2月の川柳教室 2005年2月15日
                  ☆先生のご指導
兼題「影」
 仏壇の遺影年々若くなり         宏之
 子のくせ毛濃い眉にみる祖父の影    〃
 母の後影踏みスキップ帰り道      かをる
   ☆影踏みのスキップしつつ母の後
 見とれちゃう面影そっくりあの人に   〃
   ☆あの人に似た面影に見とれちゃう
   ☆そっくりな面影にただ見とれちゃう

 影のある女(ひと)に憧れ半世紀    紀代
 司馬さんの影が息づく菜の花忌     〃
 特別な事もないのに影躍る       芳子
 行くもよし帰りも影が見え隠れ      〃
   ☆守護の影行きも帰りも見え隠れ
 チョコレート遺影に供えて今日の月  昭子
   ☆チョコレート遺影に供え今日の月
 振り向いて我が影法師に逃げ走る   〃
   ☆振り向いて我が影法師から逃げる
 復興の光と影が交錯し         悦子
 よし蔭に番いの鴨が羽を休め      〃
 影法師追いかけ遊ぶ幼い日      文子
 忍び寄る影におびえた帰り道      〃
 はっとして面影求め振り返る      邦江
 暑さ避け日影求めてうろうろと      〃
   ☆うろうろと日蔭求める昨日今日
 老いたのか母の面かげことば継ぐ   山里節子
 もみじ手を小ギツネつくり障子こし    〃
   ☆障子越し小ギツネ作るもみじの手
 親子して影遊びした障子張り      広子
 震災の母の面影探す愛子(あこ)    〃
 孫の家指の影絵は見せられず     靖国
 影踏みはのろまな私いつも鬼      〃
 私からついに離れた影法師      橋本節子
 老夫婦影重なりて春の道        〃
 もつれつつ影踏み帰るランドセル   蓉子
 師の影を踏まずどころか前歩く     〃
 日蔭には休憩をする工夫たち     三四子
 夫の影いつもそばにと生きてきた   〃

兼題「若い」
 うきうきと心もはずむ若作り       かをる
 若鷺のはねる姿に春をみる       〃
 若いねと言われ本気にするかしら   宏之
 けなさずにただ若いねと言っておき  〃
 若者に席を譲られ背をのばす     紀代
 タンゴ聴く夫(つま)にひととき春(青春)の貌 〃
   ☆タンゴ聴く夫ひととき春春(はる)の貌
 古希なんてまだ若いよと背を押され  芳子
 馴れ初めは若気の至り夫笑う      〃
 年よりも若く言われて上機嫌      文子
 若い日を大切にしてと老婆心      〃
   ☆若い日を大切にねと老婆心
 若い日の実らぬ恋が胸底に      悦子
 若返るサプリメントがほしくなり     〃
 失言も水に流せる若さゆえ       山里節子
 気が若い肌つや笑みがわたしどこ   〃
   ☆気の若さ肌つや笑みもまだまだよ
 携帯のメールに夢中若い人      邦江
 どよめきの若さあふれるサポーター  〃
 グランドに弾ける汗を拭きもせず   広子
 若さには勝てない孫の食いっぷり   〃
 受給者になって若者神に見え     靖国
 ヤンママも白髪を隠すために染め   〃
 後輩に若いといわれ照れ笑い     橋本節子
 若いってただそれだけですばらしい  〃
 老いてなお一つ若いを言い募る    蓉子
 ケイタイと若者だけの優先席      〃
 「ヨン様」と若さ満開熟女たち      昭子
 脳年令若さ願うて川柳を         〃
 髪染めて若く見せたい華燭の日    三四子
 若人のオシャレジーンズ破けてる   〃
   ☆若人のオシャレジーンズ破けている

席題「箸」 互選
    子に判る家族の箸を判りかね     宏之
      ☆子は判る家族の箸を判りかね 
    箸使い気になり小言口に出し     文子
      ☆箸使い気になり小言つい口に
 2点 転んでも笑う娘は今見えず       靖国
      ☆転んでも笑う娘の今見えず  
   箸持つ手きんちょうするよカメラ来て 三四子
   箸すすむ孫の食欲目を見張る     悦子
 3点 夕膳は色とりどりで迷い箸       邦江
   子は巣立ち今年は二膳祝い箸    蓉子
 4点 祝いばし今年も元気となえつつ    山里節子
 5点 わり箸は使いたくないこの出会い   橋本節子
 7点 直しても直されたってにぎり箸     広子
      ☆直しても直してもまだ握り箸
      ☆直されたって直されたって握り箸

   祝い箸増えて嬉しい今年もと      昭子
      ☆祝い箸増えてうれしい今年また
 9点 体脂肪気になりつつも箸すすむ     芳子
      ☆体脂肪気になりつつも箸進む
12点 しなやかに指先映える箸使い     かをる