1月18日 川柳教室
                         ☆講師の指導
兼題「セーター」
 夜なべして母はセーター作りあげ   三四子
 セーターを着せてあげたい人がいる  〃
 トックリのセーターそぐわぬ亀の首   昭子
   ☆トックリのセーターどうもそぐわない
 編みかけのセーターたたみ瞑っている 〃
   ☆セーターに亡き人偲び目を瞑る
 遠い日のセーターを編む母思う     文子
 セーターを電車の中で編む姿       〃
   ☆セーターを電車の中で編んでいる
 セーターを肩から掛けたキザな奴   蓉子
 「手編みだよ」セーター着込み胸をはる 〃
 セーターは小物に化けてご満悦    芳子
 邪気払う赤いセーターそっと着る    〃
 セーターの明るい色に心浮き      邦江
 力込めセーター編む手思いよせ     〃
   ☆セーターを編む手に思い寄せながら
 セーターを編んだつもりが腹巻きに  紀代
 娘編む渋いセーター誰の手に      〃
   ☆娘の編んでいるセーターは誰の手に
 着痩せするセーター見つけ勝負する  宏之
   ☆着痩せするセーター僕の勝負服
 一昨年の手編みセーターまだ出来ず  〃
   ☆おととしのセーターいまだ未完成
 セーターの編み目にしみる宵の風   橋本節子
 愛を編むセーターひと目ひと目ごと    〃
   ☆セーターのひと目ひと目に愛を編む
 気に入りのセーター今は手と足に    靖国
   ☆気に入りのセーター今はソックスに
 愛妻の手編み着ている自慢げに     〃
   ☆セーターは妻の手編みと自慢げに
 セーターを編んで着せたい人もなく   悦子
 寒の日に父のセーター重ねきる      〃
 愛を込め編んだセーター穴ばかり    幸代
 しまい過ぎ見つけたセーター虫のえさ   〃
   ☆しまい過ぎセーター虫のえさになり
 セーターかい孫に着せると雪だるま   山里節子
   ☆セーターを孫に着せると雪だるま
 贈るぬし赤セーター好くかんれき後    〃
   ☆セーターも赤が好みの還暦後
 セーターを編む手を止めて春おもふ   かをる
 半額かも少し待とかあのセーター     〃
   ☆あのセーターもすこし待てば半額か

兼題「泣く」「鳴く」
 昇進し泣く泣く向かう新任地     宏之
 涙には理屈も勝てず四十年      〃
 十年目あの日を語る涙声       靖国
 ヨン様とユジン今日も泣かせます   〃
   ☆ヨン様とチェジュウ今夜も泣かせます
 泣くことも出来ず瓦礫に立ちつくす  悦子
 父母を波にさらわれ号泣す       〃
 反抗期息子二人を泣きおとし     文子
 朝の庭鳥の鳴き声活気づき       〃
   ☆朝の庭鳥鳴く声に活気づき
 泣くことや笑うことある人生だ     三四子
 鳴き声を聞きたくなりて墓まいる    〃
   ☆鳴き声を聞きたくなって墓まいり
 鳴くまでは待てずに口が滑り出し   芳子
 泣き言を一度も聞けず母偲び      〃
 鎮魂の灯り照らされ泣きくずる    昭子
 カラス鳴く不吉な証耳ふさぐ       〃
   ☆カラス鳴く不吉さについ耳ふさぐ
 泣くことはこれでおしまい鏡ふく    橋本節子
 つらいとき泣けばいいのよ思いきり  〃
 泣かぬ犬あんた誰やと目でたずね  幸代
 泣く事の無い年願い初日之出     〃
   ☆泣く事の無い年願う初日之出
 寒い朝ミカンついばむ鳥の声     邦江
 振り返り涙浮かばせ見る画面     〃
   ☆涙してテレビの画面ただ見つめ
 泣きながら訴える児にママの笑み  芳子
 くやしさに思い切り泣きゼロにする   〃
 これからも泣いていいよと虹かかる 紀代
 友なみだ心かよわせじっと聴く     〃
   ☆通い合うこころ友泣く声も聴き
 まご二才泣くしぐさにも知恵がつく   山里節子
   ☆孫二才泣くしぐさにも知恵がつき
 カラス鳴くふきつな思い身をかすめ   〃
 泣き声も我が子であれば又たのし  かをる
   ☆泣き声も我が子であればまた楽し
 涼めなく早朝の庭霜柱          〃
   ☆霜柱立つ朝の庭すずめ鳴く

席題「うしろ」 互選
    着物着るうしろ姿の美しさ        文子
    後髪ひかれる思い初入園        蓉子
    暗い道振返りつつ急ぎ足         邦江
 2点 厚化粧後姿で年令見せる        昭子
  〃 うしろから前にまわった影法師     橋本節子
 4点 バックシャン前向きのまま居てほしい  靖国
  〃 通勤時後姿に見栄をはり         宏之
  〃 うしろから追われているよ高齢者    悦子
 5点 うしろから命を奪う大津波        山里節子
 6点 うしろから追い越してゆく人多く     三四子
 8点 ともかくも重ねた過去を受け入れて   芳子
12点 若い頃夫のうしろ今は前         幸代
13点 うしろからそっと背を押す友の影     紀代