KIMの電気リポート2

直列リアクトルの油漏れ  [REPORT2−2]   油入機器の劣化診断について

     (1)油入機器の更新推奨時期
     (2)油入変圧器、リアクトルの寿命に対する 診断方法
     (3)進相コンデンサ、直列リアクトルの温度 上昇について
     (4)進相コンデンサ、直列リアクトルの油漏れ に対する判断基準
     (5)注意事項

KIMの電気リポート2[目次]に戻る

[TOP]に戻る

サイドフレームを[消去する]


(1)油入機器の更新推奨時期
機種更新推奨時期
変圧器20年
高圧進相コンデンサ15年
直列リアクトル15年
低圧進相コンデンサ10年
日本電機工業会資料より

   この更新推奨時期は、機能や性能に対する製造者の保証値ではなく、通常の環境のもとで 通常の保守点検を行って使用した場合に、機器構成材の劣化などにより、新品と交換した方が経済性を含めて 一般的に有利と考えられる時期である。
  1. 変圧器の更新時期について
        ……この項勉強中……
  2. 高圧進相コンデンサの更新時機について
       一般に運転中に受ける温度・過電圧・過電流等の影響により誘電体の絶縁性能が次第に 低下し、それが進行すると誘電体が部分的に絶縁破壊を起こし、この現象が連続的・連鎖的に拡大して、完全破壊 (ケース破壊、保安装置動作)に至る危険性が増加する。
       機器の劣化がどのくらい進んでいるのかは、下記の診断方法などによってある程度知ること ができるが、コンデンサは密閉機器であるためこの方法を適用するには無理がある。通常の場合、大略20年の 寿命が期待できるとされているが、寿命にはばらつきがあり、予防保全の見地から早期の更新が望ましいので、 裕度を見て故障率の低い期間である15年とした。
  3. 直列リアクトル
       構造上変圧器に準じた取り扱いをすべきであるが、常に全負荷で使用される上に開閉頻度が 多く、高調波の影響を受けやすいなど変圧器より過酷な使用条件となる。よって変圧器より短い15年とした。
  4. 低圧進相コンデンサ
       通電中は常に全負荷運転となる機器であるため、運転中の温度・過電圧・過電流の影響を 受けやすい。(以下省略)



(2)油入変圧器、リアクトルの寿命に対する診断方法
  1. 絶縁油の劣化と油中ガス分析による診断
       この項、重要であるが油漏れとは直接関係ないため、省略。
  2. 絶縁紙、プレスボードの劣化とその診断方法
       この項も同上理由により、省略。
  3. 外部構造部品の経年劣化と寿命判定
    • 負荷時タップ切換器の接触子……省略
    • ガスケット
            診断方法……目視
            診断内容……油漏れの有無
                   ガスケットの寿命は約10年と考える。
    • 付属品……省略



3)進相コンデンサ、直列リアクトルの温度上昇について
  1. 進相コンデンサの場合
       診断方法……運転時のコンデンサの壁面(2/3h)の表面温度を 周辺温度と比較する。
       劣化判定目安
    • 定格運転で上昇値15℃以下のこと
    • 温度差25℃以上は異常と判断する。
    • 温度70℃(機種により65℃もある)以上は異常と判断する。
  2. 直列リアクトルの場合
       診断方法……運転時の直列リアクトルのケース壁の表面温度を 周辺温度と比較する。
       劣化判定目安
    • 定各運転で上昇値45℃以下のこと



(4)進相コンデンサ、直列リアクトルの油漏れに対する判断基準
  1. 診断方法
       ガスケット部および溶接部の油漏れや、端子・ケース表面の油付着を目視またはティシュ ペーパーで調べる。
  2. 劣化判定目安
    • にじみ程度の油漏れ……3ヶ月以内に取替え
    • 再点検時に油漏れが拡大していた場合……即刻取替え
    • ケース表面に油が流出またはケースに穴があいている場合……即刻取替え



(5)注意事項
  1. 進相コンデンサの場合、ケースの変形チェックも重要な点検項目である。
  2. 直列リアクトルは、コンデンサの開閉に合わせて全負荷−無負荷運転を繰り返すため、呼吸作用が激しい。 従って、普通の油入式直列リアクトルなどの油劣化防止機構のない構造では、特に点検周期に注意する必要が ある。
  3. 上記のリポートは主に次の資料を参照した。



KIMの電気リポート2[目次]に戻る

[TOP]に戻る

ご意見、ご感想、ご質問は [掲示板] または[メール]でお願いします