルを握る人無く立ち往生
             ハンドルを上手く操り波静か


  先生が選ばれた3句  にこにことハンドルさばき上手い友
               ○ハンドルを握りたてがみ靡かせて
                 ハンドルを上手く操り波静か


兼題「青い」 突然に手術と言われ青い顔
 妻が庭で花の世話をしていて尻餅をつき、歩けなくなってしまいました。痛いという妻を車に乗せて、これまでお世話になっていた整形外科へ連れて行きました。ところが病院に着くともう車から降りることが出来ません。看護師さんが車いすを持ってきて乗せてくれました。レントゲンの結果、大腿骨が骨折している疑いで、すぐに救急車を呼んでくださり、医療センターへ行きました。MRI検査の結果即入院、手術を言い渡されました。入院と言われただけでもショックだったのに、手術しなければ寝たきりになると言われ、覚悟が出来ていなかっただけに顔色を失いました。

 幸い無事者術を終え、今は歩行できるように別の病院でリハビリに励んでいます。

席題「遊ぶ」 家事に追われ遊び心もどこへやら
 この度の入院はパジャマなどはレンタルにしてくれたので洗濯の回数は少なくて済みますが、それでも掃除洗濯炊事に追われ、庭の世話がおろそかになっています。おまけに老人クラブの用務がいつも以上に増え、思うように家事が出来ない日もあって、パニック寸前。おまけに年齢のせいか精神的なせいか疲れて1時間程ボーッとしていることがあります。老人クラブの行事や第九合唱団の練習日と重なって欠席することもあり、いろいろなひとにめいわくをかけてしまいました。あと一月なんとか乗り切りたいと思います。
 それにしても自分の食事を作るのが最も大変で、まずくても自分だけ我慢をしていれば済むのですが、妻のありがたさを最も感じる時間です。

2019年10月川柳教室
兼題「花」 突然に花芽ニョキニョキ彼岸花
 我が家の庭には白い彼岸花が植えられています。毎年彼岸頃に何も無い地面から突然花芽が顔を出し、30p程伸びてきます。年々その数が増え、まさにニョキニョキという表現がぴったりです。


兼題「踊る」 旅先でうちわ持たされ踊りの輪 (互選4点)
 夏に札を訪れた時、大通公園がとんな所か見たくて散歩がてら夜に出かけました。そこには櫓が組まれ、大勢の人が盆踊りに興じていました。すると地元の人がうちわをくれ、どうぞ輪の中へと勧められました。これまで地元では踊ることはありませんでしたが、旅先の開放された気分でついついみんなと踊りました。と言っても踊りやダンス音痴の私ですから、真ん中で踊っている地元に人を見ながら真似をしているだけでしたが、結構楽しむことが出来ました。

 私の選んだ3句  同窓会密かな想い胸踊る
             秋風に踊っていますススキの穂
            ○幼子の踊る仕草の愛らしさ


  先生が選ばれた3句  一言で小踊りしたり怒ったり
               ○コスモスのみんな主役の舞踏会
                踊りたくなってしまったほめ言葉


席題「難しい」 トランプが困難な世に陥れ
 世界の国家間で信頼の上に立っていろいろな協定が結ばれてきました。しかしトランプが大統領になって以来、アメリカの強さを笠に着て、TPPや温暖化への協力を台無しにし、中国との貿易戦争を始めてしまうなど、世界中を混乱に陥れてしまうように思います。イランが原子力を兵器に使おうとするのもトランプのせいです。本当に困った大統領です。

2019年9月22日「句会・魚座」
兼題「囲む」 女子会が鍋を囲んでかしましい
        芋の香に孫も加わるたき火の輪

兼題「種」 井戸端の噂話は種つきず
       大根のおでん楽しみ種をまく

兼題「返す」 返信にひと苦労する老いスマホ
        加齢だと耳鼻科で言われ聞き返す (平抜き)

席題「秘密」 妻いわく秘伝の味と言うけれど (平抜き)
        閻魔さまばらさないでねこの秘密

2019年9月川柳教室
兼題「風」 文在寅も安倍も意地捨てよい風を
 両国の多くの市民は両国がけんか腰の今の状況を好んでいません。しかし両首脳がお互いにプライドを持って相手に対峙するため、解決のめどが立っていません。事の起こりは安倍首相が朴槿恵大統領との話し合いで、一歩譲歩して10億円の基金を出したのに、文大統領になってこの基金を無いことにし、安倍首相のメンツをつぶしたことに始まり、徴用工問題など、韓国政府がどんどん厚かましい態度を示したことで、安倍首相は話し合いにも応じないという態度に出てしまいました。そしてお互いに報復合戦となり、経済界のみならず、観光や親善交流にも影響が出てしまいました。どちらも意地を捨て市民の民意を大事にすることで良い風を吹かせてほしいと願っています。ある意味で両国の首脳が交代するまで解決策が見つからないかもしれません。

兼題「握る」 少年は握り拳で涙拭く (互選9点)
 少年が涙を流す時は悔しい場面です。悔しい時は握り拳が一般的です。幼児は人差し指を少し曲げて泣きます。女の子や大人は手のひらで顔を覆ったり、指先で涙をぬぐったり、ハンカチで涙を拭きます。拳で涙を拭くのはやはり少年だけだと思います。
 
 私が選んだ3句  ○手を握り君の歩に添う杖になる
              提案は握りつぶされ夜の街
              絶妙の塩味母の握り飯


  先生が選ばれた3句  絶妙の塩味母の握り飯
                 少年は握り拳で涙拭く
               ○ふんわりと握った飯は暖かい


席題「豊か」 菜園のゴーヤ豊作捨てる羽目
 このところ次々とゴーヤが実をつけます。今朝も4個収穫しました。川柳教室に持って行っている人にもらってもらおうかと言ったのですが、妻がいる人なんかいないというのであきらめました。句会が終わった時、ひとりの仲間が佃煮や醤油とみりんに漬ければいつでも食べられると教えてくれました。やはり捨てるのは勿体ないと思われたのです。

2019年8月川柳教室
兼題「油」 ガソリンが安いうちにと旅に出る (互選2点)
 このところ円高のせいか、ガソリンの価格が下方で安定しています。130円〜134円/Lで安いと思っていたのに、昨日は129円でした。ホルムズ海峡の問題で本当なら高騰するところですが不思議な現象です。それで、城之崎のマリンパークや、大塚国際美術館へ出かけたりしています。

 私が選んだ3句  水油よくぞ続いて老い二人
             残り火に油注入老いの恋
           ○やり終えて油まみれの手にラムネ


  先生が選ばれた3句  水油よくぞ続いて老い二人
                 給油して4万キロの旅をする
               ○油気は無いが枯れてはおりません


兼題「配る」 ギャラリーに心を配るシンデレラ
 渋野日向子選手は全英の大会でギャラリーに笑顔でハイタッチをしながら、ついに優勝してしまいました。そしてスマイルシンデレラと呼ばれました。これまでの選手は試合中に笑顔でギャラリーとハイタッチするような姿を見ることが無かったので、本当に驚くとともに、ギャラリーに喜んでもらうゴルフをするのが自分の信念だという言葉に納得しました。その信念を素直の実践していたのですね。帰国後、ハイタッチは中日の松阪選手のように怪我をする可能性があるので、やめるべきだという声が沢山ありました。それでも彼女は帰国直後の北海道の大会で、子どもとハイタッチし、サインに応じている姿が見られ、彼女の信念は本物だと思いました。

席題「試す」 セールスの笑顔に心試されて
 先日来、三井住友信託銀行の初めて出会う若い女性の外交員の笑顔に圧倒されています。これまでは50歳前後の外交員ばかりでしたが、彼女は平成生まれで孫と同い年で頑張っています。私にとって信頼していて、長年つきあいをしている銀行なので、笑顔に負けて新たな契約をしてしまいました。渋野選手同様、若さと笑顔は大切な武器ですね。

2019年7月川柳教室
兼題「傘」 雨上がり高価な傘を握りしめ
 傘をよく忘れます。それほど高価でない傘なので「まあ良いか」とあきらめます。しかしたまに高価な傘を買うと忘れまいと思って気をつけています。特に出先で雨が上がると傘を手放さないように握りしめています。だから高齢で忘れっぽくなった今は高価な傘はあまり持ち歩くことはなく、家で眠っているこの頃です。

兼題「動く」 ツーカーで動けとにらむ四つの目 (互選0点)
 女性上位の我が家では、私が動くのが当たり前でした。四つの目?それは内緒です。

 私が選んだ3句  区も動きやっと出会えた富士の山
           ○洗顔を境に今日が動き出す
             電子音動かぬ我をせき立てる


  先生が選ばれた3句 ○全自動ひとつも知らず母は逝く
                 不器用な影が律儀に付いてくる
                 汗流し動いた後の水の味


席題「勝つ」 勝ったこと一度もなくて五十年
 争いが嫌いな私は腹が立つことがあってもいつも負けています。その根性で今は平穏に日々過ごしています。相手は誰かご想像に任せます。

2019年6月23日句会「第8回魚座」
 今回は92歳の全日本川柳協会本田智彦先生が「けっm代「使う」で選者をつとめてくださいました
兼題「使う」 使わないままの高価な器具あまた 平抜き
        使い捨てできない私戦中派     平抜き

兼題「雫」 徳利の一雫まで盃へ          平抜き
       蛇口から一雫ずつ曲奏で

兼題「探す」 探し物二階へ上がり何だっけ    平抜き
        探し物今日も朝から探し物

席題「時」 時時は妻にサービス怠らず       平抜き 
       信号を待つ時今は逃げ腰で

2019年6月川柳教室
兼題「紙」 レシートの裏に秘密のメモをする (互選10点)
 秘密なのでコメントを控えさせていただきます。

 私の選んだ3句 ○父の日を包むやさしい紙袋
             本棚で人待ち顔な紙の辞書
             拍子木に急ぎかけ出す紙芝居


  先生が選ばれた3句 ○ふっと吹く紙フーセンの青い空
                 本棚で人待ち顔な紙の辞書
                 あじさいを新聞紙で巻き父が来た


兼題「甘い」 激辛の親父孫には超甘い
 妻の父は自分の妻や子どもたちに厳しく、時には手を上げていたそうです。しかし孫に対しては結構甘いおじいちゃんでした。

席題「外国」 外国はテレビ画面で知っている
47年前海外派遣で一度だけ外国へ1ヶ月間行ったことがありますが、それらの国々でも現在どのような状況なのかよくわかりません。ただテレビを見ていると、ニュースや町歩きなど、テレビ画面でいろいろなことが詳しくわかります。だから海外のことを聞かれても、ある程度のことが答えられます。

2019年5月川柳教室
兼題「宝」 お宝があれば出演するのにな (互選0点)
 今年は明石市市制百周年の記念行事が次々開催されています。テレビ東京の「お宝なんでも鑑定団」が明石西部市民会館で8月に開催され、出演者を募集しています。我が家にお宝があればぜひ応募してみたいなと思うのですが、残念ながらそのような物品は見当たりません。
 実家の祖父が東条英機に書いてもらったという起毛があると広島県在住だった叔母から聞いたことがありますが、祖父はそのようなつきあいがあったからか、戦後公民権を停止される生活をしていました。このようなお宝があれば良いのですが‥

 私が選んだ3句  宝石はいらないという我の指
           ○両の手にそっと包んだ今日の無事
             一言で宝の山は崩れ落ち


  先生が選ばれた3句 川柳十五年目にして初めて先生と同じ句を選びました

兼題「写す」 二人して写経書きため遍路旅
 時間があれば家でも写経をします。ふたりの写経を書きためておいて、車で四国88か寺へ遍路に出かけます。年に一度は泊まりがけで土佐や伊予国にも出かけます。四国はドライブするのにもってこいの地域です。

席題「焼く」 焼くこともなく穏やかな老いふたり
 80歳を超えるとお互いにいたわり合ってその日を暮らすのが当たり前になってきました。

2019年4月川柳教室
兼題「脱ぐ」 冬物を脱いだり着たり迷う春 (互選1点)
 今春は気温の低い日が多く、時々暖かい日もあるので、冬物がいつまでも必要です。いつ衣替えが出来るかわかりません。

 私が選んだ3句  仮面脱ぎわたしの顔をとり戻す
             しがらみを脱ぎ捨て今日も軽く生き
           ○姑(はは)逝きて旧(く)りたる嫁の衣脱ぐ


  先生が選ばれた3句 ○夫婦でも脱げぬ衣があるのです
                 脱皮して四月の風に身を晒す
                 脱いだ靴明日の方へ向けておく


兼題「花」 花冷えが続き花見の会が増え
 このところの寒さでいつまでも満開の桜が散りません。その間、花を愛でながらの飲む会が繰り返しありました。寒さとアルコール続きで体調維持が大変です。

席題「残る」 長生きが残高減し不安増す
 両親が亡くなった年齢からわたしの寿命は75歳までと考えていました。だからそのつもりで貯金をしていました。しかし80歳を超えてもまだ寿命が尽きる気配がありません。年金よりも出費が確実に多く、貯金通帳の残高が目に見えて減っていきます。さて何歳まで持つのか‥

2019年4月14日句会「第7回魚座」
兼題「巻く」 家系図の巻紙広げ孫に説く 平抜き
        のほほんとした人生にねじを巻く 平抜き

兼題「芽」 いつまでも芽が出ないはずセンスなく
       ハナミズキ花芽三つ四つ青い空
 平抜き

兼題「積む」 積分の意味も定かでない歳に
        積み上げた知識使わず今どこに
 平抜き

席題「罪」 罪深い過去を今更悔やんでも
       また忘れ罪滅ぼしに赤いバラ
 平抜き

2019年3月川柳教室
兼題「株」 古株が幅をきかせる老いの性 (互選7点)
 老人の集まりでは古株である年長者の発言が重きをおきます。若造が意見を述べても相手にしてもらえません。同年代でもよそから来た者の発言者はあまり見られません。その点若者の集まりでは、良い意見であれば誰の発言でもきちんと取り上げられます。老人は過去のやり方を踏襲するからでしょうね。

 私が選んだ3句 ○切り株に座ればふわり古里の香に
             新しい芽吹き支える太い株
             株分けの鉢の新芽がウインクし


  先生が選ばれた3句  花暦株安かろと高かろと
               ○株価には遠い暮らしに猫二匹
                 株分けの鉢の新芽がウインクし


兼題「作る」 手作りのくぎ煮いただき値踏みする
 今年のイカナゴの新子は初日1s4300円という高値だった。後半少し安くなったとはいえ、大阪湾の新子漁は3日で終わり、値下がりしないまま終了となった。そのような中イカナゴのくぎ煮を少し頂いた。これだけでいくらかかったのだろうと想像してみたのです。

席題「勝つ」 イカナゴを我勝ちに買う姿なく
 高値のイカナゴを横目に買う人はあまりなく、私が店にいる間に2パック売れただけでした。4〜5年前の1s1000円前後の時には、売り出される前から行列が出来ていたことを思うと、イカナゴも高級魚の仲間入りをした感があります。

2019年2月24日句会「第6回魚座」
 今回の句会は席題以外自分の生活にない句を詠んでみました。
兼題「逃げる」 太公望逃した魚比べ逢う
         逃げ足の速い野良猫恨めしく


兼題「梅」 蝋梅の香が懐かしく友たずね 平抜き
       梅園に鳴き声だけで姿なく 
平抜き

兼題「立つ」 立っちして最初の一歩皆拍手
        立ち去った後に手袋寂しげに


席題「少し」 誰だっけ少しだけ笑み返したが
        少量の酒酌み交わす老いふたり
 平抜き

2019年2月川柳教室
兼題「豆」 暖冬がエンドウを早実らせる
 1月の暖かい日が続いていたとき、スナップエンドウが白い花を咲かせていました。それでもこんな真冬には受粉して実がなることはないだろうと思っていました。ところが2月6日に妻が退院してきて、久しぶりに庭を眺めていて、エンドウが立派に実っていることに気づきました。早速収穫して料理の彩りにしてくれました。今また実がなり、2〜3日内に収穫が出来そうです。ツタンカーメンもいつもより早く赤い花を咲かせています。いつもは4月になってから収穫しますが、今年はツタンカーメンも3月に収穫できそうです。

兼題「戻る」 行き過ぎて戻らぬことを妻は責め (互選2点)
 カーナビがあっても手前で曲がってしまったり、目的の場所を行き過ぎてしまうことがよくあります。特に行き過ぎたときにすぐに引き返すよう妻が言います。しかし私にとっては安全に引き返す場所が見つかるまで引き返すことはありません。だから先へ先へとどんどん進んでしまいます。そんなとき私が理屈をつけて後戻りしないので妻が責めます。

 このことは日常生活でもよくあり、妻の希望していることを早合点して、先に違う方向に進めてしまって文句を言われます。そのようなとき素直に謝ってやり直せば良いのですが、ついつい理屈をつけて訂正しないので妻が怒るのです。

 私の選んだ3句  補聴器を外す私に戻るとき
             少女へと戻った母の目は柔和
           ○定位置に戻せと用具声からす


  先生が選ばれた3句  補聴器を外す私に戻るとき
                 春を待つもう後戻りできません
               ○振り出しに戻ってみたい三つ程

席題「訳」 いらついていたと言い訳する無職
 最近無職の中年の男がいろいろ事件を起こしています。無職なので生きがいが見つけられず、また夢中になることもないので常にイライラしているのだと思います。だからといってそのイライラで他人に迷惑をかける理由にしてはいけないことですが、事件が起こるたびに、犯人が無職でイライラしていたと言い訳しているのを聞くと、「またか」とつぶやいてしまいます。

2019年1月川柳教室
 今日は妻の病院につきあったので川柳教室には出席できませんでした。それで川柳仲間にメールで投句だけをお願いしておきました。2月の新年会も校区高年クラブの会長会と重なって参加できず、新年から川柳教室の皆さんと顔を合わせる機会が残念ながらありません。

兼題「玉」 困り果て玉虫色の返事する (互選10点 地)
 県庁に1年間だけ勤務したことがあります。出先でいろいろな要求を出されます。そんなとき、要求を受け入れるとお金が必要になります。しかしそのような予算が通るわけがありません。また、上司と相談してみますなどと言えば、必ず後日結果がどうなったか上司に確かめに来ます。だから、「持ち帰って検討してみます」と玉虫色の回答をします。持ち帰ってと言うと相手はそれ以上言ってこないし、検討は自分で過去の事例や法令に照らして無理だと判断し、上司にもあげなかったと言えば、誰にも迷惑をかけません。要求はほとんどもっともなことが多いのでそれをいかに納得させながら納めるかが担当の手腕だと指導されたものです。だから、県の担当は玉虫色の回答でその場を納めるのも一つの仕事でした。

兼題「新しい」 新しい服買ったのに着る場なく
 妻が大きな手術をしたとき、自分が無事生き延びる自信がなかったので、自分がいなくなった後私がみすぼらしい格好ではいけないと入院する直前に背広を夏用と冬用2着新調してくれました。しかし無事手術は成功し、今日までそのような背広に袖を通す機会はなく、3年間も洋服ダンスで眠っています。

2018年12月川柳教室
兼題「糸」 赤い糸下宿探しで利用され
 先生からこの句では理解できない。「下宿探しで導かれ」となおした方がよいと指導していただきました。私もこのままでは理解してもらえないだろうと思っていました。あえて「利用され」と読んだのには別の意味がありました。
 私は独身時代明石天文科学館の北側・月照寺で下宿させてもらっていました。ところが下宿人を置くことをやめると言われ、急遽明石市内の親戚に下宿させてもらえないか頼みに行きました。その頃明石市内に居住していた母方の兄夫婦が喧嘩をして、奥様が実家に帰っていたのを私の父親が仲裁に入ってました。実家に帰ってしまった奥様の弟の娘に養子を迎えるために家を新築し、相手を探していたのです。そこで父は私を養子に出し、夫婦に仲人をしてもらうことで仲直りをさせようと考えたのです。まさに私の赤い糸を利用したのです。ここまではその場で先生に説明できませんでした。ただ、結果オーライ、私は幸せな日々を過ごしています。

兼題「開く」 酒豪らに幹事心配お開きに (互選2点)
 宴会の幹事をしていて予算が限られていると、酒豪の存在が気になります。会計に限界を感じたとき、「宴たけなわではありますが」と幹事は強引にお開きを宣言します。私には大赤字を出した過去があり、それ以来幹事になることを避けてきたように思います。

 私が選んだ3句  胸襟を開いて足をすくわれる
             老いて尚心開いて輪に入る
            ○寒風に健気に開く白い菊


  先生が選ばれた3句  胸襟を開いて足をすくわれる
               ○自動ドア人を選ばず軽く開き
                 年の暮れ財布の口を開けたまま


席題「窓」 車窓から富士が見えたと大騒ぎ
 ダイアモンド富士のピンポイントを見に行くツアーに参加したことがあります。帰路新東名高速道を走っていたとき、富士山が何度も見え隠れしました。そして見えると車内は大騒ぎになったのです。

2018年11月川柳教室
兼題「色」 気がつけば女房色に染められて
 月給を持ち帰っていた現職時代は、男子厨房に入らずで、家事にはほとんど手は出していませんでした。退職後食後の皿洗いに手を出したことから、風呂掃除、掃除機を使った掃除、洗濯、取り入れ、買い物や病院送迎のアッシー、そして旅行に運転手など、妻の望みを叶えるための毎日になっています。そんな中で第九合唱、川柳教室、グラウンドゴルフだけは私独自の時間です。

兼題「隠す」 今日からは本音隠さずいきようか (五線12点 地)
 女房色に染まった生活の中で本音も持ち合わせて生きようかというところです。

 私が選んだ3句 ○隠し事目が真っ先に白状し
             隠れんぼうばあばは小さく咳をする
             隠し事あるのね今日はよく喋る


  先生が選ばれた3句 ○もみじ狩りきのうのことは胸に秘め
                 今日からは本音隠さず生きようか
                 隠し事あるのね今日はよく喋る


席題「深い」 意義深い講話も明日に残らない
 いろいろなところでなるほどと思いながら講義や講話を聞くのですが、翌日にはすっかり忘れてしまいます。記憶力の衰えはもうどうしようもありません。

2018年11月4日句会「第5回魚座」
兼題「触れる」 今ここでやましい過去に触れないで (平抜き)
          触診もせずパソコンとにらめっこ

兼題「熱」 熱出れば甘えたくなる優しさに (平抜き)
       熱込めて説けば説くほど場は冷めて (平抜き)

兼題「果物」 凍らせた巨峰を添えて新メニュー
         掘りごたつミカンみるみる減っていき

席題「怪しい」 孫からと怪しい電話聞いてみる
         妖怪も境港でヒーローに (平抜き)

2018年10月16日川柳教室
兼題「竹」 竹かごの松茸の香を嗅いだだけ (互選4点)
 最近のように高価になった松茸を買うことはありません。店に出回るようになると、外国産かどうか、その香りを嗅いでみるだけです。やはり日本産は良い香りがします。今年は豊作だと言っていますが、未だ店で見かけていません。せめて香りだけは嗅いでみたいものです。

 私が選んだ3句  竹竿に止まるトンボと見る平和
           ○しなやかに風受け流す竹になる
            忍び寄る老いに抗い竹を踏む


  先生が選ばれた3句  竹を見て迷う心を立て直す
               ○しなやかに風受け流す竹になる
                竹にして横並びする小市民


兼題「曲がる」 真っ直ぐも曲がりも出来ずただ生きる
 真っ直ぐに自分の主張を押し通すこともなく、かといって曲がったことに手を貸すこともなく、その場の雰囲気や流れに乗って中途半端な人生を送っています。

席題「読む」 パソコンが読書時間を奪い去る
 パソコンを手に入れてからは、スポーツの情報をはじめ、目新しいニュースなどについつい時間をとってしまいます。それ以外には新聞の記事や連載小説を読みますが、本を読むことがめっきり減りました。専門書を買ってもつまみ読みで、全部を読むということはなく、また全部読もうとすると、ついつい睡魔に襲われてしまいます。

2018年9月23日句会「魚座」
兼題「駅」 @新幹線孫真っ先に降りてくる (平抜き)
 孫が未だ小学校低学年の頃、娘が東京駅で新大阪行の○号車に乗車させたと連絡してきました。小学生ふたりだけで新幹線に乗ってやってくるので、こちらもいささか心配しました。

 孫たちの乗った新幹線が到着し、ドアの所へむかえにでると、ふたりが真っ先に降りて飛びついてきました。どうやら列車が京都を出て、「次は新大阪」と車内放送があるとすぐにたってドアの所へ行っていたようです。

兼題「駅」 A駅裏の飲み屋が招く帰り道
 これまで自分の体験や生活を詠んでいましたが、悩みに悩みフィクションの句を初めて詠みました。

兼題「暮らし」 プライドが日日の暮らしの邪魔をする(選者・軸)
 以前に「プライドを捨てて暮らしが楽になり」と詠んだことがあります。ではプライドを捨てる前の暮らしはと考えると、「男子厨房に入らず」など、かたくなな生活をしていたように思います。だから手始めに食後の皿洗いや、取り込んだ洗濯物の妻の下着もたたむなど、自分のプライドでかたくなにしていた部分から脱皮を図りました。

兼題「橋」 @激流を遍路の渡る沈下橋
 歩き遍路の途上吉野川の沈下橋を渡りました。梅雨の走りの大雨が降った後で、かなりのながれでした。このようなときに沈下橋を渡るのはお遍路くらいだったように思います。

兼題「橋」 A二重橋日の丸を手に初参賀
 昭和60年、新幹線に1日乗り放題という切符が初めて売り出されたとき、妻と東京まで乗り、生まれて初めて昭和天皇の初参賀に参加しました。行列の後ろに並んでいると、日の丸の小旗を手渡されました。一度目は行列の最後尾だったので、後ろの方で万歳をしましたが、間近で見たいものだとみんなが退場した後一番前まで行って居残り、次のグループと再び前で万歳をしました。

席題「試す」 @お留守番料理の腕を試される
 妻が出かけたとき、帰ってくるまでに夕食の用意をすることがあります。しかし、あまり褒められたことはありません。何しろ妻は手早く美味しい料理を作るのが自慢なので、いつも一言二言批評の言葉を聞く羽目になります。

席題「試す」 吉が出たパチンコ台で運試し (平抜き)
 明石の町中に勤務先がある頃、同僚に誘われてパチンコをしたことがあります。チョコレートのお土産を持ち帰るのが狙いでした。ただし1日300円しか使わないことにしていました。チョコレートをもらえない日をノートに記入していると、トータル10000円の損害になりました。その頃1ヶ月3000円の小遣いだったので、ばからしくなり、きっぱりやめてしまいました。なお、おみくじは滅多に引いたことはありません。だからこの句もフィクションということになります。この句を詠まれた師匠の大西先生は「靖国さんはまじめな人だと思っていたけれどイメージが変わりました」と言われてしまいました。


2018年9月川柳教室
兼題「涙」 涙目が弱いところを突いてくる (互選8点)
 相手に泣かれると私は一度に戦意を失ってしまいます。若い頃妻を含めて若い女性に涙目で挑まれると黙るより仕方がありませんでした。その原因は私の優柔不断という弱点を突かれるのでした。

 私が選んだ3句  寄る年波感動するとすぐ涙
           ○幼子の涙をぬぐう母の指
             困らせてみたくなる日の空涙


  先生が選ばれた3句 ○しあわせの涙のようなサクランボ
                 涙腺がゆるみ過ぎたか空仰ぐ
                 悔しさを涙で洗い明日は晴れ


兼題「酔う」 酔うほどに饒舌になり恥をかく
 過去に飲み過ぎていらないことまでしゃべってしまったことがあります。そのために私に対する人格像が変わったと言われたことがあります。酔うとついつい口が軽くなるので、酔ったときは聞き役に回るように気をつけています。

席題「力」 実力が伴わぬのに断れず
 私はいろいろな役割を押しつけられます。自分にはその役割にふさわしい実力がなく、きっぱり断れば良いのですが、相手の気持ちを優先してついつい引き受けてしまいます。今回も次の川柳句会で選者になるよう先生から言われ、断ることが出来ず悩んでいます。でもこのようなことにはいささか慣れてしまい、すぐに開き直ってしまいます。後はなるようになれという心境です。

2018年8月川柳教室

兼題「寝顔」 口開けた寝顔に終の姿見る (互選5点)
 高齢になると、少し口を開けて眠っている顔見ていると、妻はもちろん私も最期はこんな顔をしているのだろうと、いささか寂しい気持ちになります。その点乳幼児の眠っている顔は本当にかわいいものです。

 私が選んだ3句  寝顔では眉間のしわが消える妻
             丸い鼻ぷっくりホッペいい寝顔
           ○安らかな子の寝顔ありティータイム


  先生が選ばれた3句 ○葛餅を食べた寝顔と添い寝する
                 寝顔では眉間のしわが消える妻
                 秋よ秋いつまで寝顔見せている


兼題「踊る」 手も足も振り付けどおり踊れない
 勤務先の運動会では音頭を全員で踊ります。しかし何年も勤務しているのにとうとう踊ることは出来ませんでした。手に集中すると足がお留守になり、みんなに足をあわせると手が動いていません。踊ることは本当に苦手です。

席題「泡」 欲張った人生の夢泡ばかり
 これまでいろいろな夢を見てきました。しかしいずれも実現したものはありません。たとえば音楽ではマンドリン、ギター、ウクレレ、キーボード等々高い楽器を買っていますが、いずれもけつを割ってしまいました。川柳もしかり、全く上達しません。そのくせいろいろなことに手を出しているのですから救われません。

2018年7月29日句会「第3回魚座」
兼題「話す」 久保田半左衛門選
 初デート会話弾まず暮れてゆく (平抜き)
 見合いをした後、初めて彼女の家を訪れ、近くの浜へふたりで散歩に出かけました。お互いに相手のことはわからず、ほとんど言葉を交わした記憶はありません。彼女は近所の人に見られないかとヒヤヒヤしていたようです。田舎なので噂は瞬く間に広がるからです。

 老いふたり会話なくても睦まじく (平抜き)
 妻は補聴器をつけていなければほとんど会話は成立しません。だから私から語りかけることはほとんどありません。それでも以心伝心で諍いなく日々過ごしております。周りから見れば睦まじく見えるでしょう。

兼題「夜」 石橋直子選
 お昼間も夜もおだやかよく眠り (平抜き)
 暑い日々が続きますが昼間はエアコンの家の中でのんびりと、夜はテレビを見ながらくつろいでいるので、悩むこともなくおだやかな生活です。だから夜もぐっすり眠ることが出来ます。

 夜の嵐不安あふれて朝を待つ
 台風12号は東からやってきて未明に明石の上空を通過しました。雨風の激しい音を聞きながら朝が来るのを待ちました。幸い被害もなく、菜園の野菜や庭の木々も久しぶりの雨にいきいきしています。

兼題「泳ぐ」 橋本節子選
 やましくて不倫ドラマに目が泳ぐ
 ノーコメント

 犬かきでポチと浜まで競争し (平抜き)
 犬を飼っている頃、よく海岸へ散歩に行きました。飼っていた犬はいずれも水が大嫌いで海に引きずり込んでもすぐに飛び出していました。私は犬かき泳ぎか平泳ぎしか出来ません。だから水の好きな犬がいたら、少し沖まで連れ出して、犬かきで浜まで競争していたかもしれません。ちなみに犬の名前は代々「マー」でしたが、「マー」では犬とはわからないので「ポチ」にしました。

席題「遠い」 大西泰世選
 遠縁は安心ですよと嫁がされ
 私が明石で下宿を探しているとき、父が家付きの娘がいると言いだし、見合いをすることになりました。それは父が親戚の夫婦げんかの仲裁をしている最中のことで、私たちが結婚すれば丸く収まることになっていたようです。結局その夫婦に仲人をしてもらって私たちは結婚しました。嫁がされたのは妻ではなく、私の方でした。

 遠い寺一歩一歩でたどり着く
 四国歩き遍路をしているとき、何十qも先のお寺まで歩くのは大変でしたが、それでも日にちをかけて歩いているとたどり着くのです。一歩一歩の積み重ねを実感しました。

2018年7月川柳教室
兼題「時計」 ゼンマイも巻かれず眠るスイス製 (互選1点)
 35歳になったとき、突然文部省の教育事情視察団に一員に推薦されました。各県から一人ずつ40人の団体で、カナダ・アメリカ、そしてフランス、スイス、東西両ドイツ、イギリスを巡りました。スイスを訪れたとき、オメガの時計店へ行きました。当時は個人の持ち出せる小遣いとして一人10万円の制限がありましたが、若かった私は7万円が精一杯でした。その半分のお金でオメガの腕時計を買いました。私としては清水の舞台から飛び降りた気持ちで買ったのですが、正確でない上にゼンマイを巻かなければいけない時計は今ではお蔵入りもやむを得ません。

 私の選んだ3句  張りつめた空気を変える鳩時計
           ○あしたから時計さよならゆるゆると
             眠れぬ夜時計の音も疎ましい


  先生の選ばれた3句  腕時計外し自由な小宇宙
               ○盆踊り時計回りに下駄が鳴る
                 張りつめた空気を変える鳩時計


兼題「浴びる」 新車買うと言って冷や水浴びせられ
 もう免許証は返納した方が良いかなと思う年ですが、妻のたっての願いで新車を買って、もう5年間運転することにしました。子ども達も母親のために励ましてくれますが、普通の人が考えれば80歳を超えて新車を買うなどと言えば、年寄りの冷や水と思うでしょうね。

席題「静か」 「お静かに!」女性の声が最後まで
 いろいろな集まりに出かけますが、いよいよ静かに聴かなければならないときに、最後まで聞こえているのは女性の声です。私の出かける集まりが圧倒的に女性が多いからかもしれませんが‥

2018年6月川柳教室
兼題「噂」 真実と噂ないまぜネット見る (互選2点)
 ネット上の情報は必ずしも真実とは限りません。私はツイッターやSNSなどは見ることがありませんが、ずいぶん偽情報が流れるようです。わざと嘘の情報を流し面白がっている人がいるようですが、気をつけねばなりません。

 私の選んだ3句  良い噂のろのろ進みシャボン玉
           ○カステラに噂話が乗って来た
             尾ひれつけ赤い金魚は噂好き


  先生が選ばれた3句  年一度会えばうわさで若くなる
               ○カステラに噂話が乗って来た
                 尾ひれつけ赤い金魚は噂好き


兼題「歩く」 マシンやめ道歩こうかおしゃべりし
 ジムでマシンの上を歩いている人をよく見かけます。女性が夜しか歩けない人は安全上致し方ないかもしれませんが、道を朝挨拶しながら歩いたり、夫婦や友人とおしゃべりしながら歩けば良いのにといつも思います。ちなみに私は循環器の検査で一度だけマシン上を歩いたことがありますが、普段は浜の散歩道や三木山森林公園を歩きます。さらに時間さえあれば3q以内のところでは歩いて出かけるようにしています。もちろん駅ではエスカレーターではなく階段を使うよう心がけています。

席題「満ちる」 バイキング満腹感を見失う
 ホテルでの朝食は大抵バイキングです。しかし、以後の行動に差し支えるので、最近は控えめにしています。それでも最後に飲み物やデザートについつい手が出てしまいます。昼食や夕食のバイキングだと空腹のこともあって、あれもこれもと皿に盛り付けていきます。そして満腹になってもケーキや果物、コーヒーなどをとってきて食べています。特にお金を払ってのバイキングは食べなければ損だとばかりに沢山食べてしまいます。実に浅ましい根性です。

2018年5月川柳教室
兼題「型・形」 小型でも扱いかねて軽に乗る
 私の運転歴は、スタートは「スズキ360」の軽、次が「カローラ1200」。ところが軽より馬力がないばかりか、初めてのドライブでボディーをへこましたり、標識や石段に引っかけたりで、さんざんな目に遭いました。娘が大学進学などもあって、再び軽に乗り換え、それ以来ずっと軽に乗っています。70歳を超え、高齢者講習で小型車の実地検査がありますが、緊張します。やっぱり軽が私には丁度よいと思っています。

兼題「掴む」 宝くじ掴む大金皮算用 (互選1点)
 「掴む」という兼題には苦しみました。そして苦し紛れに詠んだ句でした。最近は宝くじを買うことはありません。今更大金が手に入っても使いようがありません。以前は大金が当たったらあれを買おう、これを買おうなどと皮算用をしたものです。

 私の選んだ3句  大金を掴もうとして宝くじ
             掴むより離した方が幸と知る
           ○夢は夢掴めなくても明日を見て


  先生が選ばれた3句 ○掴むより離した方が幸と知る
                 ひとふりのしっぽに心掴まれる
                 夢は夢掴めなくても明日を見て


席題「降りる・下りる」 目覚めれば降りる駅が遠ざかり
 姫路市に勤務していたとき、土曜日は緊張が解けてよく乗り越しました。東二見まで特急で、そこで普通車に乗り換えて帰宅するのですが、乗り越すことが多く、通勤定期は明石まで買っていました。それでも目が覚めたときに電車が明石駅を発車してしまうこともありました。当時は垂水駅まで乗り越し、お金を払って引き返していました。

2018年4月川柳教室
兼題「回す」 役員選 手を回されて 会長に (互選1点)
 昨年3月の老人クラブ役員選挙で、5人の男性役員のうち4人はうまく退いたのですが、私だけ役員に残り、会長を引き受けざるを得なくなりました。事前に手を回されていたからだと思います。なんとか任期の2年だけは勤めたいと思っています。

 私の選んだ3句 ○緩んだねじ宥めて回す古時計
             手の中でペンを回すがなにも出ず
             回されてその気になって回る独楽


  先生が選ばれた3句   回覧板隣はいつもお留守です
                ○回されてその気になって回る独楽
                 くるくると日傘回していそいそと


兼題「舌」 突然の指名に舌は回りかね
 予期していないときに突然指名されると、ろれつが回らず、さらにしどろもどろになってしまいます。自分から話をするときはそれほど緊張しないのですが‥

席題「豊か」 今年こそ豊作めざし苗を植え
 昨年は庭の片隅に穴を少し掘って肥料を入れカボチャの苗を植えました。しかし、小さなカボチャが一つなっただけで枯れてしまいました。今年は菜園の端に苗を植えました。根をはる余裕が十分あるので、きっと豊作になるだろうと期待しています。

2018年3月川柳教室
兼題「車」 不安だが免許返納させぬ妻 (互選2点)
 特に目に不安があり、さらに高速道路を走っていると眠気に襲われることがよくあります。だから出来るだけ夜間の運転は避けるようにし、眠気に襲われれば即SAかPAで休憩します。靴を脱ぎ、眼鏡を外し、椅子を倒して顔に帽子をかぶせます。するとすぐに眠りに入り、15分〜50分ほど爆睡します。これですっきり。しかし、信号を見落とし、交差点手前で急ブレーキをかけることもあります。さらに、目的地までの道順を考えるのにも時間がかかります。だからカーナビに頼ることも増えました。

 このような不安があるので内心免許証の返納を考えるのですが、お出かけ好きの妻は私が返納すれば行動範囲が狭くなることや、買い物に支障があるので返納を認めません。事故を起こさないよう気をつけて運転を続けるしかありません。

 私が選んだ3句   車降り道端薫る沈丁花
             歯車をせっせと磨く鳩時計
            ○リヤカーに乗せられ行った疎開先


  先生が選ばれた3句 ○車椅子ヨイショヨイショと母を押す
                 ふるさとのナンバー探す駐車場
                 歩こうか車を降りて春の風


兼題「待つ」 女房を待ちくたびれてつまみ食い
 夕食の準備をしてくれる妻が、以前道端で立ち話をしてなかなか帰宅しないことがありました。仕方なく夕食の一部をつまみ食いして空腹を癒やしたことがありました。

席題「顔」 幼子に変顔をしてあやす爺
 孫をあやすときに変顔をするとゲラゲラ笑いました。だから泣き出すといろいろな変顔をしてあやしていました。

2018年2月川柳教室
兼題「雪」 冠雪の富士に出会えて胸躍る (互選0点)
 関東方面へ旅行をしたとき、新幹線の窓から富士山を見ることができると、何か得をしたような気持ちになる。その富士山が冠雪していると感動がいっそう強まる。昨年11月、栃木市から冠雪の富士に出会うことが出来本当にうれしかった。

  私が選んだ3句  雪降らぬ町に住み居て雪こがれ
              雪の日はあなたとコタツあればいい
            ○雪もなくおだやかな町終の地と


  先生が選ばれた3句  雪のない明石に生まれ日向ぼこ
                 淡雪と仮想通貨は夢でした
               ○雪もなくおだやかな町終の地と


兼題「敷く」 八十路まで敷かれたレールひたすらに
 学校を卒業したとき、採用試験に落ち、就職浪人を送ろうとしていた。そんなときに恩師から声がかかり、それ以降いろいろな場所で言われるままに勤めてきた。定年退職するときには次の職場から誘われ、さらに退職した後も地域の老人クラブに入会すると、役を仰せつかり、80歳になった今も与えられた役をひたすら全うしようと努力している。私のために敷かれたレールからそれることなく、またレールが行き止まりになることもなく、私の人生は私の意思に関係なく続いているように思う。

席題「用」 用意どんもう競争は二の次に
 今用意どんといわれても競争心はわいてこない。この年で自分の出来ることをこつこつやるほかないのです。

2018年2月11日(日)句会「魚座」
兼題「椿」(木本朱夏 選) 
☆わび助を一輪活けて茶を啜る

 お茶席にわび助(椿の種類)を活けると聞いたので、想像しただけで実体験はありません。椿という兼題で思いつかないので苦し紛れに詠みました。
☆曇天に花落ちてなお命あり
 2年前の真冬、妻が8時間以上の大手術を受けました。本人も生きて帰れないのではと覚悟を決めていました。しかし手術は成功し、椿の花が散る頃無事退院することが出来、2年たった今も元気に生活しています。曇天と詠んだのは私のそのときの気持ちを表しました。

兼題「迷う」(西川八千代 選)
☆迷い子を見て幼き日が蘇り
 幼い頃、雑踏の中で自分の親だと思って手をつないだところ全くの別人で不安になったことがありました。「お母ちゃん」と叫びながら親を探している迷い子を見ると、きっと同じような不安な気持ちになっているのだろうと思います。
☆八十路まで迷いながらもたどり着く (平抜き=入選)
 人生を振り返り、これまで進路について迷うことはありませんでしたが、そのときの持ち場においては迷うことがたびたびありました。その原因は周りの人に気を遣いすぎたからだろうと思います。

兼題「飲む」(京極 聡 選)
☆飲むことが楽しみで行く老人会
 老人クラブの男性カラオケグループでは、歌うことより刺身などをつまみながら飲み、大いに語り合います。まさに飲むことを楽しみにしているような集まりです。
☆陰口を飲み込んで役全うし
 これまでいろいろな役を引き受けてきました。自分でもうまくやれないことをもどかしく思い、きっと私のいないところでいろいろ批判されているだろうと思っていました。そのことに反論できない私はだまってにんきをおえてきました。

席題「魚」(大西泰世 選)
☆大漁を思い描いて釣支度 (平抜き)
 子どもや孫が小さい頃、釣りの道具を買ってやり、大漁を思い描いて準備をしたものです。しかし沢山釣れたということはありませんでした。鰯の大群が鯖に追われて浜辺に押し寄せ、網ですくってバケツで持ち帰ったのが唯一の大漁経験です。
☆老い二人メダカにそっと声をかけ (佳句=佳作)
 高齢の二人の間でそれほど会話が弾むということはありません。そのような中で生き物を飼うことは癒やしになります。本当は犬を飼いたいのですが、私たちより長生きしたり、散歩で手に負えなくなったりすればかわいそうです。そして家を留守にすることも出来ません。その点メダカはうまく管理をすれば2〜3日留守にしても大丈夫です。我が家の7匹のメダカ達に朝一番「おはよう」と声をかけ、話しかけながら餌をやったりしています。のぞき込むといったんは水草の陰に逃げ込みますが、餌がもらえると感じると水面に浮き上がってきます。それだけでも十分癒やしになります。

2018年1月川柳教室
兼題「読む」 読むけれど書けない漢字多くなり
 パソコンやワープロを多用するようになり、漢字がさっぱり書けなくなりました。始まりはもう三十年も前にさかのぼります。提出文書で漢字が書けないために、回りくどい表現で作文したことがありました。最近はますます書くことがなくなり、手紙もパソコンで作成しています。だから川柳教室で句を提出するときも、いちいち電子辞書で漢字を確かめています。

兼題「隣」 お裾分け大切にする両隣 (互選3点)
 よく両隣からお裾分けを頂きます。あるときは丹波黒の枝豆だったり、手作りの豚まんだったり。そのようなとき妻は後日必ず何かお裾分けを持って行きます。高齢になれば、お互いに助け合わねばなりません。両隣を大切にすることはこれからますます重要な意味を持ってくることでしょう。「隣は何をする人ぞ」という寂しい暮らしにはしたくありません。

 私が選んだ3句  お隣で決まる我が家の住み心地
             主住まぬ隣家の庭に花の咲く
           ○隣家でもおでんの匂い一人酒


  先生が選ばれた3句  悩み事一時隣へお預けし
                 隣にはイビキ楽しい妻がいて
               ○隣家でもおでんの匂い一人酒


席題「弾む」 孫が来る心と祝儀弾みます
 先日一番下の孫が彼女を連れて親のところを訪れた写真を娘が送ってくれました。3人の孫息子が居る中で、初めてのお目出たが近づいています。私たちが元気なうちにひ孫を見ることができるのはないかと心が弾みます。だから二人で挨拶に来れば、ご祝儀をうんとはずんでやろうと思っています。それと同時に上の二人も早くいい人が見つかればと願っています。

2017年12月川柳教室
兼題「ポスト」 背伸びしてポストに入れる初賀状 (互選7点)
 子供が3歳の時幼稚園に入園しました。初めての先生やお友達に年賀状を張り切って書き、自分で投函しようとしました。当時の丸い赤いポストの投函口は高く、それでも精一杯背伸びをして入れようとしていました。

 私が選んだ3句  抽選が当たるようにとポスト撫で
             長寿国老人ポストつくるのか
           ○投かんをした後悔やむあの手紙


  先生が選ばれた3句  踏切の向こうのポスト遠かりき
               ○長寿国老人ポストつくるのか
                 ポストならどんなことでもかみ砕く


兼題「伸びる」 伸びしろのない頭だがまだ続け
 平成16年から14年近く川柳を続けていますが、伸びしろのなくなった頭ではいっこうに成長しません。それでも先生の素晴らしさと、仲間がつくる川柳の発想に刺激を受けます。

 今日は近く賀状川柳の句会を始めると先生が言われました。抜けることなく没ばかりだと思いますが、伸びしろがなくても参加してみたいと思います。それは以前に読んだ時実新子著「川柳を始める人のために」に句会に出ることが上達の近道だと書かれていたからです。開催を楽しみにしたいと思います。

席題「揃う」 これからも出番ないだろ三つ揃
 現職時代はかしこまった会議に出ることが多く、かなり着古すほどに三つ揃いを着たものです。しかし、その三つ揃いを着る機会は現在ではありません。ネクタイですら締める機会は年に1〜2回なのですから、今後も皆無と言っていいでしょう。

2017年11月川柳教室
兼題「錦」 錦綉の結願寺で経納め
 写経が何枚もたまったので、納める目的で四国88番結願寺を訪れました。丁度紅葉が美しく、沢山のお遍路が訪れて賑わっていました。このお寺は三度目ですが、やはり歩き遍路1200qを歩き終えたときの感動がよみがえってきました。それにしても四国の札所で団体以外のお遍路がこんなに賑わっていたのは初めてでした。

「兼題「叩く」 叩き売りつい乗せられて買う羽目に (互選0点)
 叩き売りで買うことはありませんが、欲しいものを買うつもりで出かけたとき、最初の店で負けてやると言われるとついつい買ってしまいます。あちこち見て回るものと思っていた同伴者はそのあっけなさに拍子抜けのようです。

 それにしても、皆さんの句と比べて自分の句がいかに薄っぺらな内容かと思い知らされます。

 私の選んだ3句  若くなあれ肌たたいても叩いても
           ○子のお尻叩いたその手恨めしく
             背を叩く母のやさしさ子守歌


  先生が選ばれた3句  若くなあれ肌たたいても叩いても
                 干しカレイ叩いた父は縁側に
               ○拍手して送り出される都落ち


席題「輪」 幼子の言葉仕草に笑顔の輪
 子供や孫たちが幼かった頃、周りを囲む大人たちは幼子の一挙手一投足ににこにこしながら見守っています。そして幼児独特の言葉や言いまわしに声を上げて笑ってしまいます。

 我が子を殺害する事件が起こるたび、愛らしい幼子をどうして笑顔で見守り、育てられないのか、不思議でなりません。

2017年10月川柳教室
兼題「作る」 近頃は作り置きせず妻旅へ (互選4点)
 私が現職の頃、妻は娘の下宿先へ泊まりがけで出かけたり、仲間と旅行に出かけることがよくありました。そのときは必ず作り置きのおかずを冷蔵庫に中身の名札をつけて仕舞ってくれていました。

 しかし私が定年退職した頃から台所に立ち入るようになり、準備しておかなくても自分で食べることくらいできると思うようになり、「適当に食べておいてね」という言葉を残して出かけるようになりました。

 現在は大病をし、私と一緒でなければ出かけられなくなったので、作り置きは手抜き料理として作っています。

 私が選んだ3句 ○土作り春を待ちつつ種おろす
             作り置き並べて飾る老いの卓
             貶されて作り笑いで老い隠す


 先生が選ばれた3句  ロボットの作るお寿司は美味かった
              ○作れます父に習ったわらぞうり
                化粧して作り笑いでいざ仕事


兼題「椅子」 30年納屋の主は孫の椅子
 本当は物置の主なのです。字数にあわせて納屋にしました。平成の初めに生まれた孫はすでに立派な社会人です。当時腰掛けていた椅子は捨てられることなく、未だに物置に鎮座しています。他のものは使うときに取り出しますが、孫の椅子だけはここに置かれたままいつも出入りする物たちを見守っています。

席題「深い」 深々と頭だけ下げ舌を出す
 今衆議院選挙に各政党、候補者が走り回っています。彼らは深々と頭を下げて、できもしないこと、とうてい実現できないことをいけしゃあしゃあとわめいています。自分たちも公約通りできないことがわかっていて言ってるのでしょう。

 企業や行政のトップもまたしかり、「申し訳ありません」と深々と頭を下げ、再発防止を誓う格好をしますが、またぞろ同じ不祥事を繰り返しています。

2017年9月川柳教室
兼題「便利」 便利屋と頼る息子に電話する (互選3点)
 年齢とともにできないことが次々と出てきます。特にアナログ人間の私にとってはデジタル機器の操作は最も苦手とするところです。

 先日もパソコンが壊れ、新しい機種を買ったのですが、これがさっぱり使えませんでした。息子にSOSを発信し、なんとか使えるようになったと思ったのですが、今度は写真がうまく取り込めません。再び手数をかけてしまう始末です。そのほか力仕事や、電気や水道の技術的なことなど、以前は自分でやっていたことも息子を頼ることが多くなってきました。

 私が選んだ3句  便利さについて行けないもどかしさ
             便利さに慣れ退化する知恵袋
           ○便利さに慣れた体に負荷をかけ


  先生が選ばれた3句  完璧にこなす家電の主婦が居て
               ○便利さに慣れ退化する知恵袋
                 溢れ出すべんりべんりに踊らされ


兼題「溢れる」 八十路でも気力溢れる富士登山
 本当は気力などさっぱりで、不安と忍耐でなんとか標高2300mにある6合目里見平の山小屋にたどり着きました。それでも達成感は抜群で、ひょっとしたら頂上まで登れるのではなどと思いました。しかし、夜強烈に足がつった痛さに、やはり限界を感じました。

席題「元気」 元気だとホームページで発信し
 筆無精の私は、日記をホームページに掲載することで、元気で日々過ごしていることを読み手に発信しています。といっても誰がどれだけ読んでくださっているのかわかりませんが。

2017年8月川柳教室
兼題「薬」 薬漬け満腹なのにまだ飲めと (互選1点)
 妻は降圧剤、、骨粗鬆症、肝臓の薬など、11種類の薬を一度に飲んでいます。それがすべて食後に服用するよう指示されています。それでなくても食の細い妻にとって食後にこれだけの薬を毎回飲むのは苦痛そのものです。

 私の選んだ3句  毎食後薬飲む為ご飯食べ
             日に三度デザートのよう薬飲む
           ○遠い日のお言葉今も良い薬


  先生が選ばれた3句  足もとを見られたような鼻薬
               ○十薬の花の白さに救われる
                 遠い日のお言葉今も良い薬


兼題「噛む」 三十回噛む前にもう喉の奥
 昔からよく噛んで食べることが大切だといわれています。よく噛むことの目安が一口30回だといわれています。意識して食べるのですが、30回噛む前に口の中の食べ物はもう飲み込もうと喉の奥へ行ってしまいます。私にとって30回噛むことはなかなか困難です。

席題「答」 答弁は原稿読めば済むという
 沖縄北方担当大臣になったばかりの閣僚が、事務方が作った原稿を読むと発言していました。それで済むなら誰でもいいということになります。実際彼は入閣を断ったといっています。仕事内閣というキャッチフレーズとはいささか矛盾する発言でした。

2017年7月川柳教室
兼題「川」 遍路旅こわごわ渡る沈下橋
 遍路道には沈下橋を渡るところがあります。有名なのに11番藤井寺へ向かう途中に吉野川に架かる沈下橋があります。この橋は大きく、ダンプカーも渡っていました。大きな車が来ると、中程にある待避場所で通過を待ちます。しかし、吉野川は川幅が広く、しかも台風の後で水流も多く、欄干のない沈下橋は慣れないものにとって怖く感じました。

兼題「買う」 広告の品についつい手がのびて (互選0点)
 近くのAコープへ妻と買い物によく出かけます。アッシーが役割なのですが、店内を見て回っていると、「広告の品」というのが目に入ります。その商品があればいいなと思うとついかごに入れてしまいます。チラシに掲載されている目玉商品だと思うからです。本当に安いのかどうか私にはよくわかりませんが‥

 私が選んだ3句 ○買ったはず使いたいのに見当たらず
             アロハシャツ買って明るい老いの時
             夏祭り小さな財布がお買い物


  先生が選ばれた3句  ジャンボくじ買わず家族でランチする
               ○夏祭り小さな財布がお買い物
                 夢買いに百円握り駄菓子屋へ


席題「抜く」 この暑さ手抜き料理が丁度よい
 これだけ暑くなってくると食欲がだんだん落ちてきます。そんなとき妻も買い物に出かけなくなり、家にあるもので済まそうとします。「今日は冷やしそうめんにしておく」などと言われると、ありがたいと思ってしまいます。時間をかけ汗かいてこった手料理を作られるより食が進みます。

2017年6月川柳教室
兼題「開ける」 開会の言葉に欠伸かみ殺す
 最近朝早く目が覚めます。富士登山に備えてそのまま起き出し、登山靴を履いて1時間あまりウォーキングをします。そのため、午後からの会合や講座では睡魔に襲われます。時には始まる前から睡魔が襲ってきます。本当に困ったことです。

兼題「弁当」 手弁当開けて夕食思い出し (互選4点)
 二人でハイキングに出かけたり、グループで出かけたりする時は、いつも妻に弁当を作ってもらいます。蓋を開けると必ず前日の夕食のおかずが入っています。勿論当日朝作った卵焼きも入っていますが・・ 決して厭な思いはしません。むしろ愛妻弁当を作ってくれることに感謝しています。

 認知症が進み、昨夜何を食べたか忘れた時には、貴重な体験になることでしょう。

 
私が選んだ3句  駅弁を選ぶ楽しさ気ぜわしさ
            ○空弁当母はにっこりまた明日
             空っぽのおべんと箱の音が好き


  
先生が選ばれた3句  手弁当野原の花と会話する
                 空弁当母はにっこりまた明日
                ○とりあえず弁当持たせ送り出す


席題「慣れる」 いつまでも慣れぬ携帯今日も家
 携帯電話を持って出かける習慣がありません。いつも固定電話の横で鎮座しています。たまに持ち出そうとすると電池が切れています。「あなたの携帯は役立たずだ」と妻からいつも批判されています。ガラケーなので持ち出しても役に立つことはほとんどありません。役に立つのは泊まりがけで出かけた時、夜中に時刻を見る時だけです。メールも時間がかかり、パソコンに頼りがちです


2017年5月川柳教室
兼題「窓」 初夏の風窓も心も開け放つ (互選11点・地)
 はじめに「五月晴れ心も窓も開け放つ」と読みました。しかし、もう一つの兼題が「晴れる」だったので、「薫風」に置き換えてみました。薫風は俳句にはよく使われますが、川柳には固すぎる感じがしました。薫風を辞書で調べると初夏のさわやかな風と表記されていました。

 我が家では五月晴れになると庭でサツキの花が咲き乱れ、網戸にすると若葉の心地よい風が吹き抜けます。兼題が「窓」だったので窓を先に置き換えて、心地よさをそのまま詠みました。

 
私が選んだ3句   窓開けてサツキもバラもほめておく
            ○朝の窓胸いっぱいに今日の息
             部屋中が窓全開で緑色


  
先生が選ばれた3句   窓開けて入れる春の香春の声
                ○窓開けてサツキもバラもほめておく
                 脳の窓開け晩学のペン踊る


兼題「晴れる」 五月晴れ弁当開く花畑
 先日グループいきいきネットでタケノコ掘りをしました。その時青空の下でお弁当を広げると、心が広がり、とてもおいしく食べられるとみんな心地よさに盛り上がりました。その時は畑の一角でお花畑ではありませんでしたが、お花畑で輪になって食べればもっと盛り上がっただろうと想像しながら詠みました。

席題「試す」 富士登山行けるか靴を履いてみる
 十数年前、網走へ砕氷船に乗ろうとスノーブーツを履いて出かけました。そのスノーブーツは10年以上経っていて、久しぶりに履いた靴でした。ところがそこがぱっくり開いてしまい、ひもで足にくくりつけて急場をしのぎました。

 今夏富士登山に出かける決意をして、十年以上前に歩き遍路のために買ったトレッキングシューズを履いてみました。しかし、スノーブーツのことを想い出すと、大丈夫とは言い切れません。結局2万円近い登山靴を買ってしまいました。


2017年4月川柳教室
兼題「水」 きまじめが花見の宴に水を差す (互選9点)
 面白みのない私が地域の老人クラブ会長になってしまいました。小さい頃からあまり冗談の言えない子供でした。戦後初めてエイプリルフールが言われ出した頃、父に「富士山が噴火したそうだ」と言ったことがあります。私がそのような冗談を言う子供ではないと思っていた父は、その日我が家で開かれた自治会役員会で「富士山が噴火したそうですね」といっているのを聞き、エイプリルフールでも嘘を言ってはいけないと後悔したものです。そんな人間が老人クラブの花見の宴で、折角盛り上がっているのに、そろそろお開きにしようかと言ってしまいました。幸い会員みんなが「中締めやな」と言ってさらに30分程続けてくれたので助かりました。

 私が選んだ3句 ○蛇口から漏れる水音語りかけ
             水溜まり踏んで幼子微笑みを
             水鏡本音が写り波が立つ


  先生が選ばれた3句  うつうつは蛇口全開吹きとばせ
                ○古希の水スイートビターチョコの味
                 名水で飲むお薬は良く効くの


兼題「守る」 守備範囲狭さがエラー目立たせず
 守備範囲が狭いと確実にカバーできることにしか手を出しません。反対に守備範囲が広いと難しいことにもつい手を出してしまいます。そのために無理をするのでエラーに繋がることになってしまいます。これは野球に限らず仕事面でもいえることだと思います。

席題「踊る」 適役とおだてに乗って踊らされ
 先日の老人クラブの役員改選で、私以外の4人の役員はすべて新役員が選ばれました。そして選ばれた役員の互選で「おまえしかいない」とおだてられ、会長を引き受ける羽目になってしまいました。これからはいろいろな場面で踊らされることになりそうです。


2017年3月川柳教室
兼題「首」 首の皮一枚のこし朝を待つ (互選0点)
 妻が大手術を決意した時、生きて帰れるかどうかわからないと覚悟を決め、自分名義の定期預金を解約する程でした。8時間以上の手術の後、ICUに収容されましたが、翌朝を迎える時このような気持ちだったのではないかと想像してこの句を読みました。それでも献身的な医師と看護師のお陰で、今のように健康を取り戻すことが出来、感謝以外に言葉が見つかりません。

 
私が選んだ3句 ○幼な子が首を傾げて母の目を
             首傾げ手品の不思議見入る子等
             首横に振っていた日の向かい風


 
先生が選ばれた3句  ネックレス母の思いと旅をする
                ピクニック二人で編んだ首飾り
               ○首横に振っていた日の向かい風


兼題「細い」 細ぼそとした暮らしにも花を植え
 年金暮らしでは決して豊かな暮らしは出来ません。私はといえば今はジャガイモやタマネギを植え、少しでも生活の足しにしようとさもしい考えしか持ち合わせません。しかし、妻は花を植え、春を豊かに迎えようとする心の余裕を持っています。

席題「多い」 多数決まま横暴になる政治
 安倍首相になってとくにこの思いを強く感じます。そして党内にはブレーキをかける人もいません。うっかりブレーキをかけようものなら大臣への道を閉ざされるからでしょうか。2期8年の任期を3期12年にするなど、ますます横暴さが目立つことにならないか心穏やかではありません。


2017年2月川柳教室
 今月は妻の診察予約日になっていたので、途中で帰りました。したがって互選も自分が投票しただけで、結果については来月の例会までわかりません。

兼題「紙」 折り込みの裏白ければ残し置き
 子供が小さかった頃、落書きをする紙として、妻が新聞の折り込み広告の内、裏の白い広告を集めて綴っておき、子供の手の届くところに綴って吊り下げていました。私もメモ用紙としてよく使いました。

 未だにその時の癖で、コーティングしていない折り込みの裏が白ければ残しています。この用紙は最近はあまり見られませが、たまに見つけると残しておきます。妻はそれを綴ってこれまでと同じように吊り下げていて、手紙の下書きやメモ用紙として使っています。私はパソコンで作った文書などのゲラ刷りに使っています。

兼題「流れる」 スマホへの流れに乗れずCメール (互選)
 周りの人たちはスマホを便利に使っています。私も低価格のスマホが売り出された時に使ってみようかと思いましたが、見ていると使いこなせそうにないばかりか、あの文字の小さいのを見ると使う気になれず、未だに文字の大きなガラケーを使っています。

 スマホを使っている人たちはラインやツイッターなどでいろいろな人たちと繋がっています。しかし私のガラケーでは電話以外ではCメールしか繋がりません。短い文章にも長時間悪戦苦闘しなければなりません。

 
私が選んだ3句 ○小さき石投げて流れを少し変え
              気がつけば流れるままに生きている
              気配りが流れを変える今日の風


席題「息」 暗闇に寝息うかがい安堵する
 妻が退院してきた時、妻はレンタルのベッドの上で、私は畳に布団を敷いて寝ていました。真夜中に目が覚めた時、真っ暗な部屋で妻の動く気配が感じられない時は心配になり、そっと起き出して寝息をうかがうことがよくありました。そして息をしていることを確かめると、安心して眠りにつくことが出来ました。

 今はすっかり元気を取り戻し、直ぐ隣でかすかないびきが聞こえるので心配することもありません。


2017年1月川柳教室
兼題「枝」 国会は枝葉のことにとらわれて (互選5点)
 国会で大きく取り上げられているのが、どの大臣がどんな失言をしたなどと言う枝葉の問題で、その追求にこだわって、肝心の議論がなされない歯がゆさを感じます。それでいて議論が十分尽くされていないと野党からは必ず異論が出てきます。本当に議論しなければならないことは閣議で決められてしまっているという印象すら抱きます。

 最も心配なのが、憲法が議論しないまま改悪されてしまうのではないかということです。現憲法が占領下の元で作られたもので、自分たち日本人の手で作られたものではないから改正しなければならないと主張する人たちによって、現体制に有利なように作り替えられ、国民の本当のしあわせを置いてきぼりにされるのではないかと危惧します。少なくとも戦争放棄の条文は世界に誇ることであり、大切にしなければならないと思っています。

 
私の選んだ3句  松の枝千両添えて春を呼ぶ
            ○南天の一枝飾る恙なく
             切られても老木はなお枝を張る


  
先生が選ばれた3句  南天を一枝飾る恙なく
                 切られても老木はなお枝を張る
                ○枯枝に花を咲かせて春の夢


兼題「揺れる」 宣告に心が揺れて手も震え
 がんを宣告された時、いささか動揺しました。それもかなり重い状況でした。彼女の頭は真っ白だったようで、その後の詳しい説明も頭に入っていなかったようです。ただ手術をする以外、回復の余地がないことがわかり、素直に受け入れることが出来たことが、今の平穏な生活に繋がっている幸せを感じています。

席題「半分」 半分こする幸せをかみしめる
 上の川柳に続く句です。半分こできる相手が存在するということは、本当に幸せなことだと思います。もしひとりぼっちになっていたら、「半分は明日のために取っておく」と読まなければならない寂しい句になってしまいます。


2016年12月川柳教室
兼題「クリスマス」 ケーキ買う一夜限りのクリスチャン
 別にクリスチャンではない日本人が、イブの日にはクリスマスケーキを買って家に帰り、子供達と「メリークリスマス」と言いながらケーキを食べています。まるでクリスチャンのようですが、翌日にはもう心は年末の忙しさにもどり、クリスマスのことなどすっかり忘れています。デパートも前日までのクリスマスセールは姿を消し、クリスマスツリーの代わりに門松の準備が始まっています。私はそのような一つの宗教にこだわらない日本人は不節操ではありますが、すべてを飲み込む広い心の日本人が大好きです。平和な日本の象徴でもあると思います。

兼題「繋ぐ」 恋女房今は介助で手をつなぐ (互選8点 人)
 若い頃は手をつなぐとトキメキを感じたものです。そして人前では決して手をつないだりしませんでした。しかし、妻がいろいろ病気や怪我で入院してからは、手すりのない階段などでは自然に手をさしのべます。こんな時、若い頃のようなトキメキを感じるのではなく、愛しさを感じます。

 
私が選んだ3句  手をつなぐ温もり伝う帰り道
            ○つながらぬ電話にふいと胸さわぎ (地)
             どん底でつないでくれた手のぬくみ (天)


  
先生が選ばれた3句   忘れ物拾って明日へ夢つなぐ
                ○どん底でつないでくれた手のぬくみ
                  携帯で繋がっているだけの友


席題「静か」 補聴器を買って静かな家になり
 妻は数年前からだんだん耳が遠くなっていきました。補聴器を買う前はテレビの音が腹に響く程大きくなり、会話も怒鳴り声が必要でした。高級パソコン2台分程の値段の補聴器でしたが、買ったとたんにテレビの音は平常に戻り、会話も平常の声で出来るようになりました。


2016年11月川柳教室
兼題「登山」 誘われた富士登山だが自信なく
 毎年8月に実施されるに「一歩進」(四国歩き遍路の先立さんの旅行会社)から富士登山の案内をいただきます。もう頂上に立つことは不可能ですが、富士吉田の浅間神社から5合目まで登るツアーに参加したいと思っています。それでも登山口1800mから5合目2500mまで標高差700mを登るのは大変だと思います。

 3年前、四国歩き遍路逆打ちに参加するため、JR灘駅から標高698mの摩耶山頂上まで登ったことがありますが、一人だったので途中何度も休憩をしました。それより標高が高く、空気の薄いところで果たして登れるか自信がありません。行くなら最後のチャンスだと思うのですが・・

兼題「離れる」 今日もまた付かず離れず妻と居る (互選7点)
 退職後、濡れ落ち葉にはならないようにと、いろいろな活動の場に参加しました。だからといって妻を無視するのではなく、要望にこたえなければならないと思っています。とくに妻が大病をしてからは心細く感じているようなので、より多くの要望にこたえ、支えていかねばと思っています。自然体でほどよい距離を保っていきたいと思っています。

 
私の選んだ3句  子離れや夢の続きをさがす旅
             ここにきてやっと程好い距離わかり
            ○糸切って凧上空へ親離れ


  
先生が選ばれた3句  さよならが名残惜しげに手を離す
                 孫二十歳ばあちゃん離れして行った
                ○捕われを離れひらひら舞うもみじ


席題「刻む」 幸せな日日刻まれて笑いじわ
 いつもにこにこしている人は幸せそうに感じます。まして高齢者の笑いじわを見ると、その人はたとえ苦労された時期があっても笑顔で感謝の日々を過ごされてきたように思います。今更笑いじわは出来ませんが、これからの日日笑顔で感謝の日々を送るよう努めたいと思います。


2016年10月川柳教室
兼題「空」 満天の星が見たくて旅に出る
 私の住んでいる明石市では満天の星を見ることはできません。子供の頃は私の育った神戸市でも満天の星を見ることができたものです。地方へ旅行に出かけた時に、満天の星を見たくて、夜屋外で空を見上げることが度々ありました。しかし、天候がよくなかったり、月が出ていたり、今まで満天の星を見ることができませんでした。

 満天の星を見たいという願いは妻も同様で、峰山高原のホテル、休暇村竹野海岸、同じく広島県の休暇村などを候補に挙げています。いつ行くことが出来るかわかりませんが、新月に近い日で、天候のよい日を選ぶとすれば、宿泊可能かどうか間際に宿泊施設に問い合わせなければなりません。

兼題「干す」 虫干しのつもりが妻の断捨離に (互選3点)
 この季節、夏から冬へと衣料を入れ替えます。冬の服を虫干ししてタンスにしまうのですが、妻に「この服はもう着ないでしょう」と言って処分されてしまいます。妻自身も衣替えのたびにもう着ないと言って捨ててしまった服が沢山あります。そのために季節が変わったと着きる服がないとぼやくほどです。だから私がいつか着ることがあるだろうと何でも置いておく方なので、妻の断捨離の餌食になってしまいます。

 
私が選んだ3句   布団干し日向の匂い嗅ぐ娘
            ○干し柿が日ごと頑固な貌になり
              洗濯の干されてとなり今日は無事


  
先生が選ばれた3句 ○干し柿が日ごと頑固な貌になり
                  干し草の匂いする母抱きしめる
                  大小の洗濯干して今日も無事


席題「追う」 老いてなおそれなりの夢追いかける
 退職した時、それまで経験しなかった出来事が次々と起こり、その都度、そのことに対応しようとする自分がありました。そして、感謝の心とプライドを捨てることが最も大切だということを知りました。さらに誠意を持って対応することによって次々と夢も生まれました。

 今小さな夢ですが、それを追いかける幸せな日々を過ごしています。


2016年9月川柳教室
 8月の教室が先生の都合で中止になり、その兼題のまま9月の教室が実施されたので、川柳の内容が季節外れになってしまいました。本当は詠み直すべきでした。

兼題「味」 記念日に広島の味かみしめる (互選0点)
 8月6日、広島の平和公園で式典が開かれている様子をテレビで見た後、新幹線で現場へ行きました。駅ビルで昼食の広島焼きを食べた後、原爆ドーム前に到着すると、多くの外国人が訪れている様子に驚きました。資料館を見学した後、川沿いの木陰で時間をつぶし、灯籠流しをしました。ここでも多くの外国人が世界平和を祈る言葉を灯籠に書き、流していました。世界の平和を象徴する広島で、平和の味をかみしめる思いでした。

 
私が選んだ3句 ○ひと手間が味と笑顔を豊かにし
             栗ごはんいのちの弾む味がする
             しみじみと味わいたくて秋を待つ


  
先生が選ばれた3句  ひと手間が味と笑顔を豊かにし
                 栗ごはんいのちが弾む味がする
                ○友はみなひと味ちがうあんぽんたん


兼題「浴びる」 一杯の準備万端シャワー浴び
 真夏の夕方、汗をかいた身体はシャワーを浴びるのが最高です。その後に冷たいビールがあれば至福の一時になります。だから一杯の準備を整えておいてからシャワーを浴びます。男性は一杯やろうといえばアルコールを想像しますが、女性にはそのような連想はないようです。したがって「一杯」ではわかりにくいということで、「晩酌」と添削してくださいました。

席題「顔」 会釈され顔は見たことあるけれど
 私は人の顔を覚えるのがもっとも苦手です。だから近隣でも道を歩いていて挨拶されると、一応返礼をしておきますが、何処のどなたかわからないことが度々あります。たまに見た顔だからとこちらから会釈をすると、怪訝な顔をされることもあります。


2016年7月川柳教室
兼題「乗る」 乗り換えもせずのんびりと日々送り
 サンデー毎日の身では、急ぐこともありません。特急電車に乗り換えて立って帰るよりも、そのまま普通電車でゆっくり座席に座り、居眠りしながら帰る方が楽だと思う日々です。

 人生においても、いろいろなことで生活のリズムを変えるより、今のままでのんびり過ごす方が面倒でなくて良いと思っています。

兼題「粒」 一粒の米にも感謝旅へんろ (互選1点)
 歩き遍路をしていた頃、3食とも食前に「一粒の米にも万人の労苦を思い、一滴の水にも天地のご恩徳を感謝し、有り難くいただきます」と唱和していました。このお陰で、感謝する心を身につけたように思います。今も食前に必ず「ありがとう、いただきます」といっています。妻は自分がありがとうといわれていると思うので、気をよくしているようです。

 
私が選んだ3句 ○粒よりの桃の果汁があご伝い
             一粒の笑いをまいて孫かえる
             夕立か一粒かかり空見あげ


  
先生が選ばれた3句  一粒が大暴れするたかの爪
                ○小粒だと自分を思う日は早寝
                 一粒の米も流さず洗う釜


席題「短い」 手短に意を伝えたくメールする
 贈り物に対して感謝の気持ちを伝える時など、電話をすればお互いのことを話し、長電話になることがあります。また、手紙を書くには、時候の挨拶など、改まって書かねばならない言葉があります。これは私にとってずいぶん労力を使うことになります。

 娘からは、メールの題名に「荷物届きました」 本文は「ありがとう」だけのメールが届くことがよくあります。これで十分意がこちらに届きます。メールだとこれで十分なのです。メールは長くなると相手に迷惑になることがあります。手短に意を伝えるにはメールはとても便利だと思っています。


2016年6月川柳教室
兼題「緑」 いただいた老舗の菓子に抹茶点て
 自分で老舗のお菓子を買うことはありません。たまたまいただくことがあると、我が家にとっては特別な出来事になります。それをただ食べてしまうにはもったいないと思うのです。そこで妻が抹茶を点ててくれます。畳に正座して、有り難く頂戴するのです。老舗のお菓子が一段と値打ちが上がるというものです。

兼題「届く」 数億年かけて届いた星見上げ (互選6点)
 先日来火星が地球に接近し、赤い星アルタイルを含めて三角形に星が見えると話題になっています。残念ながら我が家からは空が明るかったり、天候不順で見ることができませんでした。昔は満天の星をよく見上げたものですが、最近は惑星を中心に明るい星しか見ることができません。一度数億年かけて届くような暗い星も含めて満天の星を見てみたいものです。

 
私が選んだ3句  目標に届くまではと夢を追う
            ○梅雨便り届いて蛙ぴょーんぴょん
             手の届くものですませて日々過ごす


  
先生が選ばれた3句  まっすぐに生きて傘寿へ手が届く
                ○絶頂の耳に届かない苦言
                 陽が届くふわり私の場所がある


席題「少し」 取れたてをほんの少しのおすそわけ
 今日は妻が高齢者大学の同窓会(女子会)に、我が家の菜園で穫れた青じそで作ったしそジュースを持って行くと言っていました。まさに我が家の収穫をほんの少しずつおすそわけすることを思い出して詠みました。

 我が家はゴーヤを今年3本植えています。いつもは緑のカーテンとして60円ほどの苗を買って植えるのですが、今年はうっかり接ぎ木をした270円の苗を買ってしまいました。高価だっただけに、次々雌花が咲き、もうすぐおすそわけできるくらいの大きさに育ってきました。我が家はあまり食べないので、息子のところにおすそわけしたいと思います。


2016年5月川柳教室
兼題「聞く」 うぐいすの声聞き登る遍路坂
 四国の遍路坂を登るのは大変です。中でも遍路転がしといわれる遍路坂は本当に苦しく、途中何度も休憩しなければ登れません。とくに11番藤井寺から12番焼山寺への三つの山超えは登るより休憩の方が長く感じるくらいでした。そんなときにうぐいすの声が聞こえると気持ちが癒やされ、元気を取り戻します。

兼題「腰」 村内は腰低くしてお付き合い (互選7点)
 今住んでいる地域は古い村です。そしてまわりの地域の中心でもあるので、古くからいる人たちの意識が高く、誇りを持っています。私は地元出身の妻と結婚したよそ者で、しかも退職するまで地域の人々とは全く交流がありませんでした。それでも退職後は地域の中で生活することが大切だと思ったので、プライドをかなぐり捨て、まさに腰低くして飛び込みました。お陰で10年あまり経った今では、お付き合いさせてもらっている人たちの中では存在を認められるようになりました。(1年ぶりに先生に選んでいただき嬉しく思いました)

 
私が選んだ3句  いいこともあるさとじっと腰を据え
             掃除機が腰にこたえて週一に
           ○腰つきが自信のなさを白状し


  
先生が選ばれた3句  腰掛けに丁度いい場所見ーつけた
                 村内は腰低くしてお付き合い
                ○腰おろす石が仏となる坂で


席題「狙う」 狙われる財産もなく電話受け
 自分に財産があると思うと、うっかりだまされてはいけないと警戒心を持って電話を受けます。しかし、自分に狙われるほどの財産がないと考えると、余裕を持って対応できると考えました。相手に調子を合わせながら、おちょくってやるのも一興だと思っています。


2016年4月川柳教室
兼題「譲る」 譲られて改めて知る我が姿  (互選9点)
 自分はまだまだ衰えていないと思っています。だからみすぼらしい老人の姿はしていないとも思っています。どちらかと言えば席を譲ってもよいとすら思うくらいです。バスで杖をついた高齢者が立っていると席を譲ることもあります。

 しかし、60歳を超えた頃から若者が席を譲ってくれることがありました。せっかくの厚意を無にしてはと思い、素直に座るようにしています。そして後期高齢を迎えた頃からは席を譲られることが多くなり、電車で立っていることが少なくなりました。若者から見れば、私の姿はみすぼらしい老人に見えるのでしょう。

 
私が選んだ3句 ○譲り合う言葉嬉しく聞く車中
             この性は親譲りでと言い訳し
             お互いに顔を見合わせ譲り合い


  
先生が選ばれた3句  調味料ゆずり合いつつ個性出す
                 爺ちゃんに孫のTシャツ大きすぎ
               ○譲られたチケットひとり春うらら


兼題「肩」 肩の荷がおりてビールが胃に染みる
 責任ある立場を退いてほっとしたときのビールの味は格別です。冷たいビールが胃に染みていくのがわかります。最近でもいろいろな役がまわってきますが、その役割を果たした後の乾杯でも同じように冷たいビールの心地よさを味わっています。

席題「磨く」 錆びついた心磨いてくれた子ら
 高齢になってくると感動する心がにぶってきます。ところが、小学生の下校の見守りをしていると子ども達からいろいろな刺激を受けます。そのあたりに咲いている草花を摘んでプレゼントしてくれたり、信号待ちの間話しかけるといろいろなことを聞かせてくれます。そうして成長した姿で卒業していきます。純粋な心に接していると自分の心が洗われる思いがします。



2016年3月川柳教室
兼題「旗」 日の丸を振り万歳をした皇居 (互選0点)
 昭和60年正月、新幹線一日乗り放題の切符を買って東京へ行きました。お堀へ行くと大行列、聞けば皇居へ入れると聞き列の後ろに並びました。しばらく進むと日の丸の小旗が配られました。テレビでよく見る皇居の新年参賀に参加できることがわかりました。大勢の人たちの後ろで万歳をしましたが遠くからでは天皇ご一家の姿がよく見えないので、みんなが退場した後居残り一番前に陣取りました。昭和天皇はその4年後に亡くなられましたが、お元気な姿を見ることができ、本当に良かったと思います。

 その後、名前の由来となる靖國神社を訪れ、続いて初詣で客で賑わう明治神宮にお参りして帰りました。このときの日の丸の小旗は返さずに記念に持って帰りました。今も国旗を見るとこのときのことを思い出します。

 
私が選んだ3句 ○旗上げる匿名ママの底力
             懐の反旗が出番待っている
             あっさりと白旗をあげ晩ごはん


  
先生が選ばれた3句  青空に無職の旗を揚げて春
                 懐の反旗が出番待っている
                ○あっさりと白旗をあげ晩ごはん


兼題「切る」 男性の料理切るのに時間とり
 グループいきいきネットで毎年「元気高齢者のための料理教室」が実施されます。数年前、一度だけ男性だけのグループで調理したことがあります。年配の女性グループは手際よく食材を切り、加熱が始まります。しかし年配男性グループはというと一つの食材を切るのにも時間がかかってしまって、後れを取ってしまいました。見かねた講師がいろいろ手伝ってくれ、なんとかみんなと一緒に試食することができました。女性のようにトントントンとリズミカルな音を立てながら食材を切ってみたいものです。

席題「名」 ありふれた姓も名まえに助けられ
 私の姓は日本で3番目くらいに多いといわれるほどありふれた姓です。ところが名まえは祖父が二人といないだろうといわれるような名前をつけてくれました。お陰で同性がいる時は名前で呼ばれたり、フルネームで呼ばれるので、間違えられることはありませんでした。

 そんな珍しい名前ですが、インターネットで名前を入力すると、中部地方の土木関係の役人で活躍している同性同名の人がいました。


2016年2月川柳教室
兼題「半分」 双子ちゃんママは上手に半分コ (互選4点)
 私の孫に男の双子がいます。同じ姿の乳幼児が仲良く、時には競い合いながら動き回る様子は本当にかわいいものです。一つのお菓子を二つに割ってもらう時、じっとママの手元を見つめます。ママは平等になるように上手に分けます。その二人はもう成人し警察官と営業マンになっています。

 
私が選んだ3句  半分も進まぬ内にため息が
             半額の文字に財布のひもほどく
           ○今日の福半分明日にとっておく


  
先生が選ばれた3句  考えて考え抜いて半分に
                 半分こする相手なくみかん食む
               ○半分は心の中に納めます


兼題「咲く」 三十年経ち記念樹も咲く根尾の郷
 30年ほど前、ふるさと創生資金として各自治体に1億円配られました。岐阜県の根尾村では有名な「薄墨の桜」をもっと増やそうと、将来温泉施設を作ろうとするところに沢山の薄墨桜の苗を植えることにし、全国に募集をしました。妻が応募し、結婚30年記念植樹として参加しました。
 以後時々訪れていますが、行くたびに大きく育っています。あれから30年近く経ちましたが、春になればきっと根尾の郷にその記念樹が咲くことでしょう。

席題「問う」 おずおずと検査結果を問うてみる
 昨年から家族が検査を受けることが続きました。そのたびに医師から結果を聞くのが怖くなります。それでも「どうだったのでしょうか」と結果をたずねずにはおれませんでした。


2016年1月川柳教室
兼題「新」 新年の計は去年とまた同じ
 毎年新年を迎えると、なんとなく新鮮な気持ちになります。そして今年はこんなことをしてやろうなどと思います。しかし体力が落ちてくると、そこそこの程度のことを考えます。そしてそれは去年の正月に考えたこととほとんど変わりありません。なぜなら去年考えたことを計画通り実行した覚えがないからです。

兼題「磨く」 磨かずに腕よ上がれと初詣 (互選1点)
 川柳の腕は全く上がりません。それは川柳について研究をしたり、学習することなく、教室で出される兼題や席題について考えるだけです。にもかかわらず、初詣に行くと15円の賽銭で良い句が詠めますようになどと厚かましいお願いをしています。

 
私が選んだ3句  梅開き娘料理の腕磨く
            ○窓ガラス磨けば空が青くなり
             焦げ付いたナベ磨くこと徐々に増え


  
先生が選ばれた3句  丁寧に磨くメッキが剥げぬよう
                ○心にも時々磨きかけている
                 磨かれた石はまあるく静かです


席題「便利」 便利だと買った道具の持ち腐れ
 現職時代、職場にいろいろな業者が商品の販売にやってきていました。実演を見たり、説明を聞いていると便利だなと感心し、ついつい買ってしまった品物が、戸棚や押し入れを整理していると出てきます。とくに妻のために買ったものは一度も使われないまましまわれている物が沢山あります。今はもっと便利な物があり、今後も使われることはなさそうです。


2015年12月川柳教室
兼題「兄弟・姉妹」 兄弟の真ん中ひとり落ちこぼれ (互選2点)
  私は姉と男3人兄弟です。本当は私と弟の間に二人弟がいたのですが、一人は生まれて直ぐに、もう一人は戦時中にジフテリアに罹って亡くなっています。男3人の内長男は跡取りとして大切に育てられ、成績も中学時代からぐんぐん伸ばし、理科系で学術論文を専門誌に載せるほど。一方弟は一流企業で選ばれて海外勤務をし、その後もあちこちの国に出向するほど、未だに海外へ出向いています。そんな中私は平々凡々の仕事と暮らしが続き、未だに老人クラブでグラウンドゴルフやカラオケをのんびり楽しんでいます。

 
私が選んだ3句 ○七回忌兄妹揃い弾む声
             兄弟の絆は嫁のでき次第
             母も逝き他人になっていく姉妹


  
先生が選ばれた3句   三姉妹しゃべり続けて夜の宿
                ○母も逝き他人になっていく姉妹
                  電話口ふと亡母に似る姉の声


兼題「決める」 決めたこと忘れまたまた叱られる
 この句を読まれた大西先生は直ぐに「奥さんに叱られるのですね」と図星の言葉。トイレの電灯など私はよく消し忘れます。ドアを閉めてしまうと電灯が点いているのが見えにくくなるからです。妻には後ろを振り向いて確かめるように言われるのですが、ついつい忘れて注意される羽目になります。妻に言わせると先先のことに心が走り後ろを振り返らないからだと言われています。自分でも情けない日常です。

席題「客」 妻の茶会たったひとりの客になり
 珍しいお菓子が手に入ると妻はお茶を点てようといいます。そんなとき私は座敷に正座をし、お菓子をいただき、妻の点てたお茶を飲みます。そして「結構なお点前でした」と深々とお辞儀をします。その後妻は自分で立てたお茶を飲んでいます。夫婦二人きりのお茶会です。


2015年11月川柳教室
兼題「笛」 笛と琴コラボなつかし亡父と姉
 兄弟が多い中、女は姉ひとりでした。父は姉がとくにかわいかったようで、高校時代に琴やバイオリンを習わせていました。自分もマンドリンや尺八を趣味とし、手巻きの蓄音機にクラシックのレコード盤もありました。終戦直後の貧しい生活でしたが、父が尺八を吹き、姉が琴を弾き、「桜」や「六段の調べ」などをコラボしていました。小学生の私は父も姉もある意味であこがれも的のように思っていました。

 高校時代、父のマンドリンを自分のもののように持ち歩き、我流でよく弾きましたが、決して父のように上手くはなれませんでした。いまも手元にありますが、最近は触ることすらありません。それでも音楽好きだった父の思い出として大切にしています。

兼題「消す」 今すぐに消したい過去が二つある (互選11点)
 若い頃の思い出しても冷や汗が出るような過去や、若気の至りで他人に対して罪作りなことをしでかした過去があります。そのためにいまもその人と正常な気持ちでおつきあいができません。後悔する過去を今すぐ消してしまいたいという思いを詠みました。

 川柳教室でどんな過去かたずねられましたが、「消したいほどの過去だから公表できません」と言って失笑を買いました。

 
私が選んだ3句  すべり出た一言消えず星あおぐ
            ○永らえば消したい過去もいとおしく
             厭なこと消す消しゴムはありますか


  
先生が選ばれた3句  すべり出た一言消えず星あおぐ
                ○妄想を打ち消すように窓を拭く
                 厭なこと消す消しゴムはありますか


席題「底」 釜底の一粒の米見逃さず
 終戦直後のひもじい生活の中、かまどで麦飯を炊いていました。炊きあがったごはんをおひつに移していましたが、釜の底にくっついたごはんを白湯を入れてすべて食べるようにしていました。このことが身に染みついていて、いまも炊飯器にくっついている米粒が気になります。しかし妻の手前、底に白湯を入れてさらえることは我慢しています。


2015年10月川柳教室
兼題「行く」 行き先を告げず出かけた若い日々 (互選4点)
 若い頃はいちいち行き先を家族に告げることなく出かけることが多かったと思います。病気の親や子供の世話を任せて勝手に出かけることを後ろめたく思ったからです。もちろん休日出勤もよくありました。しかし高齢になるといつ何が起こるかわからないので、必ず所在を明らかにしておく必要があります。それでも携帯電話を持ち歩く習慣がないので、妻を困らせることがよくあります。

 
私が選んだ3句 ○まだ傘寿赤いシャツ着てヨガに行く
             元気よく行ってきますと今日も妻
             行く先の不安かくして大わらい


  
先生が選ばれた3句   元気よく行ってきますと今日も妻
                 ○われの名を忘れた母に会いに行く
                  行く道の賑やかな朝子等の朝


兼題「野菜」 芽を出した冬の野菜が賑やかに
 我が家の菜園に冬野菜の大根と春菊、そしてほうれん草の種を蒔きました。中でも大根と春菊は袋に入った種をすべて蒔きました。それらが一斉に芽を出したので、一面の双葉が賑やかに踊っているように思いました。少しずつ間引いて食べていますが、春菊はまだまだ一面に小さな本葉を賑々しく広げています。

席題「磨く」 これからは心磨いて極楽へ
 そろそろ真面目に生きて、極楽浄土へ行くことができるようにしなければなりません。そのためには日頃から心を磨く必要がありそうです。


2015年9月川柳教室
兼題「坂」 人生の最高の時下り坂
 NHKBSTVで放映されている「こころ旅」の出演者・火野正平氏が自転車で下り坂を走行するときに「人生下り坂最高」と言われます。考えてみると、現職時代は上を目指して努力をしてきたと思います。しかし退職後は地位や名誉などのプライドをすっかり捨て、気楽に第九を歌ったり、川柳を楽しんだり、四国と小豆島の歩き遍路を結願し、地域の仲間とグラウンドゴルフやカラオケを楽しみ、自分の時間のほんの少しをボランティアに使うことによって地域に恩返しをする現在の生活は、これまでの人生の最高の時だと思えるようになりました。人生の終焉に向かった下り坂かもしれませんが、家に閉じこもりさえしなければ自分らしい有意義な時間を過ごせることに幸せを感じています。

兼題「迷う」 放哉が輝く迷路小豆島(互選2点)
 小豆島の歩き遍路をしているとき、土庄町の迷路の町を歩きました。その中ほどに尾崎放哉の終の棲家であり、今は記念館になっている建物を先達の案内で訪れました。放哉は須磨寺の寺男をするなど決して恵まれた生活をしていませんでした。

 そのような放哉が最後にたどり着いたのがここ小豆島で、山頭火に並ぶ自由律の句を100句ほど詠み亡くなりました。そのように恵まれなかった放哉が、現在土庄町で俳句大会が催されるなど、郷土の文人として注目され、輝いています。

 なおこの句に関しては互選で高得点を得るような気持ちは全くなく、他人に私の気持ちが伝わらないだろうと自分の世界の中の一つの思いを詠んだのですが、2点も入ったことは不思議に思いました。
 
 
私の選んだ3句 ○針穴に糸が迷って通らない
             残生を八十路半ばでまだ迷う
             優先座席座るか否か迷う古希


  
先生が選ばれた3句 ○迷うのはひまわり畑だけにして
                 じゃんけんで迷った時はパーを出す
                 星空の道に迷って家遠く


席題「割る」 難儀して分数で割る意味を説く
 4〜5年生で分数の計算を学習します。その中で分数の割り算が出てきます。しかしその年齢の子供達の生活の中で分数で割る経験などありません。うっかり「クラス43人にまんじゅうを4分の1ずつ配るとしたらまんじゅうはいくつ要るでしょう」などといってしまい、方程式をまだ習っていない子供達に説明できなくなってしまいました。その時意味のわからない分数計算を今学習しなければならないのかと自分の非力を棚に上げて思ったものです。


2015年8月川柳教室
兼題「美」 ありがとう添えた笑顔が美人にし(互選27点)
 2〜3年前、キリン堂魚住店でのこと、レジで長い行列に並んでいました。やっと次は私の番だと思ったとき、ひとりの若い女性店員が笑顔で近づいてきて、私の買い物籠を持ち「こちらへどうぞ」と隣のレジへ案内してくれました。勘定を済ませているとおつりがこぼれないよう私の手を両手で包むように渡してくれました。そして笑顔で「ありがとうございました」といいました。その時その女性がとても美しく感じました。その店員のことを今回詠んだのですが、多くの仲間に支持され私自身ビックリしました。
 
私の選んだ3句   里の盆昔を語り美酒に酔う
            ○手鏡に向かいつぶやく美しい
              美人より笑いじわあり友多し

  
先生が選ばれた3句  つかの間の美を甘受するかき氷
                ○ワタクシと言う人と行く美術館
                 美食家もくぐりたかろう縄のれん


兼題「傾く」 傾けた笑顔の孫とツーショット
 句を考えていたそばで、妻が昔の写真を整理していました。そして結婚する直前の正月に和服で正装した娘とのツーショットの写真を見せてくれました。思春期になった娘はあまり私のそばでべたべたすることはなく、むしろエレクトーンの発表会など来てはいけないなどと言われたしていました。そのような娘とツーショットでカメラに収まることなど考えられないと思っていました。そこで思いついたのが小さい頃笑顔を傾けたかわいい娘を思い出しました。句を詠むときに「娘」にすると中八の字余りになってしまいます。そこで女の孫はいないのですが「娘」を「孫」に読み替えました。同じ笑顔でもちょっと傾けるとかわいく感じるのは私だけではないと思います。

席題「ガラス」 迎賓館歴史感じる窓ガラス
 昨年比叡山延暦寺の迎賓館で表彰してもらったとき、長い縁の窓ガラスがひずんで見えました。明治時代の建築で、その大きなガラス一枚はベンツ一台ほどの値打ちがあると聞きました。その窓ガラスを思い出し、詠みました。


2015年7月川柳教室
兼題「海」 愛犬と海に溶けゆく夕日愛で
(互選11点)
 最後に飼っていた犬と江井ヶ島海岸をよく散歩しました。正月近くなると小豆島と家島群島の間の海に夕日が沈んでいくのが見られます。まるで太陽が海に溶け込んでいく様に見えました。犬と一緒に海岸に座ってその様子を眺めていたのを思い出して詠みました。
 
私が選んだ3句 ○海の幸あふれる町に住んで良し
              さざ波の海辺に立ちて夢描き
              あばれ川両手をあげて海受ける

  
先生が選ばれた3句  揺れ動く小舟を抱いて海静か
                 海のそこお魚達が恋をする
                ○海風に抱かれて散歩ドレミファソ


兼題「光・光る」 閃光を受けて七十年無事に生き
 神戸に住んでいた私はいよいよ空襲が激しくなってきたので、祖母と広島県へ疎開しました。その日も学校で授業があり、始業前に運動場で遊んでいると稲光がしました。放課後自宅に帰ると、広島に新型爆弾が落とされたと聞きました。それが原爆だということは終戦後に知りました。幸い広島市から離れた場所だったので、原爆症など身体的な問題が起きることは今までにはありません。

席題「曲がる・曲げる」 信念を曲げぬばかりに場がしらけ
 子供の頃は家族や友達の言いなりになることが多かったと思います。ところが就職してからは自分で判断しなければならないこと、自分で新たに創り出していかなければならないことばかりで信念がなければやっていけなくなりました。そのようなことから、同僚と議論していても、いつの間にか自分の主張を曲げなくなってしまったようです。ただし、主張には独りよがりの面が多くあったようで、きっと同僚はしらけていたと思います。今思えば冷や汗が出ます。


2015年6月川柳教室
兼題「梅雨」 あじさいの喜ぶ梅雨はぼくも好き

 梅雨に入って我が家のあじさい:“ダンスパーティー”がきれいなピンクの花を咲き誇っています。みずみずしい花を長く咲かせている姿はいかにも梅雨の雨を喜んでいる様に思います。私も3日に2日のペースで雨が降るお陰で、菜園や花々に水やりをする手間がいらなくて嬉しく思っています。梅雨が明けると毎日30分以上の水やりをしなければならないので大変です。

兼題「頼る」 頼られるほどの度量をもてなくて
 優柔不断だと自覚している私は自分自身でも頼りないと思っています。それでも私にはいろいろな役割が回ってきます。また、おだてられ頼まれればついその気になって引き受けてしまいます。頼んだ方は厄払いができてやれやれと思うだけで、私を頼りにしたり、期待しているわけではないことがわかっているので、早くその役から放免されることを願うだけです。
 
私の選んだ3句 ○子に頼るところを残す親心
             頼ったり頼られたりで日長いく
             転んでも頼れる人といる暮らし

  
先生が選ばれて3句  畑仕事頼みの綱はおばあちゃん
                 ナビ頼ることはしないでマイウェー
                ○頼られてそれらしくなる父になる


席題「浮く」 特売の浮いたお金でまた太る
 特売や割引でものを買うとその浮いたお金をプールしておくのが我が家の錬金術です。時々そのお金を使って日頃からほしいと思うものを買ったり、おいしいものを食べたりします。そのごちそうが原因で太ることがあるのです。


2015年5月川柳教室
兼題「辿る」 手探りで辿る戒壇足すくみ
 何度か戒壇巡りをしたことがあります。特に善光寺の戒壇は方角を見失ってどちらに向かっているのかわかりません。ただ最近は観光客が多いので、前の人にぶつかったりしてしまいます。それでも真っ暗なので足がすくんでしまいます。

 戒壇はお寺によって異なるので、初めてのお寺では特に足がすくんでしまいます。手探り、足探りで進み、明かりが見えてくるとほっとします。

兼題「生」 生命の匂いに満ちた孫を抱く(互選7点)
 乳児を抱いたとき、乳の匂いがぷんぷんとして、これから大きくなっていくぞという生命力を感じます。特に孫を抱いたときには頼もしさを感じたものです。その孫たち3人も今は社会人として頑張っています。
 私の選んだ3句  人並みに生きて残るはひとり旅
            ○生と死の境彩る彼岸花
             愛の日を生きた時代は非公開

  
先生が選ばれた3句  生命の匂いに満ちた孫を抱く
                ○不器用な生き方問えば風やさし
                 冷水を一口含み生き返る

 自分の句が久しく先生に選ばれることがなかったので、とても幸せな一日でした。

席題「深い」 深読みのニュース聞いてもなお不明
 橋本大阪市長が訴える都構想に関して何度解説を聞いてもよく理解できませんでした。大阪市を5つの区に分けても、それがどのような意味があったのでしょうか。一昨日の住民投票で否決されましたが、ある意味で当然の結果だったのだろうと思いました。


2015年4月川柳教室
兼題「暇」 指先もプチンプチンと暇つぶし
 荷物を送る際によく使われるビニールの泡の様な緩衝材を、指先で一つずつつぶしていたことがあります。そんなときは指の主である私も暇をもてあましていたのだと思います。最近はパソコンをするためか、そのような暇をもてあますということがなくなりました。プチンプチンと楽しむ余裕があればと思います。

兼題「踏む」 貧乏が父の轍踏むことさせず(互選0点)
 私は父を尊敬しています。自分が損だと思えることでも引き受けるお人好しなところは私も見習いたいともっとも思うところです。そのために知人の保証人になり、家財道具を差し押さえられたこともあります。その時は小さいながら、家族と息を潜めて見守ったのを今も記憶しています。

 そのような貧乏生活でしたから、大学時代も入学金だけは父が払ってくれましたが、入学後はアルバイトや病気入院した父の委託の仕事を県庁で代理に遂行するなど、授業料など自分に必要な費用はすべて自分で稼いでいました。そんなときに友達からたばこを勧められたことが何度もありましたが、たばこ代など余裕もなく、一日60本も吸っていた父の様に、肺を冒される様な病気にならなくてすみました。
 
私が選んだ3句  幼き日足裏踏んで親孝行
            ○菜の花の風を背に受けペダル踏む
             ぽつねんと足踏みミシン遺されて

  
先生が選ばれた3句  菜の花の風背に受けてペダル踏む
                ○雑踏へ向かう一人になりたくて
                 地団駄を踏むたび君は強くなり


席題「自分」 おだてられ貧乏くじを引く私
 私を利用しようとする人はまずおだててきます。そのおだてをまともに聞く私はいろいろ面倒なことを引き受けざるを得ない立場になってしまいます。これもあるいは父譲りなのかもしれません。貧乏くじだとわかっても人から存在を認められているのだと思い感謝することにしています。これこそ父を見習いたいことの一つだと思っています。


2015年3月川柳教室
兼題「めがね」 二人してめがねが曇る飯を食う
 3ヶ月ぶりに退院してきた妻と一緒に食事ができるようになりました。これまで自分の手作りの料理を食べていましたが、段取りが悪く、いつも食べるときには冷めてしまっていました。妻が手料理を作ってくれるようになり、湯気の立つ料理を再び食べられるようになりました。その喜びを詠んでみました。

兼題「苦しい」 苦労した証ですねとシワが言う (互選4点)
 妻の手にはシワがあります。畑仕事をした後など、そのシワに土が入り込み、黒い線になります。それを見ていると、これまでたくさんの苦労をして生きてきた証のように思います。しかし、3ヶ月半の入院生活ですっかり白い手になってしまいました。やはり日に焼けた黒い手の方が妻に似合っています。
 
私が選んだ3句 ○苦しさも生きる証と笑みに替え
             苦を知った後の生き方楽になる
             こんな時ばかりでないと言った母

 
 先生が選ばれた3句 ○苦しんだ時間の小さな贈り物
                 春キャベツパクパク食べて苦も楽に
                 削除キー押して苦しみ消せたなら


席題「地図」 この地図に僕の生まれた家はな
 私は三宮の街中で生まれました。戦後の焼け野原の後区画整理などがあり、厳密に言えば生まれた家の敷地の大部分は道路になってると思います。東日本大震災で津波被害に遭った人々の中にも、今の地図には自分の生まれた家の場所が特定できない人がいると思います。


2015年2月川柳教室
兼題「働く」 年老いた働き蜂の日は長く
 妻が3ヶ月近く病院の生活をしています。最近はリハビリで町中の歩行訓練もあって変化が出てきましたが、これまでは病室周りとリハビリ室くらいの生活だったので、飽き飽きしているとこぼしていました。これまでのんびりする時間を持たなかった私ももっと年老いて家の中だけで過ごすようになれば一日が長く感じるだろうなと思いました。

兼題「溝」 あなたとの溝を笑くぼで埋めました (互選8点)
 人間関係で気まずい思いをしていても、相手の笑顔を見ると気まずさが消えてしまいます。相手が私との溝を笑顔で埋めたことを詠んでみたのですが、笑顔を「笑くぼ」と詠んだ方が句にかわいさが出るかなと思いました。先生が互選で私の句だということがわかると驚いておられました。
 
私の選んだ3句  溝うめる無沙汰の手紙書きあぐね
            ○溝さらえ終えて隣と熱いお茶
             飛べるはずだったショックの里の溝

  
先生が選ばれた3句 ○溝うめる無沙汰の手紙書きあぐね
                 溝飛んで一つの悩み消えました
                  あの溝を必死で跳んだ恋さ中


席題「固い」 安ものの肉焼きすぎて歯も立たず
 妻は肉が嫌いで食べないので肉料理はお世辞にも上手とは言えません。だから上等の肉でもフライパンで焼きすぎてしまいます。それでもいい値段の肉を買ってくれるので固いということはありません。しかし、妻の入院中に私が買う肉は、豚のもも肉のブロックは100g100円、鶏の胸肉に至っては100g58円です。このような安ものを焼きすぎるときっと固くなるだろうと思って詠みました。再び一口カツや唐揚げにしようと思っています。


2015年1月川柳教室
兼題「奇跡」 ああまたも奇跡おこらぬジャンボくじ(互選1点)
 これまで何度も年末ジャンボを買いました。しかし9000円で買って当選が10900円というのが最高。ほとんどは3000円で300円ということでした。だから最近は買うことはありません。
 
私が選んだ3句  穏やかな暮らしに奇跡待ってみる
             ここに居るそれが奇跡と米を研ぐ
            ○奇跡まつやがて聞こえる春の音

  
先生が選ばれた3句 ○ここに居るそれが奇跡と米を研ぐ
                  奇跡待つごとくにはぐる初暦
                  ひょっとして奇跡おこるか今日の空


兼題「来る」 ついに来た振り込め詐欺の通信が
 「日記」の1月19日付けで掲載したとおり、昨日詐欺の勧誘書の入った封筒が届きました。実は最近料理をすることが多く、「待ちぼうけ腕をふるった料理冷め」と詠んでいたのですが、前日にこんな封筒が届いたので、せめて川柳仲間から被害者が出ないよう今回の句を投句しました。実際に封筒を見せ、内容を知らせるとインパクトがありました。

席題「育つ」 自立へと育ち盛りの喜寿の日々
 妻の入院が2ヶ月を終えようとする昨今、衣食住に関してずいぶん自立してきた思いがします。その様子を句にしてみました。

季刊・川柳「樹樹」 2015・新春・Vol.16 入選
兼題「窓」 窓際の花と仲良く日なたぼこ
 最近のんびり過ごす気分のときがありません。時間があればあれもこれもと次々に家事が降って湧きます。時間ができればパソコンに向かっています。日なたぼこのようなのんびりした時間にあこがれるようになりました。


2014年12月川柳教室
兼題「鼻」 鼻たれも等しく喜寿の同窓会
 今年の小学校の同窓会には出席することができませんでした。終戦直後には青洟をたらした子ども達をよく見かけました。そしてその青洟を服の袖で吹いていたので、袖口はてかてか光っていました。私の袖口も光っていたので同類だったのでしょう。今年の同窓会はそのような鼻たれも立派な紳士として参加していたことと思います。

兼題「終い(しまい)」 お話の終いを聞いて眠る孫(互選6点)
 私の子供が寝床につくと、「日本昔話」を読み聞かせるのが日課でした。話し好きの子供は「はいお終い」と言うまで眠りにつくことはありませんでした。そして話が終わると安心したように眠りました。
 下5を「子供」にすると下6になってしまうので「孫」に置き換えました。孫は絵本が大好きで、たくさん絵本を買ってやりましたが、眠るときに読み聞かせたことはありませんでした。
 
私が選んだ3句  人生の終い準備も口ばかり
             終い風呂家族の無事を確かめる
            ○終章は未練と悔いを残さずに

  
先生が選ばれた3句 ○終い風呂家族の無事を確かめる
                 銀幕の巨星が落ちて昭和終え
                 カラカラと店終いして明日は晴れ


席題「ほどく」 この縁ほどけぬように介護する
 先月21日に腰を痛めた妻の介護を1週間しました。入院してからも毎日洗濯物や新聞をもって病院に通っています。結婚して53年、お互いに相手の気持ちを大切にしたいと思っています。


季刊・川柳「樹樹」 2014・秋No.15号
 大阪のH・U・N企画から発行されている「樹樹」に投句していた句が入選していました。
兼題「隠す」 秘め事を叫んでみたいあかね雲
 私にとっていくつかの秘め事があります。決して口にすることは許されないことですが、江井ヶ島海岸で夕焼けを一人のんびり眺めていると、昔のことが思い出されてきます。金隈取りの雲の下から夕日が顔を出し、やがて海に沈んでいくのを眺めていると、あかね雲に向かって思い出の中の秘め事を叫んでみたくなります。それはちょっと自慢話であったり、今もって恥ずかしい気持ちになったりします。でもあの世まで心に秘めてもっていかねばなりません。


2014年11月川柳教室
 西江井友愛クラブの親睦旅行と重なり、投句だけしておきました。
兼題「アドリブ」 講演でアドリブだけが受けており
 講演会に出かけていったとき、講演の内容はつまらないのですが、ときどき発せられるアドリブだけは人を笑顔にさせていることがあります。私がこれまで人前で話したとき、アドリブも入らないので、居眠りをしている人の姿さえありました。今後人前で話すことはないので、このような心配はありません。

兼題「許す」 許されぬ恋の火種を今も持つ
 私が恋の火種をもっているかどうかは秘密として、あるまじめな先生が男性ばかりの同窓会で次のようなお話をされたことがあります。
 「高齢者にとって、異性に興味を持たなくなったら若さを失う。映画やDVD、小説など男女に関わるものを鑑賞したり読んだりして男性ホルモンの分泌を良くすることこそ、若さを保ち、健康を維持することにつながる」と。
 若い女性に声をかけられたり、初恋の人に出会ったらどんな反応をするでしょうか。


2014年10月川柳教室
兼題「竹」 竹馬に乗り兄ちゃんと背比べ
 男兄弟にとって、兄は絶対であり、あこがれでもあります。私の子供の頃は特にそう思っていましたし、今でもその気持ちは残ってます。
 そのような兄ちゃんに対して竹馬に乗って兄ちゃんを見下ろすというのは新鮮であり、新たな感動でもありました。


兼題「乗る」 初恋の彼女に出会い乗り過ごす(互選0点)
 結婚する相手決まって間もない頃、偶然大学時代の片思いの彼女に帰宅するバスの中で出会いました。彼女は高校の後輩で、登校時に一緒に歩いたり年賀状を交わす程度の間柄でした。しかし、彼女から、自分の女友達とも親しくしてあげてといわれ、恋心は砕かれてしまいました。
 1年ぶりに偶然出会ったバスで、話をしている内に最寄りのバス停は過ぎてしまいました。次の停留所で、自分は近く結婚するんだといってバスを降りました。その後風の便りで彼女は結婚して横浜に住んでいると聞きましたが、もちろんその後出会うことはありません

 私が選んだ3句 ○取り敢えず安泰という船に乗り
             風に乗り路地まで届く金木犀
             調子よい話に乗って荷を背負う

  
先生が選ばれた3句  取り敢えず安泰という船に乗る
                ○秋風に乗せられ明日は栗ごはん
                 その話乗ったはいいがシャボン玉


席題「便利」 停電で出さぬと自動ドアがいう

 便利と思える自動ドアですが、トラブルがあるとなかなかやっかいなものです。私の近くに総合市場があり、入り口に自動ドアが設置されています。夏の間は開け放たれていますが、冬の寒い時期には閉められています。ところがこの自動ドアが良く故障して2カ所ある片方が締まったままで、「もう片方のドアからお入りください」と張り紙がしてあります。
 停電にでもなれば出入りできなくなるなと思いながら詠みました。


2014年9月川柳教室
兼題「笑う」 大笑いすることもなく日日静か
 ふたりの会話だけでは大笑いすることはありません。といって、諍いをすることもなく、穏やかな日々を過ごしています。ただし全く静かかといわれれば、そんなことはありません。妻は補聴器をしていて、装着しているときは普通に会話できますが、はずしているときは大きな声で話さなければ通じません。そんなときテレビを見ていると、結構大きなボリュームが家中響き渡っています。穏やかな暮らしを「静か」と詠んでみました。

兼題「油」 会席も天ぷら料理避けて食べ(互選1点)
 会席料理で品数が多いとき、うっかり天ぷらを食べると一気に満腹感に襲われ、その後の料理が食べられなくなります。特に好きな料理があとから出てくると後悔してしまいます。天ぷらの揚げたては本当に美味しいのですが、手をつけないことがよくあります。これは私個人のことですが、他の人が読めば、きっとダイエットの敵だと解釈するでしょうね。
 
私の選んだ3句 ○潤滑油のようなお方が救い主
             軋むドア油さしつつ友を待つ
             水と油どこで折り合うタイミング

  
先生が選ばれた3句  今日一日油をさして三歩前
                 ポマードが匂いし昭和遠くなり
                ○ねじを巻き油をさして歩きます


席題「部屋」 部屋干しの臭いで候補一つ減り
 私自身が投句するとき、きっとみんなに読み取ってもらえないだろうと思っていたのですが、案の定先生から「どういう意味ですか」たずねられました。どの服を着て出かけようかと迷っているとき、たまたま部屋干しのいやな臭いがする服があると、候補から除外します。
 作句の直前にふあうすとの椙元紋太氏の句「せっかくの安楽椅子に服がない」という句を読んでいました。解説に
「私の思い出の句だが、人にはそこまでわかるまい。句の上に現れていないから。私の息子が(18歳)胸を病んだ。戦後1年目のこと、サイダー1本手に入れるにも困った覚えがある。どうにも出来ないまま息子は死んでしまった」とありました。厚かましく、私も人にわかってもらえない句を読んでもいいかななどと思って投句したのです。


2014年8月川柳教室
兼題「ボタン」 指先とボタンが徐徐に仲たがい(互選10点)
 毎年12月に第九を歌うためにワイシャツに略礼服を着て舞台に立ちます。ところが指先が不器用になり年々ワイシャツの第1ボタンを留めるのに悪戦苦闘するようになってきました。はじめに「指先とボタンの仲が悪くなり」と詠んでいましたが、だんだん留めにくくなった気持ちを詠みたいと思って「徐徐に」という言葉を挿入しました。
 私が選んだ3句 ○里帰りボタンはずして夕涼み
             持ち上げられ飾りボタンという役目
             暗唱のボタンを押して旅費用
  先生が選ばれた3句 ○襟元のボタンはずして素の自分
                 勝負の日そっとボタンをつけ直す
                 父の絽がくるみボタンになりました。

兼題「悔やむ」 後悔をせぬよう朝の一万歩
 9月にはいると早々に歩き遍路で石鎚山横峰寺が建つ山に登ります。近年の夏といえば家でゴロゴロしていて暑さに耐える生活をしているので、すっかり身体がなまってしまいます。これまでの歩き遍路でも9月はとても苦しみます。今回は夏の間に身体がなまったと後悔しないよう、いつもより早く起きて江井ヶ島に住吉神社前から谷八木川まで1時間20分程かけて往復します。1万歩には数百歩たりませんが、生活の中で1万歩に届きます。

席題「隠す」 へそくりを挟んだ本が妻の手に
 席題は15分間位で作品を詠まなければなりません。こんなとき、ついついぼやき川柳の心が頭をもたげます。今日も私の生活にはありませんが、このように詠むとみんなの笑いを誘うのではないかとついついこの句を詠みました。ただ、本の整理をしていると時たま新札が挟まっていることがあります。折り曲げるのがもったいなくてついつい読んでいる本に挟み、すっかり忘れてしまうのです。妻の手に渡ればもどってくることはないでしょう。

2014年7月川柳教室
兼題「虫」 腹の虫泣くなこれでも男だぞ
 はじめに「腹の虫泣くなよ俺も高楊枝」と詠んだのです。腹が減ったときクウクウと鳴るのは男として格好が悪いことを詠みたいと思ったからです。それが最終的には「これでも男だぞ」と詠み変えました。

兼題「切る」 指切りではしゃいだ小指疼きだす(互選1点)
 若い頃、妻とよく旅行に「いつか行こう」などと軽々しく約束をしましたが、未だに果たしていない旅がたくさんあります。もう今となっては体力的に実行できない海外旅行などがその一つです。テレビで海外の旅行の番組を妻が見ていると心が痛みます。

 
私の選んだ3句  断ち切ったつもりの過去が夢に出る
             しつけ糸切って自立へ背を押す
           ○冷や奴切って二人の昼の膳

   先生の選ばれた3句  切り花を壺いっぱいに外は雨
                  真ん中に切り取り線のあるハート
                ○斜めから切ると笑顔が見えてくる


席題「湿る」 もの忘れ続き心も湿りがち
 最近もの忘れがますます激しくなってきました。体力の衰えと共に心を萎えさせる原因の一つです。この句を先生は「もの忘れ熱き心も湿りがち」と読まれました。後で考えるとその方がずっと良いなと思いました。もの忘れがすすむことによって積極的な情熱に水を差すという心を実に上手く詠んでいると思いました。私は単純に今の気持ちを詠んだのですが、さすがに先生は深さのある句にされるなと感心した今日の川柳教室でした。


2014年6月川柳教室(6月17日)
 今回は大西泰世明石川柳教室の午前の部と午後の部の合同研修会でした。
兼題「信じる」 標識を信じ分け入る遍路坂
 歩き遍路をしていると、山道に差しかかるとときどき「遍路道」と書かれた札が木の枝にぶら下げられています。これを信じて歩き進むと次の札所にたどり着くことが出来ます。しかし、深い山奥でしばらくこの標識が見あたらないと非常に不安になります。だからこの標識をたよりに歩を進めるのです。

兼題「雨」 空梅雨に新調の傘出番なく (互選0点)
 折りたたみ傘を買って20年程経ち、しかも防水ももう一つだったことから、昨年新しく少し高価な折りたたみ傘を買いました。ところが朝から雨が降っているときは大きな傘を差します。したがって折りたたみ傘は念のために持っていくということから古い傘を持って出かけます。今年も空梅雨で雨具の準備をして出かけることもなく、未だに新調の傘を差す機会がありません。
 
私の選んだ3句  雨の日は少し詩人にしてくれる
            ○雨上がり大きな虹に明日の夢
             軒下に願い叶わず頭たれ

  
先生が選ばれた3句  雨の日は少し詩人にしてくれる
                  梅雨最中八ミリ伸びた夫の髭
                ○決断を雨に問いつつ書く手紙


2014年5月川柳教室(5月20日)

兼題「晴れ」 五月晴れ水平線に会いに行く
 5月18日(日)は前日から晴れると聞いていたので、車で丹後半島の先端にある経ヶ岬灯台をめざしました。ひんやりした適当な風もあり、空気が澄んでいました。だから灯台から水平線上に滅多に見られないという能登半島を眺めることが出来ました。

兼題「戦う」 戦争を権利だというまか不思議(互選2点)
 集団的自衛権が今国会で最大の問題になっています。考えてみると戦争は相手国の人間の殺し合いで、数多くの人間を殺した方が戦勝国ということになります。原爆に象徴されるように、殺されるのは軍人以上に無抵抗の一般市民なのです。このような人殺しを権利などというのはおかしな話だと思います。戦争は権利ではなく手段で、戦争という手段はこの世からなくさなければならないと思います。
 
私が選んだ3句  歯医者での戦い終えてケーキ手に
            ○手加減を知らぬ畑の草と虫
             ほほえみの中の戦いかいま見え

  
先生が選ばれた3句  挑戦へ陰で支えるさくら草
                ○小言いう相手もなくて米をとぐ
                 戦いは自分の中の二人です


席題「木(樹)」 根尾村に植えた記念樹花遠く
 根尾村で薄墨の桜の植樹を募集した時、妻が結婚30年記念植樹に根尾村まで出かけていきました。その後桜がどれほど生長しているか何度か見に行きました。しかし、満開の花をつけたところはまだ見ていません。来年こそ満開の花をつけた記念樹を見に行きたいと思います。


2014年4月川柳教室(4月15日)
兼題「線」 罫線がなくて右へとゆがむ文(互選2点)
 はがきに手紙文を書く時、罫線がないので、右へ右へとゆがんでいきます。さらに文頭に比べ文末は文字が小さくなってきます。だから終わりの方では下の方に隙間が出来、その隙間に新たな行を付け加えることが出来るのです。板書でも同じようなことがよくありました。全体が見渡せないからでしょうね。
 
私が選んだ3句   よーいどん横一線に出たはずが
            ○躊躇した一線ヒョイと超えました
              有線の流れる里のご飯どき

  
先生が選ばれた3句  躊躇した一線ヒョイと超えました
                 直線と円ほどほどに生きやすく
                ○一線をひいた会話と桜もち


兼題「染まる」 白無垢の染まることなく我を通す
 現役時代は私を立ててくれ、結構気楽に日々過ごしていたし、仕事に邁進することが出来たように思います。しかし、退職後のサンデー毎日の人生になると、私が彼女に合わせ、妥協することが多くなりました。私の方が染まっているのでは……

席題「本(book)」 積ん読がほこりと共に資源ゴミ
 私の本箱には最初の何ページか読んで、積ん読になった現職時代の本や雑誌がたくさんありました。退職し、それら仕事に関わる本はすっかり邪魔になり、資源ゴミとして捨てられてしまいました。さすがに退職後は図書館を利用することもあって必要な本以外は買わなくなり、その数は年に数冊という現状です。そして買った本はしっかり読んでいますが、せっかく読んでも内容はあまり頭には残っていません。


2014年3月川柳教室(3月18日)
兼題「囲む」  ハーレムにほど遠い場で黒一点
 私の行くところで黒一点の場所が3カ所あります。一つは女性カラオケグループで、音響機器の操作をしています。女性といってもほとんど私より年長で、杖をついたり、車を押して地元の自治会館へ集まってこられます。老人クラブの男性カラオケグループに入った時、機械操作ができるのならと、当時の自治会長に頼まれ、久しく休止していた女性カラオケグループの復活に協力したので、当然の成り行きです。

 二つ目はグループいきいきネットです。元々男性は4人いたのですが、二人が亡くなり、ひとりは休部しているので例会はいつも男性は私ひとりです。もちろん全員65歳以上で、女性パワーに圧倒されて言いなりになっています。

 三つ目はいきいきふれあい交流会です。これはいきいき仕事塾を受講し、県のボランティアグループに登録している人たちです。グループいきいきネットもこのボランティアグループの一つで、メンバーは明石、神戸、阪神間各市にまたがっています。このボランティアグループのメンバーに昨年夏県から呼びかけがあり、応募した40人あまりと、県から指名された運営委員、そして県職員で構成されています。私は運営委員で参加したのですが、県職員も含めて私以外はすべて女性です。ここでも県職員を除けば参加しているメンバーは65歳以上と思われ、年長のメンバーも大勢おられると思います。これがこの句の背景です。

兼題「花」  花たちは下心なく咲きそろい(互選8点)
 トイレに相田みつをのトイレ用カレンダーがかけられています。その中に「花はただ咲いて、ただ散っていくからいい。ただになれない私」という言葉があります。この言葉が大好きで、心に残っていました。だから発想は私ではありませんが、花という兼題に対して自然にこの句がうまれました。

 
私が選んだ3句 ○梅の花そこまで春の風の色
             春の風花を衣に君に逢う
             桃の花手折りひとりのお白酒

  
先生が選ばれた3句  一本の真っ赤なバラの刺に酔う
                ○増税が何よ豪華に花を盛る
                 花柄のシャツですたすた老いの坂


席題「雑詠」  空き缶を蹴って心の鬼鎮め
 いきいきふれあい交流会で「空」という兼題を自分で設定し、詠んだ句です。自分では気に入っていたので一度先生に見ていただこうと思っていました。たまたま今日の席題が雑詠だったので、提出してみました。最後の3句には入りませんでしたが、終わりの方に読み上げていただき、それなりの評価をしていただいたのでよかったと思っています。

 雑詠はお題がないので何を詠めばよいかみんな困っていましたが、先生が自分なりに今の季節や興味のあることをお題にすればよいといわれ、なるほどと納得しました。


2014年2月川柳教室(2月18日)
兼題「届く」 十円玉拾い届けた幼児撫で
 家の前は交番です。ときどき子供が取得物を届けに来ます。幼稚園児が母親に連れられて交番へやって来ました。幼稚園からの帰り道で十円玉を拾ったので交番に届けに来たのです。親の教育観が立派だから出来ることなのでしょう。対応したお巡りさんにとっては面倒な事務処理かもしれません。
 それでもここで対応を間違えると、せっかくの母親の気持ちを台無しにしてしまいます。見ているとお巡りさんも立派で、幼稚園児の頭を撫でながらほめていました。この子供はきっと正直な人間に育つことでしょう。見ていてこちらも嬉しくなりました。

兼題「梅」 梅の香に誘われてまた寄り道し(互選0点)
 福崎の街を散策している時、十字路で直進しようとしていて、左の方の道沿いの家に蝋梅が咲いているのが見えました。蝋梅の香りを嗅いでみたくなり、その家の方へ行き、しばらく香りを楽しみました。このようにあちらこちらで寄り道をするのでなかなか目的地へはたどり着けませんでした。それでも知らない街で自由に散策するのは新しい発見が多くとても楽しみです。
 私の選んだ3句  梅の香がやさしく朝の戸を叩く
             梅林を包んだ空の香り吸う
            ○蝋梅の向こうにチラリ亡夫の顔

  
先生が選ばれた3句 ○青梅の固さを私だと思う
                  老梅に背なを押されて動き出す
                  梅干しのつぼをかかへて母は待つ


席題「裏」 騙されたふりして裏をかいてやる
 最近振り込め詐欺がまた増えています。わが家にかかってきたら適当な名前を使ってだまされたふりをし、相手を突き止められるような情報を得て警察に通報してやろうと思っています。こちらが待ちかまえているとそのような電話はかかってこないものですね。


2014年1月川柳教室(1月21日)
兼題「馬」(午)」  馬刺し食べ五輪めざして駆けようか(互選0点)
 「牛肉を食っていたらいつまでも速く走れないだろう。馬刺しを食べればきっと競馬馬のように疾走できるのではないか」などと勝手な想像をしていたら、こんな句が頭に浮かびました。このほかに全く句が思い浮かばず、不本意ながら投句した結果です。
 
私が選んだ3句  午年もやはり牛歩のマイペース
            ○馬が合う友三人で事始め
             年賀状さまざまな馬飛び跳ねて

  
先生が選ばれた3句  じゃじゃ馬と言われた昔若かった
                ○ろばのパン買いに走った村の道
                 青馬がロックンロール踊り出す


兼題「走る」 もういいかおててつないでゴールイン
 現職時代、知的障害児学校の運動会で小学部低学年の子供たちが友達と手をつないでゴールインしていたのをよく見かけました。それどころか、友達が転ぶとその場で起きあがるのを待っていたのです。競走の意味がよくわからず、いつも手をつないで歩く習慣そのままの姿でした。しかし争いを知らないその純粋な姿はとても印象的でした。
 まもなく喜寿を迎える今、改めて競走する意味のない人生において、彼らのような生き方こそがこれからの理想ではないと思ってこのように詠みました。

 席題「泡」 不安増すアベノミクスの泡立て器
 はじめに「バブルかなアベノミクスの好景気」と詠みました。私の気持ちの中で、株価がどんどん上昇し、自動車産業などが円安で史上最高益だと浮かれ、景気が回復しているように見える現状はバブルのように見えてなりません。ばらまき政策で国の借金が1000兆円を超えた上に支えられている経済はいつバブルのようにはじけるかわかりません。もしはじけてしまえば、前回のバブル崩壊の比ではない気がして不安になります。ばらまき政策こそが泡立て器だと思えるのです。


013年12月川柳教室(12月17日)
兼題「餅」 石臼も金魚鉢へと役目代え
 結婚した当時はせいろで餅米を蒸し、石臼で餅をついていました。結婚するまで杵で餅つきなどしたこともなく、一臼を最後まで搗くことは出来ませんでした。近所の人たちにも手伝ってもらって、何とか五臼ほど搗いていました。母が餅つき器を買ってきてくれたお陰で、年末は楽になりました。その後、石臼も職場の餅つき大会に2〜3度役立っただけで、子供が小さい頃は夜店ですくった金魚の住処になっていました。最近ではその役目も終え、夏の水やりのために水をためる入れ物になっています。野生の鳥が水飲み場にしていることもあります。もう二度と餅つきに使うことはなさそうです。

兼題「買う」 半額に今夜のメニュー変えられる(互選15点)
 家を出る時にはおでんやカレーなど、夜のメニューの希望を伝えて買い物に出ますが、豆腐の半額のラベルを目にすると、その時点で夜のメニューは湯豆腐に変わってしまいます。私の希望ははかなく変更されてしまうのです。年金生活では希望を押し通すことは出来ません。
 
私の選んだ3句  プレゼント買ってそおっと枕もと
             万華鏡買ってこの世の夢を見る
            ○断捨離で買わぬ持たぬと誓ったが

  
先生が選ばれた3句  買いすぎに学習せよと冷蔵庫
                ○ニコニコと笑うパンジー買ってくる
                 平凡を買いに走った年の暮


席題「響く」  音痴でもエコーたよりにマイク持つ
 私は自身それほど音痴だとは思っていませんが、歌詞や音程を間違えたりすることが度々あります。そんなときエコーで間違いをごまかしています。老人クラブのカラオケではエコーを最大限に調節して、みんなの間違いもごまかすようにしています。


2013年11月川柳教室(11月19日)
兼題「干す(乾す)」 いい夢を見たくて布団干しておき
 布団を干すと、眠る時にお日様の香りがします。この香りが大好きで、ふわふわ布団で寝ると、とってもいい夢を見ることが出来そうに思います。特に冬場はお天気さえ良ければ日に干したいと思います。
兼題「声」 就活の笑顔をのせた声届き(互選2点)
 大学院に通う孫から就職先が決まったという電話が届きました。その声は晴れやかで、嬉しそうでした。きっと笑顔満面で電話をかけてきたのだと思います。これから大いに頑張って活躍してくれることと思います。
 
私の選んだ3句  息凝らし一声を待つカルタ会
             声出さず一日終えて丸い月
            ○さえずりにふと青空へ飛んでみる

  
先生が選ばれた3句   笑い声聞こえるような冬野菜
                ○この声もまるごと私紅葉狩り
                 声たてて笑える妻といる暮らし

席題「足」 足早に秋去り合いの服無駄に
 今年は暑い暑いといっていたら、いつの間にか冬服を着なければならなくなりました。秋にはこの合い服を着ようと準備していたのに、全く袖も通さずに洋服ダンスに戻っていきました。私は新調はしませんでしたが、女性は流行の合い服を準備していただろう思うと、残念以上の気持になったことでしょう。


2013年10月川柳教室(10月16日)
兼題「葉」 落ち葉焚く煙に芋の香をのせて
 最近では落ち葉焚きなど出来ません。かつては職場や庭の落ち葉をよく焚きました。その中にそっとサツマイモを入れて楽しんだものです。芋が焼けてくるといい香りが漂い、子供たちは大喜びしていました。
兼題「眺める」 先人と同じ眺めか遍路道(互選8点)
 汗をかきかき遍路道の峠を登り切ると、きれいな景色が目に飛び込んできます。同じ景色を昔のお遍路たちも眺めながら一休みしたのかと思いながら、私達も感慨深く腰を下ろして景色に眺め入ったものです。歩き遍路を終えてもう5年が経とうとしています。
 
私が選んだ3句 ○遠くから眺めるだけで善しとする
              秋の空見上げていれば天国へ
              地平線夕日眺めて物思い

  
先生が選ばれた3句  満月を眺めてひとりサンマ焼く
                 五年先眺めるメガネ買いに行く
                ○つくづくと鏡の自分眺める日

席題「折る」 年齢(とし)問われ指折り曲げて答えおり
 高齢になると年齢を問われて、指を折りながら自分やまわりの人の年齢を計算している場面をよく見かけます。先生は幼児が年を聞かれて答える場面を想像され、「いくつかな問われ指折り答えおり」と詠んだ方がいいと話されました。確かにその方がかわいい句になるなと感心しながら聞きました。


2013年9月川柳教室(9月18日)
兼題「川」 帰省した娘(こ)と川の字で夜明けまで
 8月末に娘が帰省すると言ってきました。赤ん坊の頃を思い出し、このような光景を想像して詠みました。現実は、彼女は別室で眠ったので、夜明けまで話をすることはありませんでした。しかし、子供が訪れてくれることはいつも嬉しく思います。
兼題「焦る」 バスが来る焦る心に背く足(互選0点)
 私が乗るバスといえばたこバス(コミュニティバス)なので、少し離れていても手を振って合図をすると停留所で待っていてくれます。しかし電車に乗る時にホームに上がる階段を上っている途中で、電車がホームに入ってくる音がすると、急いで階段を上がろうとするのですが、昔のように1段とばしで駆け上がることは出来ません。そうなんです。焦る心に足が背くのです。上五が「電車来る」より、バスが停留所に近づいている時の方が景色が浮かぶと思って「バスが来る」と詠みました。
 
私の選んだ3句 ○焦る妻焦らぬ夫と五十年
              焦らずに年相応の夢を持つ
              ATM後ろに長い列ができ

  
先生が選ばれた三句 ○まな板の音が焦りを慰める
                  ATM後ろに長い列ができ
                  焦ること何にもなくてたそがれる

席題「知る」 陰口を知らぬ振りして身をかわす
 自分が出過ぎたと思った時には、きっと陰口をたたかれているだろうと思います。あるいは他の人からそれとなく聞こえてくることもあります。しかし、最近の私はそのような時に腹を立てたり、そのことで自分を殺してしまうことはないようです。それでも、聞こえないふりをしながら、次回には多少の配慮をしているように思います。


2013年8月川柳教室(8月20日)
兼題「壁」 助けられ気づかぬうちに壁を越え
 私に人生はたくさんの壁に遮られたことがあったと思います。しかし悩むこともなく、いろいろな人々に助けられて悩んだり落ち込んだりすることがなかったように思います。

 例えば、高校卒業式の日は母親が危篤状態でした。そして、大学入試の三日前になくなり、二日前に葬儀、前日骨拾いに行った後、入試会場の下見に行きました。涙も出ないまま受験し、夢中で過ごす中、従兄が発表を見に行ってくれ、合格を電話で知らせてくれました。

 大学を卒業する時には就職が決まっていませんでした。採用試験に不合格という壁にぶつかっていたはずなのに、卒業後大学の教育心理学主任教授から研究室で助手として勤めないかという誘いを受けました。心理学の専攻ではありませんでしたが、たまたまその教授の演習を受講したこと、卒論発表会の謝恩会で司会を務めたことで能力以上の印象を持たれていたようです。

 その後も新しい職場に異動するたびに助けられることが多く、後から思えば私にとって大きな壁だったろうなと思うことが多数ありますが、そのときはほとんど意識することはなく超えてきたように思います。

兼題「眠る」 ふるさとの自然の風によく眠り(互選18点)
 私は夕方になると扇風機を窓際に置いて、庭の風を取り込みます。ゴーヤの緑のカーテンの向こう側は植木や花々が植えられています。義父が1反の田んぼを半分売って残りの田んぼにこの家を建てたお陰で、郊外の町に140坪ほど敷地があるので余裕があります。近所の家も同じような広さがあり、エアコンの熱が吹き込んでくることもありません。しかも海の近くなので、暑い夏も海風が吹いています。だから私が床につく12時頃には部屋の温度はすっかり涼しくなっています。自然の風に吹かれて眠ると熟睡できます。

 たまに旅行に出かけるとエアコンがかかっています。部屋は涼しいのですが、一晩中モーター音が聞こえていて目が覚めます。だから普段から自然の風に吹かれて眠る幸せを詠んでみました。

 
私が選んだ3句  眠る子の形に合わせ母は抱く
            ○みどり子の眠る笑顔の万華鏡
             何もかも一人で背負い眠りつく

  
先生が選ばれた3句  神様に心あずけてよく眠り
                ○ひと眠りしましょう秋はすぐそこに
                 眠り入る子に家中の音消して


兼題「眠る」 テレビつけウツラウツラとボケの道
 投句しなかったのですが、お盆の間は特に予定もなく、昼間暑さ厳しい中でテレビを見ているとついウツラウツラとしてしまいました。これは痴呆へまっしぐらに進む怠惰な生活の典型だと思い詠みました。

席題「浴びる」 昼寝してひと風呂浴びてビール飲む
 この酷暑を過ごすために、昼間は昼寝や読書で過ごし、夕方になると菜園や花々の水やりをします。汗びっしょりになるので直ぐに風呂に入り汗を流します。このときに冷たいビールは最高です。「幸せはひと風呂浴びて飲むビール」と詠みましたが、この句はどこかで聞いたことがあるように思え詠み改めました。


2013年7月川柳教室(7月17日)
兼題「箱」 空き箱がいつかいつかで山積みに(互選2点)
 いろいろな空き箱や紙袋が2階の一角にたくさんたまっています。いつか使うだろうと思って残しておいたものです。紙袋はそれほどかさばりませんが、お菓子の空き箱などは山積みになっています。そしていつまで経っても使うこともありません。昔は荷物のひもも大切に残して再利用していましたが、その習慣が未だに抜けきれないようです。それでも最近では、新しい箱は壊して資源ゴミになっていますが、昔にとっておいたものは未だにそのままになっています。
 
私の選んだ3句 ○箱あける父の手元を子等みつめ
             靴箱の中でも踊る小さい靴
             箱膳に子も正座した昭和の世

  
先生が選ばれた3句  箱あける父の手元を子等みつめ
               ○靴箱の中でも踊る小さい靴
                 箱膳に子も正座した昭和の世

兼題「考える」 記憶力以上に寒い思考力
 高齢者放送大学の講師を今年3月に辞してからは、じっくり物事を考えることが少なくなりました。そして物忘れがますます激しくなり、妻は私がボケないかと心配しています。娘は妻の心配をくみ取って早速DHAのサプリメントを送ってきてくれました。前頭葉に刺激を与える活動を心がけねばなりません。

席題「気」 気にかかる満月の夜のあの言葉
 大学に勤務していた頃、女子学生と満月の夜道を駅に向かっていました。彼女は「月がきれいね」といいました。純情だった私は後に知ったのですが、この言葉は女性の気持ちを表す言葉だったのですね。しかし、彼女は私に対して友達としてはいい人だけれど、それ以上ではないともいっていました。彼女は今はもうこの世にはいませんが、私が見合いをして結婚を決めたことを知り、背中を思い切りぶん殴られたこととあわせて、何とも気になる言葉です。


2013年6月川柳教室(6月18日)
兼題「雨」 ブランドの傘に容赦のない風雨
 先日折りたたみ傘をデパートで買いました。今まで自分で買った傘は高くて2500円、安いのは350円くらいの物でした。量販店で2500円で買った折りたたみ傘がいよいよ雨漏りするようになり、思い切って買うことにしたのです。ブランド品ではありませんが、結構な値段がしました。
 台風が近づいているニュースに、そんな日にはさしたくないなと思う気持ちからこの句が生まれました。そんな訳で、今日も古い傘を鞄に入れて出かけました。
兼題「望む」 くじを買い今さら何を望むのか(互選2点)
 宝くじ売り場で「1等当選が出ました」などと書かれているのを見ると、私も買ってみようかとつい思います。現に数年前までは買っていました。しかし、後期高齢になって1億円が当たってどうするのだと考えると、使い道もありません。この期に及んで何を望むのかと思い、そのような馬鹿げたことにお金を使うこともないという気持が、買う意欲をなくさせます。
 最初に思いついた句は「くじを買う?この期に及んで何望む」という自問自答でした。
 
私の選んだ3句  丈に合う望みを持って楽になる
            ○終わりまで望みに添って包み込む
             高望みし過ぎて苦労背負う羽目

  
先生が選ばれた3句 ○キリのない望み並べてかき氷
                  丈に合う望みを持って楽になる
                  これ以上望むことなし孫の笑み

席題「缶」 缶詰がひとつ置かれて妻は旅
 妻は今仲間と旅に出かけています。以前は、たった一泊の旅でもその間の4食の私の食事は冷蔵庫に作って入れられていました。しかし、今では「冷蔵庫に入っている物で、適当に食べておいて」と言って出かけていきます。私もそういわれる方が気楽に過ごせます。そんな様子をちょっとユーモアに詠んでみたのです。席題はその場で20分ほどの間に詠むので、それでなくても能力も実力もない私にとっては意味深い句は詠めません。


2013年5月川柳教室(5月21日)
兼題「樹(木)」 花よりも新緑がいい輝いて
 桜を初めとして、樹に花が咲いたときには注目されるが、花が終わるとさして関心を示されないことが多い。しかし、新緑の頃は花が咲く木も咲かない木も新緑の頃は葉が輝いて本当に美しい。先日、山陰一といわれる但馬の大町藤公園へ行ったときの道中にその思いを強く感じました。

兼題「行く」 行く末も見えて流れのままに生き (互選12点)
 退職してからも四国歩き遍路など、新たな生き方に積極的に挑戦してきました。3月末にも高野山から1000m級の山を三つも超えて熊野本宮までの小辺路を踏破するツアーに参加するべく、費用も払い込んでいました。ところが、直前にインフルエンザに罹患し、1週間寝込み免疫力が衰えてきていることを自覚させられた上、4月には、胃ガンの手術で1週間入院しました。いよいよ高齢者の病気にも罹患することになったのです。この間、手帳が真っ黒になるほど書かれていた予定をすべてキャンセルし、多くの方々に迷惑をかけました。これからの私の人生の行く末もおよそ見えてきたように思い、これからは流れに逆らうことなく、また背伸びすることもなく、ありのままに日々を精一杯生きていこうと思いました。

 私が選んだ3句  行動の巾もせばまり老いを知る
            ○夫と行く犬一匹が間を保ち
             行けるかなヒマと金より足と腰

  
先生が選ばれた3句  ミルクティ飲んでゆっくり老いて行く
                ○夫と行く犬一匹が間を保ち
                 行きついた時に本音と出会うかも

席題「先」 先人の足跡たどる旅に出る
 近々、山寺など東北地方へ旅行に出かけます。まだ行っていないので、そのときの心境は想像できず、このような句になってしまいました。自分でも駄作だと思いながら、20分ほどの間に詠む席題は心を読み込むことは至難の業で、これ以上は思いつきませんでした。す。


2013年4月川柳教室(4月16日)
兼題「便り」 そよ風さん幸せですかあの人は
 初恋の人が風の便りに結婚をして横浜に住んでいるという話を昔聞いたことがあります。
そこでそよ風が吹いたときにあの人は幸せな人生を送っておるのでしょうかと尋ねてみたくなりました。
兼題「許す」 許されぬ恋の思い出老いの糧
 男性がカラオケで必ず歌いたがるのが「さざんかの宿」です。「尽くしても尽くしても ああ 人の妻…」
 若いときにこのような経験がある人は年老いたとき、自分の人生にもこんな良い時期があったのだと思い出に浸っているのかもしれません。「おまえにもそんな経験があったのか?」 想像にお任せします。

 欠席をしたので投句のみです。

2013年3月川柳教室(3月19日)
兼題「虫」 腹の虫おさまりかねて栓を抜き
兼題「透ける」 透明な声うしなって妻老いる
 欠席により投句のみ


2013年2月川柳教室(2月19日)
兼題「息」 息ひそめ妻の怒りの終わり待つ(互選 7点)
 
私が選んだ3句    窓ガラス息吹きかけてスキと書く
            ○揺れ動く心が見える息づかい
              安らかな寝息聞きつつ手紙書く

  
先生が選ばれた3句  ひとまずは今日一日の息をする
                 義理チョコも春の息吹の音がする
                ○いい人をやめて一息間を入れる

兼題「這う」 金太郎四つ這いの背で得意顔
席題「雪」 雪山に心おどらせ旅支度


2013年1月川柳教室(1月16日)
兼題「前」 前向きに生きてきたから見える明日
兼題「伸びる」 背を伸ばし腰をたたいてよっこらしょ(互選 1点)
 
私が選んだ3句 ○手のひらで父は稲穂の伸びを愛で
             松の内過ぎて一息伸びをする
             伸びをする猫にさそわれ大あくび

  
先生が選ばれた3句  アイロンで心のしわもピンと伸び
                ○松の内過ぎて一息伸びをする
                 伸びをする猫にさそわれ大あくび

席題「困る」 困りはて空を仰いで深呼吸


2012年12月川柳教室(12月18日)……欠席:投句のみ
兼題「冬」 熱燗をお節で飲む日待ち遠し
兼題「回る」 ドイツ語の下回らずに第九終え(互選 2点)


2012年11月川柳教室(11月20日)
兼題「音」 音もなくすり寄ってきて喉鳴らす(互選1点)
 
私が選んだ3句  鍵の音小言は明日にやっと寝る
            ○かさかさと落ち葉集める風忙し
             ひとり住み一人の音を聞く夜更け

  
先生が選ばれた3句  この音色澄んだ空から来るらしい
                ○ラの音がずれてさみしい秋日和
                 ひとり住み一人の音を聞く夜ふけ

兼題「ちょっと」 ちょっと芽をのぞかせ小春日を浴びる
席題「昔」 赤くなり恋した昔なつかしく


2012年10月川柳教室(10月16日)
兼題「笑う」 苦虫が鏡に向かい笑いヨガ
兼題「手」 三兄弟四角い顔でそろい踏み(互選 4点)
 
私の選んだ3句  夫も子も四角四面の遺伝継ぐ
            ○模様替えたんすの後の青畳
             縦走のあとは湿布が大いばり

  先生が選ばれた3句   画用紙をはみ出す母の顔笑い
                ○薄化粧四角い空を開け放す
                  恋すれば四角い心丸くなる
席題「突く」 鐘を突き疲れをいやす遍路道

2012年9月川柳教室(9月12日)
兼題「合う」 今日一日無事でしたよと手を合わす
兼題「手」  猫の手も借りることなく老い二人(互選 4点)
 
私が選んだ3句   朝焼けの浄土の様に手を合わせ
            ○洗濯を干す手のぞきに赤トンボ
              老母の手に語らぬ過去が滲み出て

  
先生が選ばれた3句  ○日焼けした手がいとおしく虫の声
                   洗濯を干す手のぞきに赤トンボ
                   老母の手に語らぬ過
去が滲み出て
席題「止める」 こだわりもぐちも止めたら日本晴れ

2012年8月川柳教室(8月21日)
兼題「靴」 靴音に犬がしっぽで反応し
兼題「行く」 体調を崩し病院行き休む(互選1点)
 
私の選んだ3句   行き帰りそれぞれの風胸に入れ
            ○夏風に行き先問えば路地の鈴
              地で行けばなんと気楽な余生なり

  先生が選ばれた3句   行く先の心配よりも今の幸
                ○行く先が見えぬ不安でシャワー浴び
                  地で行けばなんと気楽な余生なり

席題「氷」 かき氷食べに行くにも暑すぎて


2012年7月川柳教室(7月31日)
兼題「好き」 好物を目の前にして腹薬
兼題「何」 ピカソ展孫の感想何円(いくら)かな(互選0点)
 
私の選んだ3句  何事も忘れて昼寝この猛暑
             はっきりと死を語る友如何せん
            ○何もない部屋に夕日が遊び入り

  
先生が選ばれた3句  何事も距離をおこうか空仰ぐ
                ○父の日に何が好きかと父に聞く
                 何事も無くて髪でも切ってみる

席題「雫」 蛇口から歌奏でつつ雫落ち


2012年6月川柳教室(台風のため7月25日実施)
兼題「塩」 塩コショウ効かせビールの友にする (互選1点)
 
私が選んだ3句  ちょっとだけ塩を利かせている余生
              スプーンなど不要な母のつまみ塩
             ○減塩し夫婦だんだん丸くなり

  
先生が選ばれた3句  塩少し入れて甘味の増す夫婦
                ○ちょっとだけ塩を利かせている余生
                 塩味をちょっと効かせて注意する

兼題「さわやか」 新卒が靴音高くご出勤
席題「集める」 雲集め真っ赤な夕日かくれんぼ


2012年度大西泰世合同勉強会
本田智彦選兼題「遊ぶ」 おままごと孫が母ちゃんジジ子ども
                遊ぶなどとんでもないと若い頃
大西泰世選兼題「ガラス」 窓ガラスひび割れ飾る和紙の花
                 喜寿ま近ガラスに映る祖父の顔
本田智彦・大西泰世共選兼題「あやしい」
                謎めいた電話に心惑わされ(本田・大西入選)
                女房の今日の笑顔の意味探る(大西入選)
席題「紙」 拍子木が黄金バット連れて来た(互選4点)
 
私の選んだ3句 紙よりもうすい情に泣かされて
            わたくしの本音が踊る置き手紙
            西日受け障子のシミが絵になって

 
本田先生が選ばれた3句 紙屑を握りつぶして立ち上がる
                  千枚の紙に書きたいお母さん
                  今一度確かめ入れるシュレッダー
 大西先生が選ばれた3句 紙屑を握りつぶして立ち上がる
                  音もなく紙風船はしぼみおり
                  千枚の紙に書きたいお母さん



2012年5月川柳教室
兼題「優しい」 優しさをしわに滲ませ逝った義母
兼題「欲」 欲ボケがたがいに絡む老い二人 (互選3点)
 
私が選んだ3句 ○ふつふつとわき出る欲に生を知る
              欲望があるから此の世がんばれる
              バイキング皿に残った欲のあと

  
先生が選ばれた3句  煩悩をちょっぴり残し元気です
                 欲少しかけて命をふくらます
                ○欲捨てて仰ぐ三日月冴え渡り

席題「自由」 定年後期待したほど自由なく


2012年4月川柳教室
兼題「受ける」 受けて立つ気概も失せてただ笑顔(互選3点)
 
私が選んだ3句   受け継いだ父母の心を子におくる
            ○皆笑顔こぼれ桜を手に受けて
             ほめ言葉受けてはずんだ春の風

  
先生が選ばれた3句   受け継いだ父母の心を子におくる
                  皆笑顔こぼれ桜を手に受けて
                ○真に受けたばかりに痛い恋の傷

兼題「歌・唄」 なつメロが幅利かせますオヤジ会
席題「軸」 軸受けの脂切れかなきしむ骨


2012年3月川柳教室
兼題「机」 梅一枝机上に活けて子規を読む(互選1点)
 
私が選んだ3句   ちらかして机の下で宿題し 
            ○子を思い机の傷にそっと聞く
             詰め込んだ机の奥の忘れ物

  
先生が選ばれた3句    巣立つ子の机そのままそっと置く
                  傷跡も生きたしるしと机ふく
                ○子を思い机の傷にそっと聞く

兼題「祝う」 金婚にかこつけ三度旅に出る
席題「開く」 運命を開く一歩が踏み出せず


2012年2月川柳教室
兼題「楽しい」 楽しみが過ぎて心にすきま風 (互選3点)
 
私が選んだ3句  また一つ明日の楽しみ抱いて寝る
            ○楽しげに笑う二人に追い越され
             枕もと楽しい夢をみるリュック

  
先生が選ばれた3句  楽しげに笑う二人に追い越され
                ○あさっての約束楽し鍋みがく
                 さくら餅我が家に春を連れてくる

兼題「ペン」 キーを押す手にペンだこの跡微か
席題「含む」 乳含む眼(まなこ)の先に母の笑み


2012年1月川柳教室
兼題「落とす」 体重を落としそこねたお正月
兼題「道」 何一つ道きわめずにのほほんと(互選3点)
 
私の選んだ3句   焦らずにゆとり楽しむ老いの道
            ○誰ひとり通らぬ道に雪の音
              まわり道野原で蝶と羽根休め

  
先生が選ばれた3句 ○ちょっとだけ道をはずした人が好き
                  誰ひとり通らぬ道に雪の音
                  母の道今辿り着き母思い

席題「記憶」 同窓会会わねば今も美女なのに


2011年12月川柳教室
兼題「辿る」 プライドを捨てて自由に辿りつく(互選24点)
 
私が選んだ3句  天国のあなたへ辿る夢梯子
            ○昨日今日辿る記憶の頼り無さ
             想い出を辿れば恥もあちこちに

  
先生が選ばれた3句 ○プライドを捨てて自由に辿りつく
                  アルバムの声たどりつつ日向ぼこ
                  うねうねと七合目まで辿りつき

兼題「箸」 迷い箸することはなし妻は留守
席題「雲」 日なたぼこ雲のお菓子を食べながら


2011年11月川柳教室
兼題「芯」 蝉しぐれ今日も頭の芯で聞く(互選3点)
 
私が選んだ3句   ほほ笑みに芯の強さを秘めた女
            ○やさしさが胸の芯までしみる老い
              握手にも互いにゆずれぬ芯残し

  
先生が選ばれた3句  とんがった芯を鎮めて夜が更ける
                ○揺れている風見鶏にも芯はある
                 蝉しぐれ今日も頭の芯で聞く

兼題「掛ける」 掛け時計跡にねじ巻く亡父浮かぶ
席題「外す」 外された梯子が悔し月滲む


2011年10月川柳教室
兼題「動く」 ヨッコラショ言わねば次へ動けない
兼題「声」 講演の声もいつしか子守唄 (互選3点)
 
私が選んだ3句 ○挨拶に声まで弾んで秋の空
              秋祭りみこしと共にはしゃぐ声
              場に応じ見事に変わる妻の声

  
先生が選ばれた3句  コオロギの声といっしょに栗をむく
                ○場に応じ見事に変わる妻の声
                 母の声聞こえた様な墓まいり

席題「線」 罫線に収まらぬほど怒る文


2011年9月川柳教室
兼題「降る」 夕立が傘の二人を寡黙にし
兼題「渦」 渦巻に今日も守られ草むしり(互選3点)
 
私の選んだ3句   妻の渦そろりそろりと遠ざかる
            ○街の渦抜けて田舎の彼岸花
              渦まいて一歩が出ない胸の内

  
先生が選ばれた3句    妻の渦そろりそろりと遠ざかる
                ○緩急の渦に巻かれて日々暮らす
                  逆縁に涙の渦はとめどなく

席題「知る」 知らないと言いつつ顔がこわばって


2011年8月川柳教室
兼題「頭」 会釈してみたがいったい誰だっけ
兼題「泳ぐ」見つめられ我慢しきれず目が泳ぎ(互選1点)
 
私が選んだ3句  高波も笑顔で泳ぐ母の夏
             これからは流れのままに身を委ね
            ○身の丈に合った暮らしで泳ぎ切る

  
先生が選ばれた3句  高波も笑顔で泳ぐ母の夏
                ○清流を泳ぐメダカに憧れて
                 身の丈にあった暮らしで泳ぎ切る

席題「踏む」 踏み込んだ議論ないまま退陣へ

2011年7月川柳教室
兼題「羽根」 福沢さん羽根を生やさずじっと居て(互選0点)
 
私が選んだ3句   羽根飾りサンバのリズム呼び起こす
            ○病む義母は羽を伸ばせと口ごもる
              羽ばたきたい勇気の一歩老いが止め

  
先生が選ばれた3句 ○畳まれた羽を広げて土用干
                  気兼ねない友と一日羽根のばし
                  眠れずに闇から響く羽音聞く

兼題「投げる」 かわらけが指輪を連れて谷底へ
席題「移す」  山野草苔も大事に移植する


2011年6月川柳教室
兼題「嘘」 五十年愛していると言い続け
兼題「試す」 うっかりと味見したのが運のつき(互選2点)
 
私が選んだ3句  優しさで隠した本音試される
            ○恥捨てて試してみると道が開け
             試される日本の技の見せどころ

  
先生が選ばれた3句 ○六十路過ぎ幸のものさし試される
                  嵐来たきっと私は試される
                  試されたことにしておくラブレター

席題「滲む」 ひざの傷ズボンに滲む血が知らせ


2011年5月川柳教室
兼題「顔」 赤ん坊顔が父子(おやこ)と主張する(互選15点=地)
 
渡すが選んだ3句  老いの顔知らず知らずに仕上がって
             ○独居の母の笑顔に助けられ
               古希の夫まだ少年が顔を出し

  
先生が選ばれた3句  昨日今日同じ顔して歯を磨く
                 古希の夫まだ少年が顔を出し
               ○素顔(すっぴん)の顔見られた後箍(たが)外れ

兼題「飾る」 花飾りつけておすましれんげ畑
席題「練る」 練り上げた策2ヶ月で水泡に
         今一度汚染を防ぐ策を練る
  

2011年4月川柳教室
 今月からは兼題や席題に対して考えた川柳を全て掲載します。(提出句は太字
兼題「叶う」 長年の夢を叶える旅支度
         この歳で叶わぬ夢を追い続け
         1円で願い叶えと手を合わす
兼題「花」  花も実もない人生を良しとする
        妻に花持たせてここは安泰に
        ふる里の桜が呼んだ同窓会(互選10点=地)
 
私の選んだ3句 ○廃校の空を桜の色に染め 
             新天地求めタンポポ風に乗り
             花飾りあぜ道つなぐ子らの列

  
先生が選ばれた3句   被災地にタンポポぐっと顔を上げ
                ○廃校の空を桜の色に染め
                 画用紙にいっぱい咲いたチュウリップ

席題「帰る」 帰れとも言えず番茶を注ぎ足す
        帰りたいだろうな海に眠る君


2011年3月川柳教室
兼題「雫」 徳利を振って雫を注ぎ込む(互選 2点)
 
私の選んだ3句  退職の頬を伝ったひとしずく
            ○耳寄せて水琴窟のひと雫
             混むバスに傘の雫が気にかかり

  
先生が選ばれた3句  プール出る子らには青い雫垂れ
                ○春うらら花の雫をふところに
                 独り居の時には雫こぼれ落つ

兼題「言う」 言ったとき理性の君が留守でした
席題「間」 老い二人になって二間でことが足り


2011年2月川柳教室
兼題「さがす」 生きがいを探し遍路の旅に出る(互選6点)
 
私が選んだ3句  粗探しやめて二人の老いを生く
             探し物フッと忘れて立ち止まり
            ○お財布の小銭さがして願いごと

  
先生が選ばれた3句  白か黒さがし椿の赤みつけ
                 お財布の小銭さがして願いごと
                ○かくれんぼ鬼が探しに来ぬ不安

兼題「涙」 涙ため見つめる雲は阿弥陀さま
席題「慣れる」 聞き慣れたいびき今では子守歌



2011年1月川柳教室
兼題「僕」 僕ちゃんの夢どこへやら悟る年齢(とし)
兼題「決める」 決め事に創造力を奪われて(互選0点)
 私の選んだ3句  決心がついた時には旬が過ぎ
            ○一段と手抜きを決めた寒の入り
             好き嫌いお花遊びで決めた恋

  
先生が選ばれた3句 ○後戻りしないと決めて梅ひらく
                  決意したように真直ぐにのびる竹
                  向かい風決めた心がまた揺らぐ

席題「走る」 かけっこで仲良くなったびり同士


2010年12月川柳教室
兼題「税」 増税を決めて節税立ち消えに(互選0点)
 
私が選んだ3句    税収も決めてないのに撒く手当
            ○非課税で身軽に生きる老いひとり
              あれこれと増税あてにマニフェスト

  
先生が選ばれた3句    税率やおネギとダイヤ同じとは
                ○缶ビール中に澱んだ税を飲む
                  非課税で身軽に生きる老いひとり

兼題「燃える」 燃え尽きて枯淡の日々を慈しむ
席題「拭く」 窓ガラス新聞揉んで拭いたっけ


2010年11月川柳教室
兼題「祭」 法被着て金魚をすくう手に惚れて(互選3点)
 私が選んだ3句  故郷へ旅人となる秋祭り
             祭酒染み込む居間に母ひとり
            ○耳奥に祭り囃子が二日居り
兼題「食べる」 ああ美味(うま)い針が大きく振れる秋
席題「運ぶ」 重い家具もう運ばない大掃除


2010年10月川柳教室
兼題「旅」 日帰りの旅で満足する歳に
兼題「冷める」 湯冷ましに焼酎チョットこれがいい(互選3点)
 
私が選んだ3句   この話いち夜寝てから言うことに
            ○老い夫婦(ふたり)冷めた心も気遣いで
              冷めた仲されどあうんの距離保つ

  
先生が選ばれた3句   朝寝して冷めた味噌汁すみわたる
                ○ふうふうとうどんを吹いて決意する
                  その笑顔冷めた心をそっと抱く

席題「模様」 マンネリを断ち切りたくて模様替え


2010年9月川柳教室
兼題「風」 風向きがかわり白羽がこちら向く (互選3点)
 
私は選んだ3句  そよ風に嘆いた夏もつい忘れ
            ○窓越しの風にゆられて子守唄
             さんま焼く煙を乗せて秋の風

  
先生が選ばれた3句  茄子をもむ高原の風思いつつ
                ○幸せの風を袋に入れたまま
                 もめごとは風が持ち去り大あくび

兼題「解く」 帯解いてほっと一息秋の風
席題「傘」 さしかけた傘小さくて我が身濡れ


2010年8月川柳教室
兼題「眼鏡(メガネ)」 お小言が鼻メガネ越しつきささる
兼題「包む」 悲しみもみな包み込む娘の笑顔 (互選0点)
 
私が選んだ3句  小包に思いのたけを詰め込んで
             包み紙もったいないと又置いて
            ○ふるさとの風に包まれスイカ食う

  
先生が選ばれた3句 ○新しい朝に包まれ目玉焼き
                  ここからは霧に包んでおきましょう
                  ふるさとの風に包まれスイカ食う

席題「住む」 住みついた野良猫にいま癒やされて


2010年7月川柳教室
兼題「渡す」 病む妻もパジャマを渡す毎元気(互選2点)
 私が選んだ3句 ○垣根越し渡すお土産つつましく
              ちゅうちょして渡った岸に根を生やし
              渡すはずだった恋文カプセルに

  
先生が選ばれた3句   ちゅうちょして渡った岸に根を生やし
                ○渡されたバラ一輪が明日を指す
                  冴え渡る月にさとされ荷をほどく

兼題「前」 大敗に前幹事長どう思う
席題「嘘」 嘘が嘘よんでバンザイ白い空


2010年6月川柳教室
兼題「時計」 こわれてもスイスの記念捨てられず(互選1点)
 
私が選んだ3句 ○子は巣立ち止まったままの掛時計
              古時計亡父の命をまだ刻む
              闇の中時計の針と息合わせ

  
先生が選ばれた3句   古時計亡父の命をまだ刻む
                 踏台のねじ巻く父を皆見上げ
                ○ふくいくと紅茶待つ間の砂時計

兼題「流れ」 この辺で時の流れに乗ってみる
席題「帽子」 麦わら帽お手々つないだ長い影


2010年5月川柳教室
兼題「心」 心にもない世辞で役押しつける
兼題「切る」 花びらに切って貼られた母の窓(互選0点)
 
私が選んだ3句  しつけ糸切って一人の旅に出し
           ○わくわくと旧友の分厚い封を切る
             断ち切った夢が時どき顔を出す

  
先生が選ばれた3句  夕暮れにダイコンの白切っている
                ○枝切って急に隣が近くなり
                 ハム厚く切って飯喰う妻の留守

席題「雲」 UFOだ子をときめかすレンズ雲


2010年4月川柳教室
 (欠席のため兼題の投句だけ)
兼題「竹」 桜散り竹竿を鯉駈けのぼり
兼題「伸びる」 ハイチーズ八頭身へ背伸びする


2010年3月川柳教室
兼題「線」 日本人生命線を越えて生き
兼題「折る」 夢のせて紙飛行機が青空へ(互選0点)
 
私が選んだ3句  春風が折り戸を開けて覗き込む
            ○アナログで生きてデジタル骨が折れ
             侘助を手折り茶室に一人いる

  
先生が選ばれた3句  どちらにも折り合いつけて闊歩する
                ○折り鶴が手から飛び立つ時を待つ
                 折りたたむないしょ話を風呂敷に

席題「門」 門扉越しいつまで続く立ち話


2010年2月川柳教室
兼題「梅」 梅の香に寄り道をして深呼吸
兼題「浮く」 笹舟を浮かべ幼子夢遠く(互選1点)
 
私が選んだ3句  浮くような世辞も真に受け生きる糧
             よいことがあって鼻歌風呂に浮く
           ○大空をカンバスにして雲浮かぶ

  
先生が選ばれた3句  ○タンポポの種がふわりと乳母車
                  浮き袋子らに投げたか自問して
                  浮いてくる灰汁をすくって年重ね

席題「指」 また今度指切りをしてもう5年

2010年1月川柳教室
兼題「幸」 幸運が訪れずして除夜の鐘 (互選0点)
 
私が選んだ3句 ○幸いはちょっと愛して働いて
              ほっこりと里のゆず風呂幸もらい
              年重ね心ひろびろ幸をよぶ

  
先生が選ばれた3句  幸せの残高しらべ床につく
                ○花に水何か良いことありそうな
                 小さな幸割った卵に黄味二つ

兼題「新しい」 新春に集う家族の顔も増え
席題「雪」 雪もよう縁側に酒用意する


2009年12月川柳教室
兼題「手」 連立に幹事長居て手詰まりに
兼題「頼る」 神様を頼り億万長者買う(互選0点)
 
私が選んだ3句  知らぬ間に頼る身になる我を知る
             頼られてついしぼり出す自尊心
            ○頼られて知らぬ私が顔を出し

  
先生が選ばれた3句  目覚ましに頼って5時の流れ星
                ○頼られて知らぬ私が顔を出し
                 占いにどこか頼ってバカにして

席題「安い」 割安と多く買い込み棄てる羽目


2009年10月川柳教室
兼題「栗」 栗拾い銀杏拾い秋うれし
兼題「走る」 黄信号無理して渡り息が切れ(互選1点)
 
私が選んだ3句  幼子の走る先には母の笑み
             走り書きノートに残る母の文字
            ○すすき野を走る幼な子風になり

  
先生が選ばれた3句  幼子の走る先には母の笑み
                ○秋桜の野をおもいきり駆けたいわ
                 すすき野を走る幼な子風になり

席題「紐」 靴ひもはまだ結べます大丈夫


2009年9月川柳教室
兼題「月」 月蒼く手の温もりがよみがえり(互選3点)
 
私が選んだ3句  遠い地のあの子も照らす月優し
            ○主ない家にも月は訪ね入り
             母さんが泣く子と月に語りかけ

  
先生が選ばれた3句  良心をやさしくノック月明かり
                ○月蒼く手の温もりがよみがえり
                 満月に悩んだこともつい忘れ

兼題「混ぜる」「混ざる」 父と母ないまぜにしてこの私
席題「位置」 研修会目立たぬ位置の席に着く
    
(先生の指導・研修会目立たぬ位置にそっと着く)

2009年8月川柳教室
兼題「汗」 生ビール味わいたくて汗をかく
兼題「転ける」 転けちゃったさわやかに言い名を残す(互選1点)
 
私が選んだ3句  無造作な夫の生け花笑いこけ
            ○あいつはね転けても何か掴む奴
             転けるまい手すり持つ手に汗にじむ

  
先生が選んだ3句  転けるたび磨きをかける小さい石 
              ○寝ころべば空から雲がおりてくる
                魂がときどき転けた音がする

席題「選ぶ」 選ばれてバッジつければあとは数


2009年7月川柳教室
兼題「干す」 炎天下干し蛸だけが風にゆれ(互選0点)
 
私が選んだ3句   捨てきれず亡夫の背広そっと干す
             蒲団干し小さな幸をかみしめる
            ○干しダコが風吹くままにフラダンス

  
先生が選ばれた3句  晴れ間には家を干す気で動き出す。
                 一夜干し焦がしビールも泡ばかり
                ○干した傘コロコロコロと散歩する

兼題「窓」 窓あかり今日も無事だと語りかけ
席題「折る」 子の見合い今日だけ折り目正しくし


2009年6月川柳教室
兼題「雨」 午後の夢雨だれの音にさそわれて(互選5点)
 
私が選んだ3句   雨の香に思い出す人一人あり
              長雨に天井見つめ病める日々
            ○わらべうた孫抱きうたう外は雨

  
先生が選ばれた3句  ○土砂降りの先に迎えの父がいた
                  雨の日は何故か優しくなれる妻
                  雨音はしとしとしとで酒に合う

兼題「祈る」 小さな手合わせる先にてる坊主
席題「着る」 樟脳の香りいっぱい和服着て


2009年5月川柳教室
兼題「輝く」 手品師の技に子らの目輝いて
兼題「遠足」  山登り荷物になると先に食べ(互選14点)
 
私が選んだ3句   お土産はレンゲの花の首かざり
            ○独り居が遠足ごっこ空青く
              にぎやかにリュックもはねる五月晴れ

  
先生が選ばれた3句  遠足の母の巻きずし具だくさん
                 遠足に家族明るい顔で寝る
                ○遠足の膝からころぶにぎりめし

席題「輪」 ウイルスも交流戦で輪を広げ


2009年4月川柳教室
兼題「声」 ITが娘の声を聞けぬ世に
兼題「行く」 ミステリー行き先なんと我が故郷
席題「散る」 散らかしたときに限って客があり
 今回は新しい受講者が多く加わり、川柳の基本の解説に時間を多く取られ、互選は中止されました。


2009年3月川柳教室
兼題「式」 格式を重んじていた祖父の髭
兼題「冷える」 二万円冷えた懐温めて(互選2点)
 
私の選んだ3句  冷えまんなあふるさと訛温かく
             幼児に冷えた心が癒やされて
            ○冷える日は向かい炬燵の老い二人

  
先生が選ばれた3句 ○よい話冷やさないようしまい込む
                  使い捨てカイロは恋に似て非なり
                  冷え込んだ私の財布春を待つ

席題「釘」 釘を打つ音が新居の夢ひろげ


2009年2月川柳教室
兼題「芽」 恋の芽もやっとふくらみ届く春(互選4点)
 
私が選んだ3句」  病葉(わくらば)が散って新芽に夢託す
            ○恋心小さな芽のうち摘んでおく
              新妻も木の芽浮かせて義母の味
  
先生が選ばれた3句  子離れの時を新芽に教えられ
                ○子どもらは体中から新芽出す
                 恋心小さな芽のうち摘んでおく

兼題「曲がる」 曲がり角過ぎて人生一直線
席題「匂う」 輝いた瞳が春を匂わせる


2009年1月川柳教室
兼題「福」 福の神今年も来ない大晦日
兼題「飾る」 オムツたち満艦飾の里帰り(互選7点)
 
私が選んだ3句  手作りのしめなわ飾り春を待つ
             着飾った晴れ着が知らす成人日
           ○着飾ってゆくあてもなし寒椿

  
先生が選ばれた3句  福寿草机に飾りひとりの賀
               ○飾り気もなくして気楽夢の中
                 ありがとう柩の母に薄化粧

席題「抜く」  栓を抜き飲めぬ妻にもチョット注ぐ


2008年12月川柳教室
兼題「なみだ」 夕焼けを見つめるしわに涙あと
兼題「無い」 訪れる人無く犬とおおあくび(互選8点)
 
私が選んだ3句  「異常なし」いわれて帰りケーキ買う
           ○コンビニもない故郷の月明かり
             何気ない姑の一言気にかかる

  
先生が選ばれた3句  訪れる人無く犬とおおあくび
               ○コンビニもない故郷の月明かり
                 散会後似て非なる靴ぽつねんと

席題「詰める」 詰め将棋へぼにはへぼの一手あり


2008年11月川柳教室
兼題 「風」 お日さまが北風よりも怖くなり (互選6点)
 
私が選んだ3句  こだわりがふいに解けゆく風の向き
            ○秋の風妻の背丸く冬支度
             風踊り色とりどりの落ち葉道

  
先生が選ばれた3句  しなやかに風受けとめて空仰ぐ
                 換気扇となりの秋刀魚つれてくる
                ○お日さまが北風よりも怖くなり

兼題 「出る」 言い出しべえおだてにのって役つづく
席題 「霜」 霜焼けに母の手編みの温かさ

2008年10月川柳教室
兼題「旅」 百歳の旅立ち送る友はなく(互選14点)
 
私が選んだ3句 ○旅に出て私はわたし背伸びする
              煩悩を抱いて迷路を辿る旅
              ふるさとへ過去を探して旅をする

  
先生が選ばれた3句 ○旅に出て私はわたし背伸びする
                  旅先で孫によく似たこけし買う
                  おにぎりに母の手紙のついた旅

兼題「降る」 降りますよひざが私に語りかけ
席題「歌」 高齢の集まる第九演歌調

2008年9発川柳教室
兼題「本当」 本当のことは言わずに頭下げ(互選9点)
 私の選んだ3句  「本当」が何かわからぬ国になり
           ○嫁いだ娘(こ)元気メールはほんとうね
             本当のことでも欲しいオブラート

  
先生が選ばれた3句 ○本当は満足そうなかすみ草
                 本当は飛ぶのがこわいハトもいる
                 本当がススキの原で見え隠れ

兼題「嫌い」 五十年好きも嫌いもない交ぜて
席題「面」 面子(メンツ)捨て気楽に生きる術を知る


2008年8月川柳教室
兼題「閉じる」 北京の夜盛り上がるのに目が閉じる
兼題「「声」 電話口母よみがえる姉の声 (互選12点)
 
私の選んだ3句  さりげなく声かけられて破る殻
           ○大声で笑うあなたといて平和
             真夏日の声一つせぬ昼下がり

  
先生が選ばれた3句  「真っ直ぐに生きよ」と滝が落ちてくる
                 かあちゃんの声だけ先にゴールする
                ○ころころと声ころがって秋はくる

席題「砂」 長電話いつからここに砂時計


2008年7月川柳教室

兼題「傘」 百均の傘は離れずついてくる
兼題「覗く」 覗かれた心は揺れて地にもぐる(互選3点)
 私の選んだ3句 ○肩に手を覗き込んではママが好き
              万華鏡夢の中を散歩する
              赤ん坊そっと覗けば笑窪する

   
先生が選ばれた3句 ○
覗いたら鏡の中に母がいた
                  集中しミシンの針に糸通す
                  覗き込む娘の眠りバラが咲く
席題「鍵」 鍵っ子が約束胸にぶらさげて


2008年6月川柳教室
兼題「指」  指切りの針千本にうなされる(互選1点)
 私の選んだ3句   うしろ指心の臓までつきささる
            ○指先にうれしさこめて封を切る
              針箱に母の指貫ひっそりと

  
先生が選ばれた3句 ○華やかなネールアートは饒舌で
                  指先にうれしさこめて封を切る
                  針箱に母の指貫ひっそりと

兼題「飲む」 遍路道冷たいお茶でよみがえる
席題「干す」 お日さまの薫りの夜具に夢気分

2008年5月川柳教室
兼題「音」 音声が門までもれる老い二人 (互選20点)
 
私の選んだ3句  音信が途絶えた友の夢を見る
            ○トタン屋根雀かわいい足の音
              目が覚めて浮世の音のあり嬉し

  
先生が選ばれた3句 ○雨音よ丸い背中を這うでない
                 風音に着ていく服が決まらない
                  雑草の新芽の音が勇ましい

兼題「働く」 勤務終え安堵のさきにあかね雲
席題「壁」 押入の落書きの主今は親 


2008年4月川柳教室

兼題「愚痴」 昨日より一歩すすんだ今日の愚痴
兼題「励む」 励むほど老いには痛み残るだけ (互選9点)
 私の選んだ3句  夢ひそか静かに励み芽生え待つ
              何事も一所懸命いちねんせい
            ○リハビリの一歩一歩に青い空

  
先生が選ばれた3句 ○励ましの言葉ひかえてさくら餅
                 リハビリの一歩一歩に青い空
                  家中の励まし肩に初出勤
席題「棒」 棒切れの殺陣で主役になりすまし

2008年3月川柳教室
兼題「風」 ゆううつを伴って吹く春の風(互選2点)

 
私の選んだ3句 ○薫風を部屋に通して大正琴(こと)を弾く
              戸を叩く風にも四季の音があり
              春風に抱かれてみたい今一度

  
先生が選ばれた3句  主婦の顔風に預けて街の中
                 終の日まで優しい風が吹く家に
                ○借りている笑いの袋へ春の風

兼題「待つ」 待ったでしょ笑顔でいわれ首をふる
席題「涙」  涙顔みんなが去って席を立つ


2008年2月川柳教室
兼題「雨」 ああうれしかったばかりの傘をさす (互選3点)
 
私の選んだ3句  あの人と雨の御利益ひとつ傘
             雨上がり虹の向こうに春が見え
           ○しととふる雨の冷たさ初大師

  
先生が選ばれた3句 ○雨蛙ひょいと起こされ春ですか
                 にわか雨町中の人走り出す
                 フラワーシャワー浴びる二人に雨あがる

兼題「巻く」 首に巻く姿を想い毛糸編む
席題「写真」 同窓会しわも笑顔にハイポーズ

2008年1月川柳教室
兼題「ひらく」 福袋開いた途端目がくもる
          
☆福袋ひらいたとたん目がくもる
兼題「花」 床の間に万年青活け終えやっと新年(はる) (互選1点)
 
私が選んだ三句 ○水仙の豊かな香り波静か
              洋花の名聞いて忘れて又きいて
              陽のあたる窓辺にまわす冬の花

  
先生が選ばれた3句 ○誕生日私の為にバラを買う
                  咲くかしらオンリーワンの僕の花
                  千両が好き万両はもっと好き

席題「招く」 招き猫客を増やして昇進し


2007年12月川柳教室
兼題「匂う」 賞味期限よりも確かな妻の鼻(互選6点)
 
私が選んだ3句 ○木犀が消えていつもの散歩道
             木枯らしに防虫剤の移り香も
             枯れてなお匂いやさしくふじばかま

  
先生が選ばれた3句 ○こんな日はバラの香りの風呂に入る
                 亡き夫の好んだタバコ匂う宵
                 匂やかに娘は髪を束ねあげ

兼題「順」 順番を違えた訃報知る師走
席題「忘れる」 網棚でお土産だけが旅続け
          さあてはてなぜ二階まで来たのかな


2007年11月川柳教室
放送大学の行事があり投句のみで欠席しました
兼題「月」 遍路道頼りは杖と月明かり
  
先生評 お遍路は昼間しか歩かないのにね
兼題「吹く」 木枯らしにもてあそばれる薄い髪(互選10点)

  
先生評 佐藤アナウンサー(NHKぼや川担当)を思い出す句ですね
  
生徒評 ぼや川に応募したらいい句

2007年10月川柳教室

兼題「準備」 万端の備えむなしく秋の風(互選0点)
 
私が選んだ3句  モクセイの香が漂うて鍋準備
            ○ゆっくりと終着駅へ準備する
             来客をむかえる準備菊一輪

  
先生が選ばれた3句 ○背を伸ばし七十路歩む靴を買う
                 準備などせぬ間に老後やってくる
                 万国旗末広がりに準備する

兼題「苦しい」 苦しんでやっと出たのに虎あわれ
席題「風」 何かしら風を感じてくじを買う

2007年9月A川柳教室(9月25日)
兼題「頭」意地っ張り頭ごなしのおまえの子(互選0点)
 
私が選んだ3句  物忘れ頭をノック聞いてみる
             今更に頭をよぎるあの人が
           ○野良仕事古希の頭に赤トンボ

  
先生が選んだ3句  母はまた菓子折もって頭下げ
               頭から無理といわれて闘志湧き
              ○野良仕事古希の頭に赤トンボ

兼題「やさしい」  優しさが過ぎて悪魔のこころ見た
席題「届く」  幸せを届けてくれた母の文


2007年9月@川柳教室(9月18日)
兼題「実」 実を結ぶこと期待せずただつくす(互選3点)
 
私が選んだ3句  赤い実の増えて日暮れが早くなる
            ○鈴なりの柿の実残し過疎の村
             宅配の柿の実故郷(さと)を運び来る

  
先生が選ばれた3句  ○赤い実の増えて日暮れが早くなる
                  鈴なりの柿の実残し過疎の村
                  青い実の残る部分も良しとしよ

兼題「困る」 突然の辞任も困る者は無く
席題「腕」  材料費腕より高く評価され


2007年8月川柳教室(8月21日)
兼題「帰省」 降りたったホームにお国言葉待ち」
兼題「縁」 宿無しに家つき娘手を打たせ(互選3点)

 
私が互選で選んだ3句  長き縁つかず離れず良い関係
                 ねえあなたご縁はこの世だけにして
                ○ここに来てすべてが縁と深呼吸

   
先生が選ばれた3句  ○ここに来てすべてが縁と深呼吸
                   このくつに縁があったらシンデレラ
                   縁ありて結ばれし夫夕涼み

席題「ゆるむ」 ビールの夏ゆるんだゴムが丁度よい


2007年7月川柳教室(7月17日)
兼題「濡れる」 濡れおかき老人会で人気者
兼題「雲」 雲間から満月が出て手を離す(互選 0点)

 
互選で私が選んだ3句 ○雲行きを悟って甘いことば出す
                 茜雲明日のない日はいつか来る
                 雲行きを読んで言葉を飲み込んだ

   
先生が選ばれた3句  飛行雲一筋ひいてハネムーン
                  雲の上夢みるよりもかき氷
                ○大声で叫びたくなる茜雲

席題「作る」 作りおき心置きなく妻旅へ

2007年6月川柳教室(6月19日)
兼題「長い」 いつですか長いトンネル抜けるのは
兼題「網」 網で焼くにおいに惹かれまた客に (互選 6点)

 互選で私が選んだ3句  天網もネット社会は不慣れかな
                 網棚にみやげ寄付して旅終わる
                ○さりげなく笑顔の中に網を張り

    
先生が選ばれた3句  ○網膜に焼きつく夕日余りある
                     さりげなく笑顔の中に網を張り
                     金網をらくらく越えて白い花

席題「ほたる」 ほたるとぶ蚊帳はお父と僕の城

2007年4月川柳教室(4月17日)

兼題「芽」 やっと出た芽を引っこ抜くもみじの手
兼題「迷う」 この歳でまだ迷うこと多くあり (互選 7点)

 互選で私が選んだ3句  迷ったら亡父にこっそり問うてみる
                 あの人へ迷いつつ選る花の苗
                ○迷い込むトンボに障子そっと開け

    
先生が選ばれた3句 春の空ひとり愉しく迷う道
                ○網棚に迷い預けて下車をする
                  迷い道苦さ辛さを知っている

席題「弾む」 さそわれて弾んだ心抑えかね
         
先生の評 危険な匂いの句ですね

2007年3月川柳教室(3月20日)

兼題「答」 あいまいな回答まかり通る国
 
互選で私が選んだ3句  行く末の介護の答なるがまま
                 問いかけに亡夫の笑った気がします
               ○ありがとうそれが答の老夫婦です

    
先生が選ばれた3句 灰色の答もあってさくら草
                  梅かおる答探しの道半ば
                  問いかけに亡夫の笑った気がします

兼題「払う」 払っても払っても税続く春
席題「石」 石橋をたたかずにきてなお果報


2007年2月川柳教室(2月20日)

兼題「星」 白星を灰色にする週刊誌
兼題「走る」 受験生三万人にさえぎられ(互選2点)
席題「椀」 洗いものなぜかよく割る夫婦椀
        
先生のご指導 洗うときなぜかよく割る夫婦椀
  互選で私が選んだ3句  飛び乗って違う景色が走り出す
                ○突っ走り過ぎて孤独の風にあう
                 ほほ染めてそっと目をやる走り書き

     
先生が選ばれた3句 ○夕焼けを見て一寸だけ走りたい
                    突っ走り過ぎて孤独の風にあう
                    くさり切りぽちは走って見たい日も


2007年1月川柳教室(1月16日)
兼題「梅」 梅干しが気を悪くするシワの数(互選・8点)
兼題「重ねる」 重ね着でエコしているとやせ我慢
席題「問う」 問いかけた相手に見とれ聞きのがす
 互選で私が選んだ3句   梅一輪子の旅立ちに泣き笑い
                ○一輪の梅で迎えるおひとがら
                 人参も梅の形ですまし顔
     先生が選ばれた3句 ○梅干しの笑う弁当そっとあけ
                    梅の香にのせて私も届けてね
                    人参の梅を散らして除夜の鐘


12月の川柳教室(12月19日)

兼題「雪」 初雪に孫よりジジが騒ぎたて
兼題「忘れる」 初恋の相手の名さえのどの奥
公開録画兼題「若い」 まだ若い口癖にして生きている
         (
1/4NHKTV『テレビでぼやき川柳』入選;放映)
      兼題「紙」 はしご酒紙幣なくなり徒歩あわれ
      兼題「抜く」 抜かれても抜き返すことしなくなる
      兼題「コマ」 コマだけは孫の師匠になれる技

11月の川柳教室(欠席)

10月の川柳教室(10月17日)
兼題「椅子」 新調の椅子が短足あざ笑う(投句)
         車椅子秋空のもと疾走し
兼題「挑む」 さっそうとハンディ乗り越え挑む秋(投句・互選3点)
 
互選で私が選んだ3句  居心地がよいか挑まぬニート達
                ○孫ほしさ代理出産挑戦か
                 ピーマンを食べたと孫の得意顔

     
先生が選ばれた3句  再婚に挑んだ友はきらきらと
                   ○挑むもの探しあぐねて天(そら)仰ぐ
                    今日からは小言を一つ減らします

席題「笛」  SLの汽笛に惹かれ旅に出る(投句)
        運動会ひとつの笛で子が動き


9月の川柳教室(9月19日)

兼題「駅」 靴片方線路に残し旅に発つ
       あと一歩閉まったドアに照れ笑い(投句・互選6点)
 
互選で私が選んだ3句  無人駅トンボの群れのお出迎え
                ○人生の通過駅とは後(のち)に知り
                 朝の駅いつもの顔が滑り込む

     
先生が選ばれた3句  駅裏の屋台に集う丸い背な
                    一駅を歩き小さな秋探す
                    朝の駅いつもの顔が滑り込む

兼題「動く」 よく動く胎児いよいよご誕生
        動かずにメシお茶だけですます父(投句)
席題「静か」 モーツアルト静かな曲が夢誘う(投句)
         夏過ぎてなお蝉が鳴く耳の奥


8月の川柳教室(8月22日)

兼題「時」  候補者は参拝やめて時を待つ
        下を向き波風立てず時を待つ《投句・互選・5点》
        時々は女房のことも思い出す
兼題「励む」
  父親の形見のペンに励まされ
         
励むほどスコアは伸びずまたもビリ《投句》
席題「釘」  踏み抜いた釘うらめしい旅やめる
         先生のご指導 踏み抜いた釘うらめしく旅やめる (句がとぎれないように)
 互選で私が選んだ3句  時の人マスコミだけが騒ぎたて
               ○ゆっくりと時の流れも愉しくて
                 夕焼けに見とれてしばし時止める
     先生が選ばれた3句  汐時を逃して虎と肩を組む
                    この時を慈しむかに孫といる
                  ○夕焼けに見とれてしばし時止める



7月の川柳教室(7月18日)
兼題「終わる」  終止符を打ったはずだが誘い受け
           人生の最終章に朱印添え  互選8点
 
互選で私が選んだ3句   一日の終わりは流しさっと拭く
                ○あせらずに今の暮らしを終わりまで
                  宝くじ夢の終わりは三百円

  
先生が選ばれた3句   尊厳死決める親子も心ゆれ
                  ロードショウ済みしばらくはただ無言
                ○生き終えた母の笑顔にありがとう

兼題「波」
  石つぶて波紋残して姿消す(説明のしすぎ)
         先生のご指導 石つぶて投げた波紋をまだ残す
席題「家族」  母病んで家に帰れず星仰ぐ


6月の川柳教室(6月20日)
兼題「濡れる」  濡れ落ち葉と言われぬように趣味ふやす
兼題「筆」
   悪筆をDNAのせいにする
席題「痛い」  アイタタタ税金保険みな値上げ
 互選で私が選んだ3句 ○写経する筆をもつ日の穏やかさ
                 優しさが溢れるような筆遣い
                 ワンパクも筆を手に持ちすまし顔
 
 先生が選ばれた3句 ○達者かと筆太な字で書いてある
                 筆談がしばらく続く口げんか
                 優しさが溢れるような筆遣い

 

5月の川柳教室(5月16日)

兼題「ゆっくり」  ゆっくりと歩いて花の主を知る
           ゆっくりと歩き大師の修行知る
兼題「葉」  春風に役目を終えた木の葉掃く
席題「角」  孫相手飛車角ぬきで負けてやる

 互選で私が選んだ3句 ○母の歩に寄り添い亡父(ちち)の話する
                 ゆっくりと娘忘れる認知症
                 休日を避けてゆっくり老の旅
 先生の選ばれた3句  ○ゆっくりと手足のばして菖蒲の湯
                 ゆっくりと娘忘れる認知症
                 母の歩に寄り添い亡父(ちち)の話する



4月の川柳教室(4月18日)

兼題「友」  ときめいた幼なじみは友のまま
 
互選で私が選んだ3句 ○久しぶり名は忘れたがたしか友
                 年にいちど逢える友いてよみがえる
                 友情の流れを変えた印一つ

 
先生が選ばれた3句  ○好きだった今なら言える友に会い
                 発表会友が見事に化けました
                 友の声二十五年の時を埋め

兼題「耕す」  石頭少し耕し笑い蒔く
席題「戻る」  意地をはりあともどりせず道迷う


3月の川柳教室(3月21日)
兼題「夢」    ささやかな夢まだ描き生きている
          いい夢の続き見たくて床に居る
兼題「終わる」  友が逝き命の終わり意識する
 
互選で私が選んだ3句 ○しまい湯を極楽という母がいて
                 「終わります」声が聞こえてハッとする
                 終わらない家事からのがれピアノ弾く

 
先生が選ばれた3句  ○しまい湯を極楽という母がいる
                 お引っ越し終わって仰ぐ星の空
                 母さんは笑顔残して幕を引く

席題「選ぶ」  選択肢年老いてなお夢を取る


2月の川柳教室
兼題「明るい」  明るさも暗さもまとめ引き受ける
兼題「芽」    花芽なく切られそうですハナミズキ
席題「迎える」  家庭では送迎だけが取り柄です


1月の川柳教室
兼題「新」  新しい日記帳はや塵つもる
兼題「楽しむ」  皮算用有馬・ジャンボで露と消え
           ひたすらに歩き楽しむ遍路みち
席題「記す」  歩き遍路苦楽を記す朱印帳


12月の川柳教室
 兼題「光」  光沢が消えて真価がにじみ出る
 兼題「叩く」  建設屋設計たたき倒産へ

        
鉄筋を叩いてみんな壊れゆく
 席題「渡る」  凍てついた橋をこわごわ笠の列

11月の川柳教室
  兼題「目」  ベテランの妻が得意の目分量
         目の中の孫をしっかり抱きしめる
         目を閉じて次の言葉を考える
 兼題「待つ」  待ちわびた日も過ぎ心穴があく
 席題「包む」  恋ごころそっと包んでしまい込む


10月23日 大西泰世川柳教室合同勉強会(赤穂市民会館)

 大阪NHK 神戸NHK あかねヶ丘学園 サンピア明石(午前・午後の部) 姫路 太子 西播磨の8教室合計82名が参加して開催されました。
 兼題「ひとつ」 選者;久保田半蔵門先生
         タイガース一つひとつの積み重ね
         まあひとつから始まった腐れ縁(入選)
 兼題「詰める」 選者;板野美子先生
         座席詰め隣の美女ににらまれる
         詰め将棋詰まらぬうちに眼がつむる
 兼題「路地」 共選 選者大西泰世先生、板野美子先生
         裏路地の行きつけの店母がいる
         裏路地で心地よく飲む独り酒(大西先生入選)
 席題「燃える」 互選
         生きがいを求め再び燃え上がる(1点)
  
           
10月の川柳教室
 
兼題「旅」  日帰りの旅でストレスやや緩和
 兼題「笑う」  年寄りが顔突き合わせ笑いなし
           夫婦老い笑いなくとも日々平和

9月の川柳教室
 
兼題「青」  流行の青試着して苦笑い
          青春の夢老いてなお断ち切れず
          青春を謳歌している戦中派
 兼題「飛ぶ」「跳ぶ」
          飛び越えることなどしない歳になり
          跳び越えた溝の深さに息をのむ
          この溝が跳び越えられず秋の風
 席題「「打つ」  胸を打つことには涙もろくなり

8月の川柳教室
 兼題「海」  海峡の島が二国を騒がせる
         「海行かば」幼き日々の子守歌
         海峡の橋をバックに君を撮る
 兼題「休む」  休みあけ体の重さ持て余す
           毎日が休みの暮らしまた楽し
 席題「飲む」  二日酔い飲まない決意その日だけ


7月の川柳教室

 兼題「星」互選
     星印まただまされておけら路       勉
     五ツ星にかぶらぬようにはいポーズ  伸子
     五ツ星旅の疲れもふっとんだ     山 節子
     星の数よりこの舌を信じよう        紀代
 1点  赤星のアキレス腱が塁盗み        昌弘
  〃  星の道思わぬ誤算穴が空き       芳子
  〃  金星で力士蔵建てビルを建て      芳子
 2点  織姫もてるてる坊主つくりたい      広子
 3点  無粋です星の世界の等級は       宏之
  〃  目覚めたらプラネタリウムいま夜明け  靖国
  〃  空梅雨に一番星の夕涼み         アイ子
  〃  星マーク付けてうれしいその日待つ   敦子
  〃  星空に願いをこめてくじを買う       美佐子
  〃  南方のきらめく星に思いよせ       邦江
  〃  満天の星もかくれる大花火        幸代
  〃  星降る夜ねがいをかける私です     三四子
 5点  満天の星が私を座らせる         昭子
 7点  星まつりあれこれ願いすぐ忘れ      文子
  〃  この星もあの星も好きみんな好き   橋 節子
 9点  科学より星に願うを子に教え       かをる
11点  露天風呂降るよな星に手を伸ばし    悦子
13点  親たちの希望の星が輝けず       蓉子
15点  太古からひとのくらしを見てる星     やえこ
       ☆太古からひとの暮らしを星は見て
 兼題「泳ぐ」  孫が来て水着買いますこの歳で
           久しぶり海で味わうこのからさ
             ☆久しぶり海はやっぱり塩辛い
 
席題「幅」  古女房心身共に幅きかせ

6月の川柳教室
 
兼題「汗」  大汗をかいて難所をやっと過ぎ
        
大汗も収穫少しわりあわず
           
☆大汗をかいて収穫これっぽち
 兼題「走る」互選
     幼子はホタルに誘われ走り出す     芳子
           ☆幼子が走るホタルに誘われて
     走り込む世界をめざし記録だす    山 節子
           ☆まず記録世界を目指し走り込む
     急変の知らせの電話ひた走る      文子
     走り去る月日の早さ追いつけず     幸代
     こけた子を待って一緒にゴールする   靖国
     おくれぐせ直らず今日も走り出す    三四子
 1点  振り向かず走ってきたよ今のため    邦江
  〃  走れない歳になったか紋黄蝶    橋 節子
 2点  まず走り結果を待って思案する     宏之
  〃  気がつけば走ることさえ忘れおり    良子
  〃  走りくる幸を受けとめ感謝する     えみこ
 3点  ヨーイドンスタート台はみなおなじ   やえこ
 5点  今日もまた忘れものして無駄走り    昌弘
  〃  職退きてなお小走りに帰路急ぐ     昭子
  〃  走れない急な吹き降り老いの坂    アイ子
 7点  走らずにスローな時を楽しもう      悦子
 8点  福の神隣の家に走りこみ         広子
 9点  意識せず人生の岐路走り抜け      蓉子
  〃  エンピツで走っています地図の旅    敦子
10点  走ること止めて周りがみえてきた    紀代
15点  走るなよ廊下と口は統べるから     博美
 席題「帽子」  やっと得た帽子早々台無しに

大西川柳教室赤穂ハーモニーホール互選会(05.5.29)
 
兼題「窓」  気が合って心の窓も開きます

5月の川柳教室 
欠席(投句のみ)
 
兼題「緑」  新緑を愛でながら日々草を引く
 兼題「流れ」  切り札を捨てて流れを引き寄せる
           戦争へ流れる政治胸いたむ
           流ちょうな言葉で心引きつける


4月の川柳教室

 
兼題「根」  根っからのお人好しにはなりきれず
          これという取り柄もなくて根無し草
 兼題「張る」  少しでも若く見せたく胸を張り
           おさな子も張り切ってするお接待
 席題「続く」  継続も力にならず進むボケ

3月の川柳教室

 兼題「春」  春の香が町にあふれる新子漁
         春一番難儀な花粉連れてくる
 兼題「吹く」 吹けば飛ぶほどのお金で生きている
 席題「足・脚」  試着した脚長パンツ効果なし

2月の川柳教室
 
 兼題「若い」  受給者になって若者神に見え
           若貴が老いて国産パッとせず
           この頃の若い奴より悪い親
           ヤンママも白髪を隠すために染め
 兼題「影」   父親の影が私の勇気です
          灯台守凍る月影見て歌う
          影踏みはのろまな私いつも鬼
1月の川柳教室
 兼題「セーター」  愛妻の手編みきている自慢げに
              先生の指導;セーターは妻の手編みと自慢げに
             気に入りのセーター今は手と足に
              先生の指導;気に入りのセーター今はソックスに
 兼題「泣く」または「鳴く」
             ヨン様とユジン今夜も泣かせます
              先生の指導;ヨン様とチェジウ今夜も泣かせます
             震災のあの日を語る涙声

12月のNHKぼやき川柳投句
 
兼題「お茶」 お茶にする銘菓もらって弾む声(放送)

12月の川柳教室

 兼題「寒い」  忘年会はや懐は寒の入り
           震災の時思いだし寒さ耐え
           ふるえながらソフトクリーム食べている
           つないだ手息吹きかけて温める
 兼題「酒」   憎いやつ空の徳利で酌をする
           酒癖の悪いやつには酌をせず
           晩酌を控え検診オールA
           ドライブ中酒を横目にさかな食う
            先生の指導:ドライブ中酒を横目に肴食う
           大吟醸涙を飲んで料理酒
            先生の指導:大吟醸涙を飲んで料理酒に
 席題「丸い」  じいさんが角を取られる孫笑顔
            先生の指導:じいさんが角を取られる孫の笑み
           丸まるとした孫を抱き腰傷め
           ちょっとした親切私今日は丸

11月の川柳教室
 兼題「飛ぶ」  空を飛ぶ夢限りなく遠くなり
           飛んでくれ孫と作ったグライダー
           飛び乗ったバスの行き先不安です
           飛び入りが話題をさらいお開きに
 兼題「栗」   松茸に栗ご飯食う夢の中
          栗きんとん畑の出来が味決める
 席題「窓」   窓越しに身振りも添えて愛告げる
 ぐるっと関西兼題「サービス」
          月下美人みんな見てねと昼に咲く(写真付き・不採用)
           (写真はトピックスをご覧下さい)

10月の川柳教室
 兼題「取る」  バイキング会費以上を皿に取る
           つい出した箸でカロリー取りすぎる
           取りすぎたカロリー悔やみ汗流す
 兼題「旅」   旅先で恥かしげなく肩を組む
          せかされて駆け足で見るバスツアー
 席題「雨」   何時も傘備え欠かさぬ雨男
         先生のご指導; 傘だけは備え欠かさぬ雨男

9月の川柳教室
 兼題「歩む」  歩み止めこれから先を思案する
           お人好し真似て歩もう父の道
           銀山の往時を偲び間歩あゆむ
 兼題「星」  星占い信じないのに気にかかる
          流れ星私の願い間に合わず
 席題「吹く」 寝不足もここまで聖火吹いて消す

8月のNHKぼやき川柳投句
 28日 兼題「とんぼ」 夏痩せもこれで一息赤とんぼ(不採用)

8月の川柳教室
 兼題「盆」    盆踊り孫はしゃぎおり初浴衣
           孫帰省ばあばの浴衣着てはしゃぐ            
           帰省する孫の浴衣に母夜なべ
           盆五輪昼寝の時間長くなり
 兼題「休む」   海遊館休み休みの老い二人
           お昼間はすべて休憩この暑さ
           

7月の「トキメキ川柳」投句
 兼題「飼う」   あの人と話すきっかけ犬を飼う(佳作)


7月のNHKぼやき川柳投句
 10日 兼題「弾む」 弾むこと一つもないとぼやく妻 (放送)
 24日 兼題「並ぶ」 何の列後ろに並び聞いてみる (ぼやき川柳大賞)

      
MHKHPの川柳大賞の作品を見て
         じっちゃんの川柳みんなで見とれてる 純平(孫・栃木)

 31日 兼題「先生」  先生と呼ばれその気になる不思議


7月の川柳教室 
 兼題「蛍」   甘い水そんな言葉に乗りません
           都会では蛍嫌われベランダへ
 兼題「光る」  同窓会光る頭を比べ合う
           七光り透明だから今がある
           稲光膝の孫らとへそ隠す


6月の川柳教室
 兼題「結ぶ」  出雲とは違った人と結ばれる
           結び目を解かずにおこう共白髪
 兼題「箱」    箱入りの面影もなし大いびき
           この想い箱にしまって封をする
 席題「青」    青い鳥もうこれ以上探すまい


5月の川柳教室(欠席……投句のみ)
 兼題「揺れる」 あの人の一途なひとみ心揺れ
           大揺れにベルトあわてて強く締め
       
先生のご指導;(大揺れにあわててベルト強く締め)
 兼題「椅子」  椅子取りの心配もなく日々のどか
           窓際の椅子にこの先暗示され


4月の川柳教室
 兼題「緑」   退職し緑たずねて旅に出る
          わが家にもこんなに緑今気づく
 兼題「笑う」  孫たちの笑顔を想い荷を送る
                      (荷をつくる)
          私にはうるおい妻の笑い声



  
川柳