化粧ポーチ
   出発の朝7時30分、3人は朝食に中華街にお粥を食べに行く。カズさんのお勧めか。タクシーの事が気になったので、8時40分にカートに機材や荷物を積んで部屋を出る。
   9時にチェックアウト。支払ったのは電話代だけで4ドル。コインですませた。空港へ聞くためにワゴンタイプのタクシーを捕まえなければ行けない。21日は簡単にできたのでホテルのフロントには頼んでいなかった。少しぐらい時間はかかるだろうと思っていたがこれが大変だった。セダンタイプのものはいくらでも通る。たまに来たワゴンタイプには客が乗っている。ヘイ通りに大量の荷物を置いて全員で探す。ジョージ通りの反対側で見たので行って頼んだが、方向が反対でだめだった。時間は充分余裕があったが疲れてくる。40分間待ってようやく捕まえた。キングスフォード国際空港の国際線ターミナルへ向かう。ターミナルの1番奥に車が着く。29ドル余りだった。ここがカンタス航空のカウンターに1番近い。
    10時10分、チェックインして荷物を預ける。オーストラリアは出国カードがいる。白紙のガードを出されて、あわてて持っていた記入済みを渡す。ボーディングタイムは12時10分。11時までぶらぶらとしていた。出国審査を通過して免税品の証明書を係官に渡す。とても陽気な人に見えたので二言三言言葉を交わした。その時、そばをメンバーの一人が通ったので、"She is no tax"とギャグを飛ばすと、メチャメチャ受けて笑い転げていた。
   事件は税関審査で起こった。機内持ち込みの荷物をX線装置を通す。先頭を行っていたメンバーの化粧ポーチに入れていた化粧用の小さなハサミとカミソリが引っかかり、女性審査官に取り上げられた。それだけでは済まなかった。身体チェックとなった。両手の指を1本ずつ紙で押さえ、それを液に着けている。ポケットにマイク型の機械を入れて調べている。知らん顔をして行き過ぎればよかったが、その場で待っていると、「仲間か?」と尋ねられ、全員同じような検査を受けることになった。1枚のカードを提示される。そこには日本語も含めて各国の言葉で「調査対象の人物となったので検査に協力するように」と書いてある。「何事も経験」と楽しんでいたら、最後の方はポケットまで調べなかった。
   免税店で最後の買い物。買い忘れていたアボリジニの絵本とアボリジニのCDを探す。本屋で女性店員に案内されて2冊買う。100ドル札で払ったのにおつりが少し変だなと思った。待合い用の椅子にかけてよく考えてみると、先ほどの本屋のレシートがない。ゆきに「行って取り返してきたら」と言われ、本屋へ行く。本を示しながら「レシートを下さい」と言うと、分かっていたらしく、先ほどの店員は悪そうな顔をして下を向く。上司見たいな女性店員が謝りながら50ドル札を出した。100ドル札と50ドル札を間違えていたようだ。干しマンゴーと透明の半球型の入れ物にオーストラリアのお菓子が1種類ずつ入った物を買う。これで買い物はおしまい。

ラヂオ・半おち
   時間が近づいたので58番ゲートへ行く。カンタス航空QF373便でJL778便とのコードシェアーだ。ボーディングチェックが始まってすぐ機械が故障して係官があわてている。人はたまる一方。しばらく待たされて、12時10分手作業でボーディングチェックを受ける。機内ではアテンダントがカウンターで人数チェックを2回していた。飛行機はボーイング747ジャンボで、座席は行きよりも少し後ろの41番で4人並んで座る。
   12時30分予定通り、テイクオフ。安定飛行になって、おしぼり・飲み物・食事のサービス。遠慮無くビールを飲む。アテンダントが笑顔で「もう1本いかが」、勧めてくれたがやめた。「今、ケアンズ上空でグレートバリアリーフが見えます」とのアナウンスが流れ、まちが座席を立って見に行く。食事の後は、日射しの入り込む窓を閉めて映画館に早変わり。ハリウッドの「ラヂオ」と日本の「半おち」を見た。どちらも初めてだったので楽しめた。9時間30分のフライトで、日本時間20時、無事、関西国際空港に着いた。
  日本の入国審査は係官が1人で時間がかかる。税関の検査はフリーパスで、早く出ろと言わないばかりだった。ここで、南海電車で帰るみすぐと別れ、預けていた車を届けてもらう。21時5分、関空を出る。見慣れた大阪や、神戸の夜景を見てホッとする。
   22時20分に着いた。

おわって
    片付けは今回参加しなかったあゆに頼むことにして、とりあえず終わりとする。
    翌日、あゆと一緒に片付けをし、借りていたジュラルミンのケースを返却に行く。お礼のメールと共に写真を日本人学校、シーラ・エクストン先生、神代典子さん、カズさんに送った。
    しばらくたって、日本人学校からお礼の手紙が届き、シーラ・エクストン先生からはローカル紙の切り抜きと写真の入ったフロッピーディスクが送られてきた。
    思えば1年余り前、雲をつかむようなところから始まり、1つの成果を見ることができた。今回は公演会場の担当者とそれぞれに直接打ち合わせをして計画をつめていった。とても大変だったけど、それによって得たこともたくさんある。200通を超えるメールの束は18oの厚みを持った本になっている。海外との打ち合わせの醍醐味を感じることができた。でも、今回お世話になった方々みんな、トンおじさんがやろうとしていることの意味を理解して頂き大変嬉しかった。シーラ・エクストン先生とは決して十分なコミュニケーションがとれたとは言えないかも知れない。でも、大きな喜びを得る事ができた。
    1年かかって準備したこの感激は、同じくらい1年間ぐらい持ち続けるだろう。海外公演1回目から3回目の今回も、自費で仕事を休んで参加したまちとゆきに感謝。
 
    2004年4月11日
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